32.カストリア襲撃⑩
煙が晴れ、中からダグラスの姿が見える。
雷を直撃したにも関わらずそれでもなお立つダグラスの姿。
「確かに…。日々世界の情勢は変わっていく。だが、戦士には変わらないものがあるのだ!」
「なんだ?それは」
「各国に属しない戦士という職業は、世界の均衡を保ち、平和を実現するために存在している。それが俺たち戦士というものだ。」
「古いな、まるで50年前の老戦士と話しているようだ」
「……皮肉だな。」
「?」
「お前はここで倒す!」
ダグラスは大剣をスサノーに向け振りおろす。
スサノーは手から電磁波を出し、その剣を防御している。
「ふ、力押しの一辺倒、芸がないな。」
「それはどうかな?」
ダグラスがニヤリと笑みを浮かべると、スサノーの後ろにある煙の中からフィルスが神速を使い現れる。
「神速無斬!」
その超スピードのまま、スサノーの背中を切り裂く。
「がっ……」
スサノーはよろけた後、バックステップで二人との距離を置く。
そして超広範囲の放電を行う。
「ぐっ…近づけない…」
ダグラスもフィルスも放電を防ぐのに手一杯である。
「天級剣士ダグラス、狂戦士フィルス、やはり侮れんな…
我々の目的はすでに達成している。
部下もかなり減ってしまったようだしな。
ここは退かせてもらおう」
「なっ貴様!まて!」
「いい。フィルス…あいつはまだ余力を残してる。
このまま戦ってもおそらく勝てん…」
魔人スサノーの後ろに門のようなものが現れ、そこにスサノーが入ると、その姿は消え去った。
「奴の魔術か?」
「いや、各地の襲撃の時も奴らは突然現れ、消えたようにいなくなる。おそらくそういう魔術を持ったものがいるのだ。」
一旦、カストリアに魔人の脅威はなくなった。街の建造物の多くと一部の人達に被害が出た。が、大部分は衛兵達によって素早い避難ができており、最悪は防げたと言っていいだろう。




