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5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
二章 ミルズ王国 動乱編

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2-4「作戦会議①」

 _________



 ハウロスは宿へ着くと、神妙な面持ちで口を開いた。


「以前この国に来た時、ボルドーという男と知り合いました。元ミルズ国軍兵です」


「元兵士?」


「はい。軍を辞めた理由が、現王ドルドスとの軋轢だったと聞きました。もしかすれば協力を得られるのではと思い、先ほど会いに行ったのです」


「それで?」


「……全面協力する、と。ただし、詳しい話は仲間を連れて明日もう一度来い、と」


 部屋に沈黙が落ちる。


「信用できるのか?」


「正直、わからない。一度会ったきりだし。」


....


「すみませんボス。話を持ってきておいて……」


「いや、十分だよ。情報があるだけでもありがたい。行こう、その男のところへ」


「大丈夫か?」


「うん。会って、話を聞いて、それから判断すればいい」


「……なるほどな」


「では、明日案内します」



 


 次の日、カルマ達はハウロスの案内でボルドーの元へ向かった。

その中にはアマンダの姿もある。王宮内部の事情を知る者として、カルマが同席を求めたのだ


 辿り着いたのは、札に“close”と掛けられた酒屋だった。


 中へ入ると、無精髭を生やした大柄な中年男が一人、酒をあおっている。


「連れてきたぞ、ボルドー」


「あぁ……お前らか。よく来たな」


 低く太い声。


「話は聞いている。知っていることを教えてくれ」


「まぁ座れ」


 ボルドーは酒瓶を置き、腕を組む。


「お前達のような者が現れるとは思っていた。俺もドルドスとは馬が合わず、公職を辞した身だ」


「それなのに、二年も反乱が起きていない理由は?」


 カルマの問いに、ボルドーは口端を上げた。


「理由か。そうだな…」


「三傑……ですか?」


 アマンダが答える。


「ほう。あんた、王宮関係者か?」


「元第一王子グラリス様の秘書官です」


「はっ……そりゃあまた、不遇なお立場だ」


 ボルドーは続ける。


「ミルズは軍事大国じゃない。兵の数も多くはない。だが、ここ最近では戦争でも内乱でも、負け無しだ。」


「なんで?」


「その理由がミルズ三傑だ」


 空気が変わる。


「筆頭剣士ガーディス。無限刀のラミ。矛使いグロウス。三名とも戦士ではないが、実力は戦士で言うところの天級相当」


「天級……」


「特にガーディスは実際に元天級の剣士。その中でも上位に並ぶと言われている」


 天級の中でも上位。

 それはこの世界でも頂点に近い存在だ。


 名だたる強者たちの名が挙がる。

 雷剣士ガルム、天才術士アリディア、剛剣士ダグラス、英雄レイン、氷結魔剣士ルドロス。


「その連中に迫る実力……ってことか」


「そうだ。だから正面からでは誰も動けなかった」


 カルマは小さく息を吐く。


「じゃあ、無理なんじゃ……」


「そこでだ」


 ボルドーの目が鋭く光る。


「五日後、隣国バルディッシュで年に一度の貴賓会が開かれる。東側諸国の大貴族が集う場だ」


「……」


「例年、三傑は護衛として派遣されるため、王都を離れる」


「五日後……」


「その情報は確実か?」


「信じるかはお前ら次第だ。だが事実だ。元秘書官殿、例年の派遣は?」


「……事実です。毎年、護衛のため三傑は国を出ます」


「そういうことだ」




「それで、ミルズ兵の残っている勢力は?」


「残りの勢力については、私の方で説明します。」


 アマンダは懐から折り畳まれた紙を取り出し、静かに広げた。そこにはミルズ王国全域の地図が描かれている。


「まず王宮ですが、王族を守るため多くの衛兵が配置されています。ただし、その大半は一階のみ。二階以上は王族と許可された者しか入れない区画です。ですから、一階を突破できれば内部の戦力は大きく減ります。」


「なんだ、意外と簡単そうじゃん。」


 カミルが肩をすくめる。


「ええ。ですが問題は“帰り”です。」


「帰り?」


「王宮内の衛兵は最低限。主力は兵舎や街の外に待機している王国軍です。彼らが到着すれば、包囲されるでしょう。」


「時間との勝負か……」


「王国軍はどこに待機しているんだ?」


 アマンダは地図の数か所を指し示す。


「大きく三か所です。一つ目は王宮近くの兵舎。距離は近いですが、通常は休息中で武装は解除されています。動員には多少時間がかかるはずです。」


「二つ目は南側の正門付近。ここには常時武装した兵が駐屯しています。ただ、王宮は北端にありますので、到達までには距離があります。」


 そしてアマンダは、地図の端――ラダの森との国境付近に付けられた印に触れた。


「三つ目がここ。理由は不明ですが、常に国軍兵が配置されています。王宮からは最も遠い位置にあるため、直接的な脅威は低いと考えられますが……」


「……。」


 カルマはその印をしばらく見つめ続ける。


 森の近くの理由不明の駐屯。


(何かを守っているのか……それとも、隠している?)


「どうしたの、カルマ?」


「いや……少し気になっただけ。」


 その後も会議は続いた。侵入経路、王宮内部の構造、撤退ルート。

 そして五日後――決行することが決まった。


 その日はそこで解散となる。

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