2-5「ミルズ王国動乱①」
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― 作戦決行当日 ―
カルマは一人、王宮の階段前に立っていた。
空は晴れていて、やけに静かだ。
「よし……」
胸の奥で鼓動が静かに打っていた。
「派手にいくか。俺たちの初任務だ。」
カルマは一呼吸入れると一気に階段を駆け上がる。
「あ、こいつ何日か前の!」
「止まれ!」
衛兵が気づき、怒号が飛ぶ。
だがカルマは振り返らない。
(囮は目立ってなんぼだ。)
ハウロスもカミルもいない。
ここにいるのは、カルマひとりだけ。
階段を駆け上がるカルマの前に王宮の大扉が迫る。
待機していた二人の衛兵を一瞬で気絶させ、カルマは右手を扉へ向けた。
魔力を集中させ、掌に熱が帯びる。
「中級魔術――火炎爆発」
炎の球が生まれる。
回転しながら膨れ上がり、一直線に扉へ。
接触の瞬間、激しい爆発が起きる。
轟音とともに大扉が崩れ落ち、破片が舞った。
「よし、うまくいった!」
ユバルバの商店で手に入れた魔導書。
あれは当たりだった。
崩れた扉を踏み越え、王宮内へ侵入する。
広いロビー。
豪奢な装飾。
そして――混乱。
「襲撃だー!」
「何者だ!!」
貴族たちが悲鳴をあげ、奥の扉へ逃げていく。
同時に、衛兵が一斉に取り囲む。
「貴様!何者だ!」
取り囲む兵に対し、カルマは不敵に笑みを浮かべる。
「戦士だ。」
カルマは剣を抜くと同時に刀身に炎を灯す。
「悪いけど、邪魔はさせないよ!」
カルマは地面を蹴り、衛兵に立ち向かう。
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― 作戦会議(回想) ―
「王宮の入口は東と西の二つか?」
「基本はそうだ。だが実際にはもう一つある。」
「どこ?」
「北側、炊事場の裏だ。勝手口がある。」
「じゃあそこから――」
「いや、そこも普通に行けば見つかるな。」
「普通に行けば?」
ハウロスがカルマを見る。
「ああ。だから一人が正面から堂々と侵入する。」
「囮か。」
「そうだ。なるべくド派手にな。」
「じゃあ、囮役は俺がやるよ。」
「え!? いや、ボスはダメです!」
「なんで?派手に戦うなら適役だと思うけど。」
「危険です!」
「危険なのはどこから入っても同じだよ。」
カルマは穏やかに笑う。
「だったら一番効果的な場所に、俺が行く。」
……
ハウロスは拳を握り、悔しそうに俯いた。
「……必ず、合流するまで無事でいてください。」
「ああ、もちろん。」
***回想終了***
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ロビーは戦場と化していた。
「止めろー!」
衛兵が一斉に襲いかかる。
カルマは剣を振るい、魔術を放つ。
炎が弧を描き、床を焦がし、衛兵を吹き飛ばす。
カルマの魔術があらゆる場所で爆発を起こし、激しく音を立てる。
だが――
(集まれ、もっと集まれ)
これでいい。これが役目だ。
カルマは二階へ続く階段を見上げる。
扉の前には複数の衛兵がこちらを睨みつけている。
「二階には絶対に行かせるな!」
叫び声が響く。
カルマは息を整え、剣を握り直す。
(ハウロス、カミル……今のうちだ)
炎が、さらに強く燃え上がった




