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38話。世界移動

 誠は露天を開くためにまず、場所を利用するためのお金を払い、適当に布を引いて、商品を置く。


 商品は、誠がずさんに作った鈍刀と特注の弓矢。その他に付与付きのネックレスや、指輪、イヤリングを置いて行く。


 全て誠からすれば、ゴミなのだがこの世界ではこれぐらいで十分だろう。

 あまりにも強い物を創り出すと世界に秩序が崩壊してしまう。

 バランスは大切なのだ。


 誠は、露天をモコに任せモカの様子を宿へ見に行くことにした。


「少し任せる」


 モコは無言で頷き、それに従う。


 少し露天から離れ、ひと気の無い所に行くと、誠の影が死ぬ寸前で現れる。


「誠様、モモ様が此方にやって・・・」


 そう言い残し誠の黒い分身は命つき、誠の身体の中に戻っていく。

 身体の中に戻ると、記憶と経験と力が戻り、モモに半殺しにされてなんとか切り抜けたそうだが、最上階をクリアしたそうだ。


 だがまだ傷が深く癒えないので、いまはまだ次元を開かず癒しに徹しているようだった。


 饕餮もこの分だと・・・。



「予定が早まりすぎですね。特にこの世界で何かをしようと言う気は無かったですが・・・・。」



 誠は、宿に向かって歩き始める。

 モモと饕餮が戻れば、前の世界で街の建設が始まる・・・。





 一方その頃、露天の方ではルークがやって来ていた。

 ルークは、露天の商品を一個一個手に取り物色する中で一つだけ指輪を手に取りモコに聞いて来る。


 正直商品を聞かれてもさっぱりわからない。

 それに喋れないモコに店番をさせたのは、所詮来ないだろうという考えの上だったので、ルークが来たことも予想外だった。


「この指輪、なんだ?」

「・・・・」

「ん?分からないのか?」

「・・・・」

「んー。どうした物か?喋れない訳でも無いだろ?」


 モコはすかさず首を振り、喋れない事をアピールする。

 そのかいあって、ルークには声が出せないと言うことが伝わり、一緒に店番をやってくれることになった。


「名無しも馬鹿だな・・・。こんな可愛い子を露天に1人は物騒だろ・・・」


(影さん、そうなんですか?)

(周囲の人の腰付近または、足首を見ると分かりますよ)


 影の言う通り、周囲の店番の腰や足を見ると必ず剣やナイフを常備していた。

 中には暗器のような物や、仕込み刀を持っている奴もいると影が教えてくれた。


(大丈夫ですよ。いざとなったら、青狐:蒼狐を召喚すれば良いだけですから)

(でも・・・。)

(この辺一体なら、一瞬ですよ。その分制御が難しいので、高難易度ですが。モコさんなら大丈夫です)

(はい・・・)


 モコは一応ルークも居るので、安心はしているが、大体こう言う所で素人が商品を売ると、頭のおかしい人間が意地悪でいちゃもんをつけて・・・ほら来た。



「おい、この弓矢安もんだろ?」

「そう思うなら買うな。」

「なんだとてめぇ⁉︎客になんて、こと言いやがる‼︎露天やってるなら」

「誠様の商品にケチをつけるとは良い度胸ですね。いっぺん、死にますか?」

「ほげっ‼︎」


 目の前に、美しい女性が突如現れた。

 その女性は、この商品を誠様の・・・と言った。

 そしてその女性は、片手で客の頭を握り潰し、ゲスを見るような目で殺していた。

 その目にモコは何処か、魅力を感じてしまう。

 そう・・・心になにかぞわぞわとほとばしる何かを感じたのだ・・・。

 そして・・・


 主とおなじ狐の仮面をつけて居た。


「汚いですね。申し訳ございません。いま片付けますので」

「うわぁっぁぁぁ‼︎」

「早く!早く!門番呼んでこい!」

「警備隊でも良い!早く!」

「ゴミ一匹ごときで、ギャーギャー煩いですね・・・。いっそみなさん死にますか?」






 誠は宿につくと、モカの顔色をみてモモの事をふと思い出す。


「昔は・・・2人から始まって饕餮って・・・。懐かしいな」

「わーわーギャーギャー」


 誠が、懐かしさに浸って居る時、外がとても騒がしかった。

 瞬時に誠は、モコの顔が脳裏に浮かぶが・・・。

 まさか?と思いつつ、宿の窓から光速で、露天へと戻る。




「お前誰だ?」

「申し遅れました。私は誠様の・・・モモと申します」

「モモ?それに誠様って誰だよ?」

「その商品をお作りになった・・・こられましたね」



「誠様‼︎お久しぶりでございます!」


 モモは目を輝かせながら、抱きついて来るが、惨状を見る限りでは全く喜べない。


「モモやり過ぎだ。それと移動するぞ」

「仰せのままに」


 モモに何も指示しなくともルークをモモは担ぎ上げ、空を飛ぶ。

 まずは街から離れて、ひと気の無い場所でモモと話すことにした。



「殺人鬼はどこだ?」

「さっきまで・・・なぁ?」

「あぁ・・・逃げた?」

「お前、知らないか‼︎」

「あひぃぃぃぃぃ・・・」


 モモが空に舞い上がる時、露天に残って居たものは皆、狂ってしまったと言う。


 中には、天使だ悪魔だ。ちんぴだーとかわけのわからない事を言い出すものまで居る始末で、お蔵入り事件と成った。





「なぁ説明してほしんだが?誠様よ?」

「誠様?」

「モコにも説明しないとな」

「俺の名前は以前誠と言う人間だった。以上」

「・・・」

「・・・」

「改めて、只今戻りました。」

「お疲れ様。予定より早いけど、こっちも片付けるか」



 誠は己の心臓に手を差し込むと、なにか黒い物を引きづりだしすと、それは誠の形になった。


「そろそろ死んでくれるか?俺の影」

「誠様がピュア化したと思ったら・・・」

「えっ?」

「困りますよ誠さん。まだモコちゃん(ry」

「煩い。もう俺の中で静かに死んでおけ」


 誠は、何事もなかったのように横に手を振るい自分の影を殺す。

 殺した後の残骸をムシャムシャと食べる光景は、食欲を無くす。

 モモは、流石‼︎と褒め称えて居たが・・・。


「さてと、力も戻ったしモコ大丈夫じゃ無いよな?」

「・・・」


 モコの目は死んでいた。

 突然自分の目の前で、信頼して居た男が殺されたのだ。

 放心状態でもおかしく無い。

 だから久しぶりにアレをやる


「洗脳開始」

「お前なに」

「お静かに、誠様の邪魔をしないように」


 モモは、鋭く美しい手でルークの首筋を切る体制に入る。

 音もなく近づくその素早さは、流石誠の裏役と言ったところだった。


 だが誠はまだまだ、という顔でモモを見るが昔より遥かに成長して居て、喜びの方が強かった。


「はい。終了」

「お疲れ様です。誠様」

「色々モモには聞きたいことがあるが・・・まずは、モコを宿に寝かせたい、宿で話はしよう」


 洗脳し終わるとモコはぐったっと倒れこみ寝てしまう。

 今回は、洗脳の強さを強めたので、体力がかなり持って行かれたのだろう。





「モモ、塔の状況説明」

「はい。饕餮が最上階で苦戦中。ドレイクキュピヨリの三名は最上階の2層下で、爺は最上階をゆっくり攻略中です」

「そろそろか・・・。こっちで店開きたかったんだが残念だな」


「おいおい、話が見えねぇよ!」

「誠様は他次元の人間です。遊びでこの世界にやって来たんですよね?」

「予定では、店開業まで行く予定だったが仕方ない。帰るか」

「おいおい、こいつらはどうすんだよ!」

「連れて行く。」

「俺は⁉︎」

「要らない。この世界で1番強い奴は誰だ?」

「俺を連れて行け‼︎」



 そこから4時間の押問答。

 意外にルークは、友達がいないようで・・・

 この世界で孤立して居て、誠を友達だとしたってくれているのだが、慈悲など持ち合わせてはいない。


「無理だ」

「頼むよ・・・」

「誠様人間をやめれば良いのでは?」

「えっ?」

「モモ慈悲は、ルークの」

「それどうやるんだ⁉︎」

「面倒だ。」


 誠は、ルークを拷問部屋に突き落とした。

 簡単に人間を辞められるわけが無い、だが方法が無いわけでも無いが、ルークにはまだ早い。

 拷問部屋で10年修行したら、誠は考えるようだった。



「相変わらず慈悲無しですね」

「慈悲などあっても、虚しいだけだよモモ」



 そう言ってると、また一つ次元が裂ける。


「お久しぶりでございます。誠様」

饕餮(とうてつ)早いな」

「誠様にモモ様が出会ったようでしたので・・・」


 モモだけに独り占めはさせないと、急いで戦闘を終了させて戻って来たようだった。

 全ての牙や爪が、黒く光って居たのでプレゼントは成功だった。


「懐かしい面子が揃ったな」

「はい♪」

「誠様、これからの予定はどうなさいますか?」

「1人会ったら、この世界を後にする。街を建てるぞ‼︎」

「分かりました。」

「御意」


 モモと饕餮(とうてつ)は、モコとモカを1人づつ抱えると、次元にはいり先に行く。


「さてと・・・ミーシャに会いに行くか」


 誠は、宿の中で壁に向かって歩くと勝手に次元が裂ける。

 正確には次元が避けているのだ。

 逆らっては行けない存在だと認識した為だった。





「はぁ・・・。名無しってあんな人だっけ?」


 ミーシャは1人、落ち込んで居た。

 惚れた?男が奴隷を使っていたなど、ミーシャは信じたく無かった。


「何を落ち込んでいる。ミーシャ?」

「はぇっ⁉︎」


 1人家で落ち込んで居たミーシャの目の前に、誠が現れたのだ。

 驚かない方がおかしい。

 それに加え、今ミーシャは・・・下着姿だった。


「・・・出直す」

「・・・・いやぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎」


 下着の色は、ミーシャのトレードマークの色とおんなじだったのをハッキリ見てしまったが仕方ない。


 少し経ってから戻るとミーシャが涙目で、こちらを睨んで居た。


「最低!」

「ミーシャ。お別れだ。」

「えっ?」



 仮面をつけて居たので全く誠の表情は読み取れなかったが、ミーシャは冷静に誠を見ることが出来ない。


 どこか遠くに行ってしまう気がしたのだ。

 もう2度と会えないような気が・・・。


「だめっ!行くな!」

「こんな姿でもそう言えるか?」

「・・・」


 誠は、真の姿を見せる。

 皮膚は黒くなり、爪は獣、目は紅く染まり

 あがる。


「それ・・・でも!行くな‼︎」

「じゃあお前が来い。」



 カウンターを食らったミーシャはきょとんとした顔になる。

 当然行かないという回答を待っていたら来いと言われ、呆然となる。


「誠様。そろそろ宜しいですか?」


 突然モモがやって来て、雰囲気を破壊しに来る。


「ん?どうかした?」

「キュピヨリドレイクが最上階に入りました。」

「爺は?」

「こちらに向かっています」

「どうするミーシャ?」


「いき・・・」


 ミーシャは迷う。

 ついて行きたいのは山々だが、こちらの世界のこともある。

 それがミーシャを悩ませて居た。


「俺とついてくれば皆記憶は消える。それが世界の修正だ」

「誠様、この女連れて行くんですか?」

「統率力だけは、鬼だ」

「ふふっ。」


「行きたい・・・けど・・・。」

「けど?」

「怖い」


 ミーシャは意外に乙女だった事を誠は把握した。

 いや、女性は全て乙女と言うことを忘れてしまって居たことを思い出す。


「大丈夫。今から行く世界は、面白い」

「ほら・・・。」


 誠は迷うミーシャの腕をそっと掴むと、次元に放り込む。


「慈悲無しですね」

「俺には、モモがちょうど良い」

「褒め言葉と受け取っておきます」


 2人は足並みを揃えて、家を後にすると、その世界から記憶が抹消される・・・。


読んでいただきありがとうございます。


他の作品書いていたら、更新がっ・・・。

遂にモモ&饕餮の復帰‼︎

直ぐにキュピとか成長して戻ってきますよ!

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