70.カルマvsガーディス
「ふっ、戦士とは本当に馬鹿な生き物だ。」
「なんだと?」
「私は戦士を辞めた身だからよくわかる。
自分勝手に、依頼主を変え、主人を変え、いつも都合よく、正義だのなんだのと言いながら暴れる理由を探す。
そんな戦士達の中で嫌気がさして…私は戦士を辞めた。
お前も同じだ。
子供のためだのなんだのと最もらしい理由をつけているだけに過ぎない」
「それは違う…」
「……?」
「確かにお前が見てきた戦士も、戦士の姿の一つなのかもしれない。でも、俺が知っている戦士は信念や目的の為に自らが危険に陥ったとしても必ず人を守る。それが戦士だ。」
「そんなものは現実が見えていない子供の戯言だ。」
「違う!
剛剣士ダグラスは魔人軍から人々を守る為に世界を飛び回った。狂戦士フィルスは強力な魔人に自ら立ち向かう為に他の戦士や兵には避難を呼びかけた。
おまえこそ、お前が見た世界だけが全てだと決めつけるな!」
「まあいい。おまえを倒し。世の厳しさというやつを教えてやる。」
ガーディスは両手に剣を持ち、構える。カルマも剣に炎を灯し、ガーディスに向かって構える。
カルマとガーディスは同時に距離を詰める。
2人は中央で剣をぶつけ合う。
だが、二本の剣を持ったガーディスは流れるよう連撃を加えていき、手数で圧倒的に勝るガーディスが徐々にカルマを押し込んでいく。
「っくそ!」
ガーディスは剣の一本を地面に刺すと、もう一本の剣に手をかけカルマに向かう。
カルマはそれを迎え撃つかのように剣を構える。
「魔剣術 抜 閃炎斬」
カルマの抜刀術が炎の半円を描く。
が、しかし、そのには既にガーディスの姿はない。
ガーディスは地面に刺した剣の場所まで瞬間移動し、カルマの魔剣術を避けている。
「くそ、そんなんありかよ。」
撃ち終わりのカルマにガーディスの連撃が襲う。
「ぐわぁぁ」
カルマの体に複数の切り傷がつく。
「まだ…だ!」
カルマはガーディスに向けて剣を構え、走り始める。
「温存は無しだ……」
カルマは剣先をガーディスへ向け、素早く走り始める。
「魔剣術 突打突炎貫」
そのカルマの剣は大きく炎を噴出し、カルマをも包むように進む。炎の突きはさらにスピードを上げて、ガーディスに襲いかかる。
ガーディスは襲いかかるカルマを前に3本の剣を無造作に空中へ投げる。
その瞬間、ガーディスは超スピードで突っ込むカルマの目の前から姿を消し、カルマの頭上にある剣に現れると一太刀、二太刀…と浴びせていく。
「天旋剣」
「がっ……(ダメだ速さが段違いだ…)」
カルマは背中に攻撃を受けならも、空中に浮くガーディスの剣を見る。
ガーディスはさらに次の剣に移動し、カルマにとどめを刺そうと剣を振りかぶる。
「!?」
ガーディスが剣を振り下ろすとその刃をカルマが素手で受け止める。
カルマの手から血が滴り落ちる。
「姿を追えなくても移動先がわかれば予想はできる……。」
カルマはもう片方の手で振り上げた剣を一気に振り下ろす。
「魔剣術 下 地砕炎剣!!」
……
カルマの炎の剣が地面を砕く。




