3-2「模擬戦闘試験⑥」
次の瞬間。
森を突き破り、カルマが飛び出した。
全身傷だらけ。
服は裂け、身体中から血が流れている。
それでも、カルマは止まらない。
そのままラディールへ突撃した。
ラディールは咄嗟に腕を掴み、押し返そうとする。
だが、勢いを殺しきれない。
二人はそのまま地面へ倒れ込んだ。
カルマがラディールを押さえつけ、剣を突きつける。
「なぜお前は諦めない。」
ラディールが問う。
「お前は、この模擬戦で何を望んでいる?」
カルマは荒い呼吸のまま答えた。
「俺は……魔人軍から家族を守れるくらい、強い戦士になる。」
剣を握る手に力が入る。
「そのために、まずはお前達ヘリオサマナを認めさせる!」
「……ふっ。強引なやつだな。」
ラディールは抵抗をやめ、両手を上げた。
「そこまで!!」
ジーダの声が闘技場へ響く。
「今回は俺の負けだ。」
ラディールは苦笑する。
「だが勘違いするなよ? 俺はまだまだ天級として未熟だ。本物の天級――副団長やアリディア様は、こんなもんじゃない。」
「はは……なんでお前が言うんだよ……」
カルマはその場で力尽きるように倒れ込んだ。
「カルマ!?」
⸻
目を覚ますと、カルマはヘリオサマナ内の救護室にいた。
横を見ると、カミルもベッドに横たわっている。ちょうど目を覚ましたところだったようだ。
「カミル、大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ。」
「新しい技見せてもらったよ。驚いた。」
「そうか、君を驚かせられたなら試した甲斐があった。」
「どこか僕の技に似たような気はしたけどね。」
「ふっ、そうか?私は心当たりはないがな。」
「気のせいかな。」
「……知らないうちに随分と影響されてしまったかもしれないな。」
「お互いにね。」
そこにハウロスが急いだ様子で入ってくる。
「ボス!カミル!大丈夫です?」
「おう。大した傷じゃないよ。」
「君は騒がしいな。」
「ボスの試合が終わった途端にカミルまで倒れるんだから驚いたよ……。2人とも明日には動いていいそうです。でもボスは全身に打撲と傷、カミルは肩に傷を負ってるから激しい動きは禁止だと。」
「そっか。それで、俺たちは合格なの?」
「いえ、そのことで明日アリディア様のところへ行くことになってます。」
「明日か、わかった。」
「それじゃは俺はジーダさんにも呼ばれているので行きますね。では。」
ハウロスは急いだ様子で救護室を出て行った。
「……。」
「なんか忙しそうだな。あいつ」
すると、再び救護室の扉が開く。
「まだ何か……あ、」
カルマの目線の先にはラディールの姿があった。
「何しにきたんだよ。」
「……。酷い有様だな。」
「何が?」
「その包帯だらけの姿。まるで敗者だ。」
「なんだと?」
「だが、今回は俺の負けだ。」
「……。」
「次は必ず勝つ。その時は最初から全力で行くから覚悟しておけ。」
「ああ、俺もこんな姿じゃ勝った気しないからな。次はお前を救護室送りにしてやる。」
「ふ…ほざいてろ。」
ラディールはそう言い残すと救護室から去っていく。
「なんだったんだ?あいつ。」
「彼なりに君を認めたということだろう。」




