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29話。加護と修行

誠は、塔最上階で胡座をかき、杖を磨いていた。

「こんなもんか?」

そう言うと誠は、杖を振るう。

振るうと空気は揺れ、空間は歪み、空間が裂ける。

「良い感じだ。じいさんには多少チープな代物になるかもしれんが勘弁して欲しい」

そう言って完成したのは、ただの杖。

変哲もない杖。

だが物凄く、神聖な物‼︎というオーラを放っている。

「次は・・・ピアスでも作るか」

誠は手の中に日緋色金を出して、爪で加工し始める。

加工し終わると、ピンクダイヤを手のひらに二つ出す。

それをピアスにはめて、誠は何か言霊を吹き込み、完成させる。

ピアスの形状は、悪魔の手にピンクダイヤが握られている物。

とても悪趣味だ。

これではホープダイヤに・・・

「完成だ、次はドレイクの炎か・・・」

誠は自分の胸を強く叩くと何かを吐き出す。

「おえっぇぇ」

口から出て来たのは炎の結晶。

「これは良い炎が出て来たな。これでドレイクのプレゼントは完成だ」

「次は饕餮。饕餮は言霊だから何か言葉を玉に封じ込めるか」

そう言うと手に光る球体を出現させて何かを話しかける。

「全てのプレゼントは揃った。饕餮以外は最上階に置いておくか」

誠は、他の塔に移動し始める。

塔の窓から、ジャンプし、隣の塔へ・・・。

最上階に辿り着くと、白い長方形の石が床から出て来て、その上にプレゼントが置いて有るように細工を誠は施し、饕餮に会いに行く。



「誠様の分身は強い・・・」

饕餮は、人間化と獣化を繰り返しながら誠の分身と戦う。

一切誠の分身の影は喋らず攻撃してくる。

唯一救いなのは、日緋色金刀を持っていないこと・・・。

「これでどうだ!」

饕餮は、己の爪でやっとの思いで誠を斬り裂き殺すと、霧となって消える。

「はぁはぁはぁはぁ・・・」

饕餮が気を緩めて居ると、何か恐ろしい?

いや、近寄られると“死ぬ”程恐ろしい者が近づいてくるのを感じ取る。

誠ではない気を饕餮(とうてつ)は感じ取り身構える。

だが、饕餮(とうてつ)は目の前に現れた者に全く反応出来ない・・・。

そう・・・突然、突然・・・

突然やって来たのだ、その魔物は・・・。

「誰だ貴様!ここは誠様の神聖な塔だぞ!」

饕餮(とうてつ)、俺だ?何を勘違いしてるんだ?」

「お前のような死人の気を持つ物が誠様だとはどの口が言う!」

「うーん?じゃあこれで証拠になるか?」

誠は日緋色金刀を取り出し見せる。

「誠様・・・?」

「すまない、俺は人を完全に辞めてしまった。今は魔物でも人でも神でもない、“何か”だ」

「ご無礼をお許しください‼︎」

そう言うと人型に饕餮はなると土下座をし始める。

「私は!私は!この命を持って償います!」

饕餮は、自分の胸に手を当て、心臓を抉り出し誠に差し出す。

「おい、饕餮?命を粗末にするなと言ったはずだ。」

「ですが!私は・・・」

「許されない?誰がいつ言った?俺を敵と見なしてはいけないなどと?」

「言っておりません・・・」

「俺を見定めろ!そして敵と思ったら殺せ!」

「はい・・・」

「そしてこの塔の難易度を上げた。これから先は今のお前ではクリア出来ないだろう?もし辛くなった時はこれを叩き割れ」

そう言って差し出すのは、例の球体。

「これは・・・?」

「俺の声が入っている。割らない事は許さない。最上階まで辿り着けた時は俺の何でも屋をやってもらうぞ?要はアサシンのようなものだ。だから頑張ってくれよ?期待している」

「御意‼︎」

「じゃあな」

「誠様!」

「ん?」

「どこか行かれるのですか?」

「ばれたか?少し遊んでくる。最上階に着いた頃には帰ってくるさ」

「行ってらっしゃいませ!」

「ああ」

誠は、そう言って消える。

饕餮は誠からの一押しによってより強くなる。

饕餮には今一番のプレゼントは激励のみ

あげれば何倍も何千倍も何万倍も強くなるのが不思議なところだ。

次はももの場所に向かう。



「はぁ・・・強くて疲れるー誠様をずっと見れるのは嬉しいけど強すぎ」

そうボヤいて、誠の首を片手で吹き飛ばす。

その瞬間後ろから声が聞こえる。

「怖いねーももは?もっとももだけは難易度あげようか」

ももは即座に振り返りバックステップをして、身構える。

そして攻撃を繰り出してくる。

だが誠はその腕をへし折り、肩からむしり取る。

「もも、まだ爪が甘い。」

「お前は誰だ、答えろ」

低い声で殺気をこちらに向けてくる。

「ももは綺麗だね、俺はこんな化け物になってしまったが・・・。最後に見れて嬉しかったよ。じゃあね」

そう誠は、言葉を残すと、ほっぺにキスをして消える。

ももが敵がいなくなった事に気がつくと、むしられた腕は既にくっついていた。

そして後から声が聞こえてくる・・・。

「えっ?誠様・・・?」

気がつくと髪に狐の仮面がくっついていることに気がつく。

「誠様の仮面・・・・」

「誠様・・・」

ももは、塔の天井を見つめ、仮面を抱き抱えて呟く・・・。

そして何かを心に決めたのか、仮面を被り、足を進めて次の階に進む。

その姿は、美しく、どこか悲しさを彷彿とさせる雰囲気をまとっていた。



「そろそろ限界が近いな・・・ももと饕餮の分のプレゼントも作らなきゃダメだよな・・・」

そう言いながら、最上階で悩む誠。

ももには、日緋色金で作った指輪を。

形状は、二本の糸を編みこんだ指輪。

饕餮には、己の爪を加工、消毒をした牙を作った。

むしり取ってもすぐに再生する。

誠のかかとからも爪が生え始め最終的の進化につれて、力の制御が出来なくなり始めて来ているようだった。

「早く、何処かで修行を始めないと・・・」

「そうだ・・・キュピもいるのを忘れて居た・・・」

キュピには、リングを与える。

禍々しく、黒く光るそのリングは足につける物である。

誠は、プレゼントを配置し、塔の上空に翔ぶとこう唱える。

「我が作りし物を持つ物に加護を与えよ!」

誠が作った6個のギフトが光り始め徐々にその光を弱めて行き、最後には光を発しなくなる。



「適当に他の世界に行くか・・・」

誠は、空を裂き他世界へ行く。

その瞬間、もも・饕餮(とうてつ)・じいさん・ヨリ・ドレイク・キュピが誠の何かを感じ取り皆上を一度見上げて、言う。

「行ってらっしゃいませ。お帰りをお待ちしております」

そして一礼。

それの返答なのか誠は、言う。

「ああ、行ってくる。成長楽しみにしているぞ」

そう言い、裂け目に入る。

読んで頂きありがとうございます。

今回で第一章とさせて頂きます。

気づいたら29話で半端・・・。最悪です

一応区切りと言う形です。

次話からは、登場人物(主人公以外)が総入れ替えとなりますが、“スグ”に前の登場人物が出てきますので安心してお読みください。

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