29.カストリア襲撃⑦
カルマとラジャの剣がぶつかり合う。
魔軸を使うラジャの変則的な動きはカルマを傷つけていく。
「お前のその炎の剣、威力を上げるだけの魔術じゃ俺には勝てねぇ!」
「くそっ!」
(威力を上げただけじゃダメなんて、そんなことは僕自身が一番わかってる)
カルマはフィルスとの修行を思い返す。
〜カルマ回想〜
カルマとフィルスが戦闘訓練を行っている時のこと。
「カルマ、おまえのその魔剣、確かにお前に足りない一撃の重みを補っているが、増強だけなら魔力でも行うことはできる。属性付与の特性を活かして戦え。」
「どうやって活かせば…」
「それは自分で考えろ」
回想終了
(それからどう活かせばいいか考えていた。僕の魔剣は属性魔術を剣に付与する応徳魔術…なら付与した属性魔術のコントロールができるようになれば汎用性は高くなる…)
「おらおらどうした!」
ラジャは魔軸を駆使し、多方向からカルマを傷つけていく。
「ぐっ……」
カルマはラジャと距離を一度取り、腰に剣を納める。
「なんだぁ?諦めたのか」
そしてカルマは目を瞑る。
....
「魔剣術 構 炎熱波...!!」
カルマそういうと、カルマが納めた剣から蒸気のようなものが吹き出し始める。
「何だ?あちっ」
ラジャは不用意に近づこうとすると、カルマの周囲の空気が高音になっていることに気づく。
「熱で近づけさせない気か?だとしたら愚策だ。
剣を納め目を瞑ったお前に一撃を喰らわせることくらい造作もない!」
ラジャは自分の体の魔力を高める。高音の空気に耐えれるようにするためだ。
そして魔軸でカルマの後ろに音もなく回り込む。
(これで終わりだ。)
「!?」
ラジャがカルマに届く位置まで近づくと、
カルマはラジャが回り込むのがわかっていたかのように振り返っている。
「魔剣術〈構え〉は高音の属性魔術を周囲に放つと共に、この広く周囲に放った魔術はお前の魔力や動きを細かく感知する……」
「っくそ!」
カルマは腰の剣に力強く握りしめる。
そして、ラジャに向けて、腰の剣を引き抜き、横一線に斬りつける。
「魔剣術 抜 閃炎斬!!」
そしてそれは剣に纏った炎が、剣の刀身よりも長く伸び、大きな半円を描く……




