42話。眠の中
今回の話数も読んで下さり本当にありがとうございます。
ラーゲルは、いつもの優しい青年の顔つきは街を出るとともに瞬時に消え去った。
真顔と言うには殺意と歓喜の念がこもった表情。
笑うわけでも、殺意にまみれた笑顔でも無い。
ただ正体不明の人ならざるものを狩り取るという行為に、何か得ているようだった。
街の外は治安が悪い。
街は巨大なボロボロの塀で囲まれている。
悪人どもが登って入ってこれない様にそう設計されているのだ。
そして、獣の悪人は街から出てくる住人を今か今かと
待っている。
街自体合って無い様な存在なのだ。
国の王は腐り果て、ラーゲルなどが集まった同業者組合が運営している次第だ。
王は国を動かす。
但し動く時それは、確実に大規模で街が滅ぶか、機能する事を忘れてしまうだろう。
何故ならば、このラーゲル達同業者組合が営む街も数年前まではその被害を被った。
だがまだ腐っていない腐りかけの愚王も他国には存在する。
この国は、王の側近がマトモなのでなんとか役職が高い連中を押さえ込んでいる
だが、他に街は魔族と見間違えるほど街が愚王により汚染され、醜く変形・・・進化した者が多く存在すると聞いた。
他の国にも同業者組合は存在する。
だがその対処できる範疇を超えてしまっているのも事実なのだ。
同業者組合は常人を超え、魔族と素手で対立出来るほどに強くなった人間が集まった。
いわば物好きな連中だ。
だがその中にも、もっと物好きな連中が存在する。
開花したその力を限定的にする事で能力と化し、瞬発的な力で魔族を圧倒する物好きな連中がいる。
言わずもがなだが、それがラーゲル。こいつなのだ。
「随分“魔者”が“魔物”らしくなったなぁ俺は前の方が好きだったんだが、仕方ない。」
すこし悲しげな表情をラーゲルは浮かべると、魔術で結界を貼られた森へと入ろうとする。
結界に触れると指先がピリピリっとした感覚に顔を顰める。
「この感覚好きじゃ無いなー」
だが直ぐに顔はしかめっ面から、難しく悩み顏に変わった。
「結界に詳しく無いけど、マズイよねー。でも報告は後でもいっか」
そう呟くと結界を祓い、森の中に入ろうとするが足が止まる。
何故止まるのか理解不能。
ラーゲルは疑問に思ったが、動かぬ足を無理やり進めると足は、いつも通りに動き始めた。
疑問は山ほどあるが、そんな小さな疑問を気にする事すら忘れさせる程、時限を遥かに上回った生物がいる事にラーゲルは気づいてしまった。
「もも様誠様の具合はいかがですか?」
「今は力を戻してる。ただ寝ているだけだから大丈夫です」
「必要になったらまた直ぐに起きるから、心配・・・饕餮には難しそうね」
饕餮は誠が寝ているテントの様な家に前で涙を流していた。
饕餮は家には入ろうとはしない。
誠が回復する妨げになるからである。
じいさんやもも、饕餮には誠がどの世界から力を引き出しているのか理解出来てしまうからである。
誠は誠とまた戦いながら力を吸収しているのだ。
己の中に自分を作り自分を喰う。
だが一体また一体食うたびに、頭にノイズが走る。
「またノイズ・・・。俺の分からぬ事がまだこの世に存在するとは・・・まだまだ弱い証拠だな」
ノイズは大して気になる程の物でも無かった。
だが己を喰えば喰うほどノイズは頭を駆け巡り、意識させられてしまう。
「そろそろ、出てきたらどうだ?」
「全く、貴方は神以上の格を持ち尚且つ人としてその格を吸収し始めているとは本当に厄介ですよ」
目の前にいるのは己自身。
だが、雰囲気も言葉遣いも他人であるように感じる。
誠は持論で、人の中には4つの別人がいるといっている。
だが対峙して居る者は、そのどれでもないαである。
「ハァぁ・・・。いやぁお前と対峙出来て嬉しいよ。やっと本気で戦える。俺が勝ったらお前の体頂くぞ?」
「構わん。だがその代わりお前が負ければ喰らうぞ?」
「お前より格は確実に上だ、勝てるかな?」
「強さは神格や位で決まるものではないです。強さとは己の思う確固たる物を持っているか?ですよ。ほらね・・・?」
「・・・ぷはーっ。いてぇよ糞ガキが」
対峙する誠は、最終覚醒をした誠である。
誠は怒りによって現段階の最終覚醒まで進化したが、自然にいつでもどこでもまだ出来ない。
しかも今回は、ノーマル。所謂、人間状態で全戦闘をクリアするというのが目的だった。
最強の自分と最弱の自分どちらが負けるかなど一目瞭然だが、誠は歓喜に震えた。
「お前は俺だがお前が今何を考えているのか分からない」
「また高みを目指せる。挫折を味わえる。無力さを感じられる。こんな嬉しい事は無いだろう?」
「俺は嫌だねぇそんな事が喜びなんて」
「俺の中に住んでたお前には分かりにくいかもな」
最終覚醒の誠はそれで怒ったのか、話に飽きたのか攻撃を仕掛けてくる。
誠に見えたのはそこまでだった。
以降10秒間で、何をされて自分がどうなっているのか理解する事すら出来ずに居た。
誠は肉の塊になってようやく自分が死んだ事を理解した。
「やっと俺が俺を支配する時が来た‼︎」
「支配するのはまだ先だけどね」
「・・・⁉︎」
誠は死んでいなかった。
覚醒した誠は理解出来ずに棒立ちしていた所に誠が腹部に一撃入れる。
その一撃は確実に腹部に捻じ込まれた。
拳は硬い皮膚の上から食い込むように入った・・・筈なのに誠の右腕は、粉砕骨折していた。
「・・・。まぁどうでもいいか。それにお前は俺に触れたところで蚊と大差無いようだしな」
「困りましたね。腕が使い物にならない上に、予想通りでした。」
「所詮ノーマルだろ?俺に一撃加えられただけラッキーとでも思えよ」
「そうですね」◟́◞̀
更新遅くて申し訳ありません。
電車に揺られながら毎日執筆中です・・・
でも全然時間足りないんですけどね(笑




