41.森の不穏
その後、2人はラダの森を進んでいく。
時折、魔獣が飛び出してきて戦闘となったが、2人にとっては大した敵ではなかった。
ほとんどが、カルマが動く前にハウロスが魔鋼で敵を倒した。
「ハウロスのその魔術はどういうものなの?」
「あ、ボスは魔鋼ご存知ないですか?」
「魔鋼?」
「そうか。ボスは戦士協会の訓練を受けてないんでしたよね。」
「うん。」
「戦士協会の基礎訓練で使われる特殊な鉱石で、魔力を込めると形を変えるんです。」
「へー!面白いね。」
「ええ、それが俺は特別、変形の速さが異常だったのと、変形の幅も大きかったので、実践に応用して使ってるんです。」
「便利でいいなぁ。これ。」
カルマはハウロスから受け取った小さな魔鋼を手の上で変形させている。
「さすがですね。初めてでそれだけ変形させられる人はなかなかいませんよ。」
「そうなんだ。でも持ち運ぶのは大変そうだね。」
「そうなんですよ。大量の魔鋼があれば戦いやすいんですけど、移動には向かないので、とりあえず俺は体中に詰めれるだけ詰めてるんです。」
ハウロスはポッケから小さな魔鋼を取り出してカルマに見せる。
「……きゃー……」
その時だった森の奥の方から女性の叫び声が聞こえたのだ。
「今の……声?」
「こっちだ!」
カルマ達は道から外れ深い森を進んでいく。
「この辺だったはずなんだけど……」
「誰もいませんね……」
森の奥地に進むにつれて魔獣の気配が強まっていく。
しかし人の姿は見当たらなかった。
「ボス!これを……」
ハウロスは何かを見つけるとカルマを呼ぶ
「これは……」
そこには大きな魔獣が大量の矢を浴びて絶命している姿だった。
「まるで四方八方から矢を受けたような……」
……
その時だった。カルマは自分たちを取り囲む様に人の気配を感じる。ハウロスも感じ取った様で魔鋼を取り出し構えている。
「ハウロス……」
「ええ、いますね……」




