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5周目の人生で異世界を救った話   ~5人目の転生者を英雄へと仕立て上げる兄と、仕組まれた運命に抗う少年~  作者: MINMI
二章 ミルズ王国 動乱編

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2-1「森の住人③」



 その夜、長老達と共に食事を囲む。


 森の実りと、狩猟で得た獣の肉。豪快に焼かれたそれは驚くほど美味だった。


 だが、カルマの頭からは牢の少女の姿が離れない。


「長老。さっきのカミルの話、詳しく聞いてもいい?」


「気に掛かりましたかな。」


「僕と同じくらいの歳の子が、ああやって繋がれてるのを見るとね。」


 長老はゆっくりと頷いた。


「カミルは昔は元気な娘でした。母と、歳の離れた兄ギルの三人暮らし。」


「兄?」


「ええ。ギルは戦士になると言って集落を旅立ちました。一族総出で見送ったものです。

そして、その後、母親が病で亡くなりました。医者もおらぬ森の暮らしです。珍しいことではありません。」


 そして、カミルは一人になったそうだ。


「カミルは私の家で引き取りましたが、部屋から出なくなりましてな。」


「お母さんのことで?」


「ええ、ですがある日、突然、家から出てきたかと思えば、暴れ出したのです。白目を剥き、まるで何かに操られているように。

 その力は異常でした。

 その後、正気に戻りましたが、定期的に暴れるようになったのです。しかも、回を追うごとに間隔が短くなっていった。」


 ……


「つい先日、カミルは子供を襲いました。」


「それで牢に…」


「今は……寝ているか、暴れているかのどちらかです。」


 ______

 


 部屋に戻り、カルマ達は寝床につく。


「ボス、気の毒ではありますが……これはゲド族の問題です。あまり深入りしても。」


「うん……」


 カルマは天井を見つめる。


 森は静かだ。


 だが、あの少女の唸り声が、耳の奥に残っている。


 _______

 


  翌朝。


 ハウロスが目を覚ますと、カルマが外出の準備をしていた。


「おはようございます。もう出ますか?」


「あ、おはよう。ごめんハウロス、ここを出るの、あと一日か二日待ってもらってもいい?」


「え? 俺は構いませんが……何かあったんですか?」


「ちょっと急ぎでやることがあってさ。あとで話す!」


 そう言うと、カルマは慌ただしく部屋を出ていった。


 

 


 カルマは長老の家を訪ねる。


「カルマ殿、どうされましたかな?」


「あと一日、二日、この村に滞在してもいいかな?」


「もちろんです。好きなだけいてくだされ。」


「ありがとう。それと、もう一つ聞きたいことがあるんだけど」


「なんでしょう?」


「この集落に、魔導書がある家ってある?」


「魔導書……?」


 長老は少し驚いた顔をする。


「ゲド族に魔術士はおりませんが……あそこに住むミドなら、いくつか持っているはずです。昔、魔術を覚えると言って、どこからか集めておりましてな。」


 長老が指差したのは、木の上に作られた家屋だった。


「あそこか……ありがとう!」


 カルマは言い終わる前に梯子へ駆け寄り、軽やかに登っていく。



 コン、コン。


「あの、すみません」


「……なんだい?」


 扉を開けたのは、部族の装束を着ているが、どこか雰囲気の違う女性だった。


「あなたがミドさん?よければあなたの魔導書を少し見せてもらえないかな?」


 ミドは無言でカルマを見つめる。


 その視線は、カルマのことを見きわめる様な目つき。


「……いいよ。入りな。」


 家の中には、本棚いっぱいに魔導書が並んでいた。


「すごい……」


「あんた、そこそこやれる魔術士だろ?」


「え? なんで?」


「見りゃわかるさ。今さら基礎魔術の本が必要って顔じゃない。」


 カルマは少しだけ笑う。


「ちょっと必要な魔術があってね。」


「もしかして……」


 ミドは一冊の本を抜き取り、迷いなくページを開いた。


 指が止まったのは、ある一節。


「あんたが探してるのは、これじゃないかい?」


 カルマの息が止まる。


 まさに、探していた魔術。

 しかも、必要なページが開かれている。


「なんで……」


「……やっぱりね。」


 ミドの目が、わずかに細くなる。


「ミドさん……あなたも、もしかして……」



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