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5周目の人生で異世界を救った話   ~5人目の転生者を英雄へと仕立て上げる兄と、仕組まれた運命に抗う少年~  作者: MINMI
一章 平和の国カストリア編

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1-6「フィルスの昔話①」


 

「はっ!」


 目を覚ますと、小屋の天井だった。


 外はすでに夕闇。


 目の前にはフィルスが床に腰をかけ、カルマを見下ろしている。

 


「今日はもう遅い。明日、街へ戻るぞ」


「え、戻れるの?」


「最初からその約束だろう」


 気づけばこの森に来てから一年以上の月日が流れていた。

 

 剣も、魔術も、そして心も――少しは強くなれただろうか。


 ふと、考える。


 ……フィルスは、街に戻ったあとどうするのだろう。


 別れるのか。


 それとも――


 胸の奥に、わずかな寂しさが芽生えた。


 

「フィルス、前に話してた昔の話、聞かせてよ。賢人ルドラの弟子だった頃の」


「どうした、急に」


「いや……嫌ならいいんだけどさ」


 本当は昔話が聞きたいわけじゃない。

 ただ、何か話していたかった。明日には街へ戻る。その前に、今しか聞けない話がある気がしたのだ。


 フィルスはカルマをしばらく見つめ、ふっと小さく息を吐く。


「……まあいい。お前も、知っておいた方がいい話だ」


 ……


「ルドラの話の前に、緋眼の魔人と神嶺のことはどこまで知っている?」


「なんとなくは。緋眼の魔人は神嶺様が倒したけど、復活したんだよね?」


「大筋は合っている。だが、緋眼の魔人を討ったのは二代目神嶺――シンセレーヌだ」


「二代目? 神嶺って一人じゃないの?」


「初代は、魔創神グラン(この世界を作ったとされる大魔法使い)の側近ラルフだ」


「……あんまり聞かない名前だね」


「それは、時代の違いだな。」


 フィルスは淡々と続ける。


「ラルフが生きたのは、グランがこの世界――グランダムを整え、各国が急成長した時代だ。

 戦争や国同士の争いを止め、調停者として尽力した。だがその頃には、緋眼の魔人も強大な魔獣もいなかった。英雄としての“戦果”は少ない。ゆえに語られにくい」


「なるほど……」


「そして神嶺の力は二代目シンセレーヌへ継承される。シンセレーヌは激動の時代を生きた神嶺だ。」


 フィルスの声がわずかに低くなる。


「緋眼の魔人率いる魔人軍の台頭。

 シンセレーヌと緋眼の魔人の戦いは――およそ百二十年に及んだ」


「百二十年!? そんなに生きてたの?」


「二代目神嶺シンセレーヌは、最高位の魔術により不老だ。老いることはない。寿命でも死なないと言われている」


「……そんな魔術が」


 カルマの胸が、わずかにざわつく。

 理由のわからない既視感を感じる。


 フィルスは続ける。


「シンセレーヌは魔人軍を壊滅寸前まで追い込み、緋眼の魔人を討った。

 一度目は魔力を封じただけで逃げられたがな。

 その後、人の村に潜伏していたところを神聖剣で討ち果たしたと伝わる」


「それで平和に?」


「しばらくはな。だが約三十年前、緋眼の魔人復活の噂と共に、各地で魔人軍が再び動き出した」


「……」


「その中でも特に強力だったのが、《緋衣の十魔(ひえのじゅうま)》と呼ばれる十人の幹部だ。戦士で言えば界級以上とされる」


「フィルスより強いってこと?」


「相性次第だが、天級一人では厳しいだろうな」


 さらりと言うが、重い事実だ。


「神嶺シンセレーヌは今どうしてるの?不老なんでしょ?」


「緋眼の魔人を討ったとされる450年前以降、表舞台に姿を見せていない。

 一説には後継者に立場を譲ったとも言われるが……三代目神嶺は現れていない。真偽は不明だ」


 カルマの胸が、またざわめく。


 450年前。

 不老の神嶺。

 姿を消した存在。


久々の後書きです!

ここまで読んでいただきありがとうございます。

まだまだ投稿していくので是非、ブクマしていただけるととても励みになります!


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― 新着の感想 ―
Xからきました。 カルマいいですね。 師匠との打ち合いのシーンからも、 内面変化で、「自分の強み」を掴めばもっと伸びそうだと感じました。
Xの企画から来ました、第一章の範囲を読みました!冒頭からの次の回から突然別の物語が始まったのかと驚きましたが、なるほどそういうことなんですね! 師匠、厳しいですがカッコいいですね(^^)これから記憶と…
読みに来ました。 とりあえず一章だけ一気に読みました。 記憶と謎、キニナル… また読みに来ますね!
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