表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
一章 平和の国カストリア編
4/60

04.軽蔑

 それから半年程の時間が過ぎた。


7歳になったカルマは、今日もノーリエに借りた本を抱えて街の中を走る。そしてノーリエの家の扉を開ける。


「ノーリエさん!聞いてよ」

「ああ、君か、今日はどうしたの?」


 そういうとカルマは本を机に置き、ノーリエの前で手を上向きにかざす。


「見ててね……」


 カルマの体から魔力の高まりをノーリエは感じる。

 するとその瞬間、カルマの手から炎の玉が現れる。


「こ、これは……初級基礎魔術フレアボールじゃないか!」

「へへ、ようやく出るようになったんだ」


「君は本当にすごい少年だ、わずか7歳で魔術を扱えるとは……」

 ノーリエは驚いた後、嬉しそうに笑顔を見せた。


 その帰り道、カルマはノーリエに褒めてもらえた喜びでスキップしながら帰る。

 

「……っろよ!」

 商店街を抜けたところでカルマと同じ年頃の子供達が集まっている。

カルマが何かあったのかと近づいてみると少年たち数人が

少女を取り囲んでいる。

 

「アラモのくせに生意気なんだよ!」

 

「っちょっと、やめなよ。」

 カルマは少年達を制止する。


 話を聞くと少女はイリーナ・アラモ・トリスというらしく、"アラモ"の血族なのだそうだ。


 この世界では過去に使われていた階級制度の名残がある。それは姓名と間にある名、いわゆるミドルネームというやつだ。


 この世界でのミドルネームは3種類グラン・ミラ・アラモだ。魔創暦600年頃までは階級別に使われており、グランは当時の王侯貴族の位、ミラは商人や兵士などの一般庶民〜下級貴族の位、そしてアラモは農民〜下僕までの下位の位として使われていた。


 カルマはそれを聞いてとてもくだらないと思った。そして心の底から怒りの感情が湧いてきたのだ。


「おい!その子から離れろ!」

「っつ、なんだと!おまえ!」

少年の1人がカルマの顔をはたく。


 その時、カルマのつけていた眼帯が外れ飛んでいった。

咄嗟に左目を手で押さえ、そのまま少年を睨みつける。

「なんだよ……その目は」


少年はカルマの目に威圧されながらも反抗的な姿勢を変えない。


カルマはそれを見てゆっくりと左手を下ろし、その両目で相手を睨みつける。

「ひっ……緋眼」

少年達はその目を見て怯え出し後退りをする。


 カルマも緋眼の魔人のことは知っている。現存する最悪の魔人であるうえに、いくつもの創作の物語の悪役にもなっているのだ。当然知っている。

だからこそ父はその目をひたすらに隠させた。それは誰のためでもないカルマのためだということをカルマ自身わかっていた。


 だが、今はそんなことはどうでもよかった。

とにかく目の前にいる少年達が憎く怒りが湧いてくるのだ。


カルマは拳が出そうになるのをグッと堪えた。

ここで殴り返してはこの者達と変わらない。なら何が一番効果的か……

カルマは"その眼"が今は最も効果的だと思った。


 カルマはその両目で相手を睨みつけながら、左手に炎の玉を作り出す。

「許さないぞ、お前達」


「ひっ、ひぃぃ」

 少年達は恐怖におののき散り散りとなって逃げ出していった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
カルマの無邪気さがまた可愛さを出していい味してますね!! 世界観の作り方とかも凄く良くできていて、読んでて凄く面白いですし、のめり込んでしまいました!! 続きを楽しく読まさせてもらいます!!
カルマさんが嬉しそうにノーリエさんに魔法を見せるのは、無邪気で可愛らしくもありますね。そこから少女を救う、勇敢さも携えられているのも魅力的だと思いました。 緋眼という魔人を彷彿とさせるような眼の秘密も…
文章もさる事ながら、 人物描写や世界観の設定が秀逸ですね。 何処か淡々とした文章も良い感じです。 面白かったので、ブクマさせて頂きました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ