43話目目覚めぬ誠
執筆遅いのでお待たせしました!
「確かこの辺で死んだって情報だったよなー?」
ラーゲルは1人辺りを見渡すが何もみあたらない。
(結界と言い、気配と言いいつからこんなにこの森はイカレ始めたんだ?)
「見当たらないから死体は回収出来ないし、仕方ないよなーなー。うん、仕方ないんだ。だから俺はこの森の不気味な方へと足を進めちゃうのは必然だよ。」
1人納得の行く解説を始めると、走って不気味な気配のする方向へと走っていく。
森の癖に木が邪魔に生えている。
いい具合に森の木々は空いているのにも関わらず、走って通り抜けようとすると、木にぶつかりそうになる。
木々を避けたら避けるベストタイミングの足場に木が生えているのだ。
だからこそラーゲルは己の避けるリズムを崩され、スムーズに木々を避けるのが困難であった。
「んー。おかしいな昔はもっと楽に走り抜けられた筈なんだが・・・」
「森を妖魔化する計画通は計画通りに進みそうも無いかなー。」
「それにココ壊したら、今度はコロシアムでしょー今回のコロシアムはどのぐらい強い奴が出てくるのかなー」
「饕餮泣くのを止めてお客様をお迎えしなさい。」
「そうですね。あれ程馬鹿みたいに殺気を匂わせながら私が斬った森を走って来るとは只者では無いですね」
「一応お客様としてお迎え(ry」
「心得ております。誠様のお客様の持て成し方を・・・」
「そろそろ来る・・・誠様には触れさせないようにね」
「御意・・・」
ラーゲルが森を苦労しながら走り抜けると、少し開けた場所に出た。
ラーゲルの記憶にも新しいフィーマンの村。
「確かここは村長が裏切り者だった村だよな?」
ラーゲルが村に入ろうと足を進めたが、結界に阻まれる。
それもこの森と同じ結界が、フィーマンの村に張られていた。
「・・・あぁ゛?意味わからん。それに複雑化された結界だし。どこのお偉いさんが張ったんだよ‼︎馬鹿!」
ラーゲルはイラつきながら、1本の剣を振るう。
背に背負った8つの剣の一本であった。
紫色をしており、見る者に力を与えるような気がするような剣であった。
ラーゲルは結界を物理的に破壊しようと考えていた。
法則に則って結界を解こうとすると
難解にも難解。
魔法の力界が高い者が結界を展開すれば、壊れにくく解くのにも時間が掛かる結界が出来るのだ。
だが穏便な解決でなければ、素早く破壊をする事が可能である。
それには結界の耐久値を一瞬でも良いので、耐久値の2倍以上まで威力を上げなければいけない。
それに一瞬の破壊力では、破壊は“一時的”でしかない
全破壊と成ると・・・。
これも容易く出来ない訳であり・・・。
「疲れるなー結界を“全体”を破壊するのはー」
ラーゲルに至っては例外のようだが。
「そろそろ誠さん、入れ替わりましょうよ?」
「まだ変わるには早いかな・・・?」
「はぁ・・・ノーマル以下の貴方では私には触れる事すらもう二度と叶わない。
叶ったとしても、その右腕の様になるのがオチだ。
諦めて楽になれよ。
お前より俺の方が強い。
強がりでノーマル以下の肉体で戦って言い訳を作ろうとするなよ“俺”」
「それは違うかな。“君”が理解出来る様に簡単に言ってあげるよ。君と俺は別人と考えてくれ」
「?」
「君は俺の中に居た。仮にこれをA君としよう」
「A君は、肉体を持たなかった。持てなかったんだ。
そして長い年月を得て行くうちに、俺の考え方に毒され始めた。
だが当然別人の為、聞く耳を持たぬ場所もあった。
そして、肉体を持つ為に主となる人物の肉体を得る代わりに自分自身と言う証明(意識)とトレードした。
だがA君は、肉体を持っても成り代わらなければ自由な肉体は得る事が叶わない事を知り絶望と怒りに身を委ね、大いなる力を手に入れたとさ。」
「お前はおかしいのか?俺はお前でお前は俺だぞ?」
「肉体が同じならば同じ人間と考えるには浅はか過ぎやしないか?」
「うるさい。黙れ小僧。この小僧とトレードしたからには貴様には死んでもらう必要が出来たんだよ!」
覚醒した誠は人格が変わった様に別人に成り代わる。
殺気も先ほどの誠より、肌がピリピッとした感じの殺気に変わる。
「君は誰だ?」
「お前に答える必要が無い。」
「まぁ良い。黙るのはお前の方だと言うことを分からせてやろう。」
「こんにちわお兄ちゃん」
ラーゲルは不思議に思った。
こんな森の奥に小さな女の子が真っ白のワンピースを着て、立っていることに。
だが殺気は一切感じる事ができなかった為、会話することにした。
同業者組合ではこれも仕事の一環であり、迷子の子どもを発見した時は率先して、親を見つけることが義務ずけられていた。
ラーゲルは特にこの条件が不満で不満で仕方がなかった。
ラーゲルは小さき時に、そう言う大人に暴行と身売りをされた経験がある。
トラウマなのだ。
自分が親に届けられるか心配なのだ・・・。
自分に自信が無くて強くなったが、まだ無力感という鎖に縛られ続けていた。
「迷子になったのかい?」
「ううん。お兄ちゃんは、何しにココに来たの?」
「ちょっと、野暮用でね」
「野暮用?」
「そうだよ。だから少し離れていてくれるかな?ちょっと奥にいる美人さんが怖いから・・・」
モモは一瞬にして木々、草花、空気、大地、空間、空気が怯えるほどの殺気を放つ。
この殺気は誠の人を殺す殺気とは種類が別のようだった。
心に響く、幼い頃の恐怖、トラウマ、消えた恐怖の記憶を無理やり引きずり出すようなそんな殺気・・・。
ラーゲルは体全身が小刻みに震え、両肩をつい自分で抱えてしまう。
幼き時のあの恐怖が鮮明に浮かび上がってくる。
恐怖で恐怖で記憶に蓋をしトラウマを消し去った筈の記憶がズルズルと、蓋から溢れ出てくる。
「・・・お前の殺気は気持ちが悪いな・・・!」
「そうですね。私は如何なる毒をも飲みます。如何なる闇も飲みます。それが私の役目であり、ただ一言“ありがとう”と言って頂けることが私の支えであり癒しなのですから」
「相当お前はイかれてるな。ハハハッ俺と似てるよ。」
「あなたの殺気は未知の恐怖を引きずり出すそんな殺気ですね。」
「饕餮‼︎いつまでサボってる‼︎戦え!そして首を狩れ!」
「御意」
ラーゲルの後方からまた巨大な殺気が放たれる。
ラーゲルは動揺し一瞬足が固まり、振り向くのが遅れたことにより獣になった饕餮の鉤爪を縦に胸に食らう。
肋骨をスパッと切られ、腹まで切られ内臓がドロドロと溢れ出てくる。
ラーゲルは思わず、腹部を押さえるがその一撃は重すぎた。
(油断した‼︎くそ・・・死んじまう・・・全く・・・)
ラーゲルは剣を一本また引き抜く。
毒々しい赤紫の剣を引く抜き、己の切られた部分を抉るようにまた切り込む。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛‼︎‼︎」
血が吹き出てラーゲルの周囲を汚し、ラーゲルは己の血で真っ赤に染まる。
それは、まるで剣の色と同じ血の色であった・・・
ラーゲルが気を失い倒れたかと思うと、開かれた内臓や肋骨がくっつき始める。
それも赤紫色の結晶が骨から伸びて、切られた所を復元し始めた。
それも急速に・・・。
「モモ様!これは・・・」
「饕餮、そいつは誠様や私達とは違った復元術を使う・・・それも未知。私の知識には無い・・・」
「モモ様が知らない技・・・」
「誠様なら・・・もしくは・・・」
「その誠様って強いのか?なぁ教えてくれよ。俺は強さが欲しい。限界まで強さが欲しいんだよ‼︎」
「誠様に貴様のような者を合わせるものか!」
「全く・・・それなら力ずくで行くよ?」
ラーゲルは7本の剣を全て抜き、地面に突き刺す。
だが饕餮はラーゲルが何をこれから始めるのか待つ義理も恩義もないため、また襲いかかった。
今度も背後から攻め立てたが、ラーゲルは振り向こうともせず、饕餮の攻撃を受けた筈だった。
「どうかな?俺の術は?」
「モモ、誠様を連れて逃げろ!この者の術は未知数過ぎる!」
「レヴィアタン、村の住人は?」
「既に避難させましたよ。早くお逃げなさい!饕餮はもう遅い!早く!私がこやつを食い止める!」
「ふーん。すごいねお爺さん?」
「伊達に歳は食っとんよ」
ラーゲルの背に饕餮の鉤爪が当たろうとした瞬間饕餮は空中で、静止した。
ラーゲルが饕餮の方を振り向き、状況を確認するとまたレヴィアタンの方に向き直る。
ラーゲルの後方で、大量の血の雨が降り注ぎ、2回鈍い肉が地面に叩き落ちる音がする・・・。
「・・・お主、妖術と魔法の組み合わせ妖魔法使いじゃな?」
「大正解‼︎ピンポンピンポン‼︎まだ実用段階じゃないんだけどね。それに剣は使えなくなるし結構不便なんだよね」
「だが剣は形を変えて獣になるのじゃろ?」
「そこまで知ってるなら早々に死んでくれるかな?」
「わしも足止め程度じゃ。構わんよホォッホォ」
ラーゲルが地面に刺した剣は形を変えて、ゆっくりと犬の形に変わった。
だがレヴィアタンは動こうともせず、犬に喰らいつかれる。
誠から貰った大切な杖だけは話さずに肉を食いちぎられ、骨と血だけが辺りに残った。
「次は貴方だ。モモさん?」
今回も読んでいただき誠にありがとうございます◟́◞̀




