表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
一章 平和の国カストリア編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/135

1-1「赤い瞳の少年④」


 ⸻


 それから数日。


 二人は並んで本を開き、魔術の練習をしながら笑った。

 彼女はイリーナといって、カルマによく懐いた。


 カルマは少しだけ思う。

 ノーリエさんの所にも行きたいな、と。


 でもイリーナの嬉しそうな顔を見ると、まあいいかと思えた。


 誰かの役に立てることが、嬉しかった。



 _________


 翌日。


 今日はイリーナは来られないと聞いていた。


 カルマは久しぶりに一人で街へ向かう。


 ——何かが違った。


 最初は分からなかった。街の雰囲気か?なにかあったのだろうか。


 でも、歩くほどに気づく。


 誰も笑いかけてこない。声が小さい。視線が、刺さる。街の人たちの空気感が昨日までとはまるで違う。


 いつもの魚屋の主人が声をかける。


「坊主……お前、緋眼なんだってな」


 時間が止まったかのようにカルマの表情は一瞬にして固まる。


 振り返ると、人が集まっていた。

その目は、昨日までと違う。


 遠巻きに見る目。距離を取る足。囁き声。


「不吉な子供だ」

「魔人の仲間か」


 理解が、遅れて追いつく。


 ——ああ。


 知られたんだ。


 次の瞬間、石が飛んできた。

 痛みより先に、胸の奥が冷える。


 どうして。


――ただ、目が赤いだけなのに。



 カルマは腕で顔を覆い、地に伏せる。

 痛みより、胸の奥が焼けるようだった。


 民衆の腕の隙間から薄らと見えた。

 人々の後ろで、あの少年たちが笑っている。


 その瞬間、カルマは初めて思った。


 ——どうして、こんな目に生まれたんだ。



 


 その時だった。突然、音が消えた。


 石の落ちる音も、罵声も。

 世界そのものが息を止めたようだった。


 カルマが顔を上げる。


 いつの間にか、目の前に一人の女が立っていた。


 黒いローブ。細い杖。

 背中にかかる茶色味がかった長い黒髪。


 カルマはその姿を見て何かを感じ取る。心が、魂が震える。この人を待っていたのだと。


「少し眠れ」


 女は落ち着いた声でそう呟くと、杖を体の前に持ちゆっくりと地面に向かって降ろす。


 杖が地面に触れた瞬間、波紋が広がる。


 すると、人々が糸の切れた人形のように崩れ落ちた。


「な……にを?」


「安心せよ。眠らせただけじゃ。」


 女は振り返らずに答える。

 

 20代半ば〜30歳くらいに見える見た目の女は、その見た目に似合わず老人言葉を話した。



 カルマはゆっくりと立ち上がる。


「どうして助けてくれるの?」


 女は黙ってカルマの顔を見たあと、ふっと笑いかける。


「わしは戦士じゃからな。」


 その一言にカルマは心を打たれたような気持ちになった。

 カルマが目指す、理想の姿がそこにはあった。


......


 女は眠りについた少年たちに近づくと、杖を向ける。


 すると、杖が光り始める。

 現実の綻びのように揺らめく淡い光。


 何かが“書き換わる”。

 そうとしか言えない感覚だけがあった。


「…これでええじゃろう。」


「何をしたの?」


「なに。大したことはしていない。ただ、おぬしの目のこと、彼らが目覚めた時には覚えておらんじゃろうな。」


「なっ...」


 女はそれ以上は語ることはなかった。

 


「おぬしが、カルマ・ミラ・フィーランじゃな?」


「なんで僕の名を...」


 女が近づく。

 視線が、すべてを見透かすようだった。


「わしはアリディア、コロラド連邦、ルードミリシオンを拠点にしておる。何か困ったことがあれば、訪ねると良い。」


 女はにこりとカルマに優しい笑顔を向けると、立ち上がり、歩き出す。


「強くなれ、運命の子よ」


 意味は分からない。

 だが、その言葉だけが胸に残った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
話の本筋にもっと早く入って欲しいなと思いました。世界観は良いと感じました。
一気に読んでしまいました!いつ涼太と接点が生まれるのかドキドキしながら読んでます!そうこうしているうちに話が進んで、異世界とつながらなくても面白い物語になるような展開に驚いてます!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ