2 小6×高2
あの後から翔祐君はママかパパに一言伝えてから私に会うことになった。パパは最初はあまりいい顔をしなかったが、私からもパパに翔祐君のいいところをなるべく話すようにした。私の気持ちを汲み取ってくれたのか、パパもだんだんと翔祐君を受け入れてくれるようになり、私から完全に引き離したら駄目と思うようになった。
翔祐君のお母さんは私に何かあったらいけないからと引っ越しを考えていたそうだが、パパとママが様子を見てほしいと止めたこともあり、とりあえず今はここにいてくれるみたい。何かしたら絶対引っ越すからねと翔祐君には釘を差しているようだけど…。
そのうち私は小学6年生になり、翔祐君は高校2年生になった。もう元カノの紗英のことはどうでもよくなってたけど、切るのがもったいないと思ってしまって髪は延ばしたままにしている。
「由紀奈、ますます女らしくなったなあ。学校でモテるんじゃない?」
「さあ…。そういうの興味ないからわかんないよ。」
翔祐君は学校での私を心配していた。今まで私のことを好きだと言ったのは達也君くらいだし、他の男の子はそこまで話さないから好かれてもいないと思う。それに何より翔祐君といると同い年の男の子に魅力を感じなくなるのだ。
「佑梨ちゃんと礼子ちゃんとそういう話はしない?2人ともモテそうだけど。」
「あ!そういえば、礼子ちゃんは鈴木君と付き合うことになったの!佑梨ちゃんは好きな人はいないみたいだけど、話しやすいからモテるの。」
礼子ちゃんと鈴木君は同じ学校で同じ学年だもんなあ。学校でも会えるのは羨ましい。
「小学生で付き合うんだね。最近の子はませてるねぇ。なんて、高校生の俺と付き合ってる由紀奈は人のこと言えないか。」
実は学校の友達には翔祐君と付き合ってることを話してはいるんだけど、由紀奈がそう思っているだけ、と言われて本気にされてない。礼子ちゃんと佑梨ちゃんだけは聞いてくれるけど。
「由紀奈、そろそろ洗濯物を片付けよう。乾いてるはずだから。」
「うん!」
ママが妊娠中で大変だから、家にいるときは家事をすることにした。翔祐君も協力的だし、一緒に家事をするなんて夫婦みたいでちょっと楽しい。翔祐君はパパの洗濯物とタオル、私は自分とママの洗濯物を片付けている。
「俺今まであんまり家事しなかったけど、由紀奈と一緒にいたいからちゃんとやるようになったんだよ。家でもやるようになって母さんに安心されてる。」
私も翔祐君と一緒にいたくて変わっていってるけど、翔祐君も同じなんだ。2人で一緒に成長できるのは嬉しい。早く…早く翔祐君と結婚したい。
「焦らなくていいよ。結婚はゴールじゃなくてスタートなんだから。そのスタートに向かって準備しないといけないことがたくさんある。準備なしで結婚したらうまくいかないだろ?俺も頑張るから。」
結婚は18歳にならないと出来ないので、そのスタートラインに立つまであと6年…。長く感じるけど、きっと翔祐君となら乗り越えられると思う。
「なあ、相沢って最近可愛くなったよな。」
「お前も?俺も思ってたよ。」
達也が友人の男樹、徹平や他の数人と話していると由紀奈の話になった。
「どうしたのかな?整形か?」
「なわけないだろ。あれはたぶん彼氏だよ彼氏。」
「そうだとしても誰だよ?彼氏なら相手ですぐわかるじゃん。」
「同じ学校とは限らないよ。達也、何か知らない?よく話してるじゃん。」
達也は翔祐に対してかなり嫉妬していた。口にしたくもない名前だったが、自分が何かしたところで2人の仲が引き裂かれるわけがない。
「翔祐っていう彼氏がいるんだよ。」
「え?誰々?達也の友達?」
「そうじゃないけど、由紀奈がそいつの話しかしないから知ってるだけだよ。」
達也は一度気持ちは伝えているが、由紀奈が自分のことを微塵も意識することがなく、翔祐の話ばかりするのが気に食わなかった。
「翔祐ってこの学校のやつ?同じ学年じゃないよね?」
「違うよ。翔祐は高校生なんだよ。」
「え…??それ本当なの?」
友人たちは唖然としていた。やはり、世間的に2人の恋は問題なのだ。
「それ本当に付き合ってんのか?相沢だけが好きって言ってるんじゃない?高校生と付き合うってヤバいだろ。」
「うん…。高校生なら相沢の勘違いだよね…。」
みんなちょっと引いているように見えた。自分だって最初は由紀奈の片思いだと思ったが、翔祐と話したときに、とてもそうは思えなかった。由紀奈が休んでお見舞いに行った日だ。佑梨、礼子には先に帰ってもらって2人で話した。
翔祐には、自分が由紀奈から離れないといけなくなったら達也に全部委ねるかもしれないと言われた。だが、周りが引き裂いたところで由紀奈が翔祐をあきらめきれるとは思えないし、年齢的に許される日が来たら翔祐の方に戻ることはできる。その日が永遠に来なければいいと思ったが、いつか大人になるのだから止めるのは無理だ。
翔祐さえいなければ…自分のほうに来たかもしれないのに。俺に全部委ねるなんて、無責任なこと言いやがって。委ねられなくても俺は由紀奈を奪う気でいたのに。
「た、達也…大丈夫か?」
翔祐のことを思い出して顔にも拳にも力が入っていた。
「ごめん…大丈夫だから。」
「その翔祐って変なやつなの?あ、もしかして不良なんじゃない?」
「たしかに、不良なら小学生を騙すかもなぁ。相沢、騙されてなかったらいいけど。あんま関わらない方が良さそうだね。」
翔祐を悪く言われても嫌な気はしなかったが、由紀奈は絶対に騙されてなんかいない。お互いの親も2人の関係を知ってるし、親に反対されたからこそ由紀奈は努力をして綺麗になってるんだ。だからこそ自分が介入する場所がない。
「ねえ達也、その翔祐って奴見てみたいんだけど。家知ってるの?」
「いやいや、やめとけよ!本当に不良だったらどうすんのさ。」
男樹は完全に不良をイメージして焦っていたが、翔祐は不良でもなければ小学生相手に喧嘩を売るような奴でもない。
「不良じゃないよ。ヒョロヒョロしててひ弱そうな奴だよ。」
正直な感想だ。礼子と佑梨はかっこいい高校生と言っていたが、達也からしたらどこがいいのかわからなかった。だいたい、何があっても自分が由紀奈を守るって覚悟がないんだからひ弱に見えても仕方ない。
「ねえ、由紀奈ー。翔祐君来てるよ。」
「えっ?どこに?」
「ほら、あれ。」
学校の2階の窓からは校門が見える。帰ろうと準備をしていたら佑梨ちゃんが、翔祐君がいることに気付いた。
「翔祐君って由紀奈の彼氏?」
「うん!そうだよ。」
「へえ…。」
クラスの女の子たちは私達の関係を本気にしていないので、翔祐君が来ていることに興味津々な様子。
「ねえ、翔祐君と話してみたいんだけど駄目??」
「大丈夫だよ。」
私は佑梨ちゃんや他の女の子たちを連れて校門へ向かった。ちょっと後ろには達也君と男の子たちが一緒に歩いていた。男の子たちはなんだかワクワクした様子に見えたが、何を楽しんでいるのかは分からない。
「翔祐君!」
翔祐君は私に手を振った。
「あれ?お姉ちゃんも来たの?」
佑梨ちゃんのお姉ちゃんも一緒にいた。
「なんで佑梨ちゃんのお姉ちゃんと一緒なの〜?」
ちょっとヤキモチを焼いてしまった。
「男1人だと不審者扱いされるからって茉梨さんもついてきてくれたんだ。」
「それに、この学校の生徒の家族なら来ても不自然じゃないでしょ。」
高校生でも不審者扱いされるなんて…。
「何々?浮気か?」
達也君の友達がコソコソ話しているのが聞こえた。
「翔祐!俺たちのクラスメイトを騙したら許さないぞ!」
「ちょっと、やめなよ!」
男子がからかうのを女の子たちが止めてくれたが、翔祐君があまり怖く見えないからか面白がっている。
でも、翔祐君は全く動揺しなかった。
「由紀奈、いい友達に囲まれてるんだね。俺安心したよ。俺の大事な彼女だから変な奴につかまったらみんなで助けてあげてね。」
「へ、変なやつはお前だろ!高校生が小学生と付き合うなんて聞いたことないぞ!」
「そういう恋もあるんだよ。もう少し成長したら分かってくるよ。」
そして翔祐君は、達也君の目の前に立った。
「この前はごめんね。周りに反対されて自信がなかったんだ。でも、もう大丈夫だから。」
「ふん!何を言われても俺はいつか自分のものにしてやるからな!覚えとけよ!」
「受けて立つよ。絶対譲らないから。」
???
翔祐君と達也君、どうしたんだろう…?
「由紀奈、帰ろう。」
「うん!」
翔祐君は手をつないでくれた。
「茉梨さん、今日はありがとう。また明日ね。」
「うん、じゃあねー。」
佑梨ちゃんとお姉ちゃん、女の子たちには手を振って帰った。達也君は怒ってて、他の男の子たちはオドオドしている。
「達也君と何話してたの?」
「ライバルだから譲らないって宣言したんだよ。」
「ライバルって…私は達也くんの方には行かないよ。」
「それならいいんだけど。あと由紀奈はやっぱり男にモテるみたいだから、今日来てみてよかった。」
「モテる?どこが?」
「男の子たちに心配されてたじゃん。俺が由紀奈を騙してると思って文句言いに来たんだよ。」
高校生と付き合ってる私を見てからかってただけじゃないかなあ…。それに、翔祐君が平然と対応するのを見てかっこよく見えてしまったのでますます同い年の男の子が子供に見えてしまった。
「由紀奈、本当に翔祐君と付き合ってるんだね。私、由紀奈の思い込みと思ってたの。」
茉梨は、佑梨とその友人たちと話しながら帰っていた。
「私もだよ。佑梨と礼子も由紀奈に合わせてあげてるだけかと思ってた。」
「そんなわけないじゃん。私、お姉ちゃんから話聞いてたから信じてたもん。デート現場も見たことあるし。ね、お姉ちゃん?」
「そうね。2人ともラブラブなのよ。」
翔祐は学校では浮いた存在なので、女子と話すところを茉梨は見たことがなかった。でもお喋りの茉梨からしたらどんな人間なのか気になって仕方なかったのだ。隣の席になったのをきっかけに話すようになったが、思っていたほど変な人間ではなかったし、むしろ大人びて見えた。大人びているからこそ同い年と合わないのかもしれない。
ただ、由紀奈のことを打ち明けられたときには本当に驚いた。大人びていたら年上女性の方に行きそうだが、まさか小学生の女の子だなんて。ロリコンという言葉が出そうになったが、翔祐の真剣な眼差しに対してそんなことを言えるはずがなかった。由紀奈の両親にバレて頭を下げたことも、理解してもらうために話し合いをしながら少しずつ前に進んでいることも全て聞いた。出会ったのがたまたま早すぎただけで、これは間違いなく純愛なのだ。だから茉梨も協力したいと伝えた。今日は翔祐が、由紀奈を疑う友人たちへ自分たちの仲を証明しに行くと言い出したからついてきた。高校生と言っても男1人だと教師たちが何を言いに来るかわからない。佑梨の姉の自分なら何も文句を言われないだろうと思ったのだ。
「それにしても翔祐君ってかっこいいよね。男子たちがオドオドしてたのはちょっと面白かった。」
「だよね。私も高校生の彼氏欲しいなぁ。」
2人は茉梨を見た。
「佑梨のお姉ちゃん、誰か紹介して!」
「え〜、それはちょっと…。」
アハハ〜と笑ってごまかすしかなかった。さすがに翔祐みたいな男はなかなかいないから見つけるのは大変だ。
あの後から佑梨ちゃん、礼子ちゃん以外の女友達とも翔祐君の話がしやすくなった。みんなは同い年の男の子ばかり好きになっていたから私は恋バナになるとちょっと浮いていた。でも、翔祐君を直接見た子たちは私の話も楽しそうに聞いてくれるようになった。
そしてもうそろそろ夏休みに入る頃だ。みんなと毎日会えないの淋しいなぁ…。しかも小学生最後の夏。いい思い出が出来たらいいんだけど。
「そういえば由紀奈のお母さんって妊娠してなかった?」
「うん、してるよ。夏休み中に生まれると思う!」
性別は男の子だ。ずっと1人だったので弟のいる生活なんて想像がつきにくかった。
「弟って落ち着きがないのよね。1日中大騒ぎしてるし、部屋の中も散らかってるし。」
「わかる!うちなんてお兄ちゃんがそうだよ。私がいくら怒っても全然聞かないの。」
そうなのか…弟が生まれたらちゃんとお世話できるかなぁ…。
「でもさあ、翔祐君だってそうなんじゃない?由紀奈が代わりに部屋を片付けたりしない?」
「え?翔祐君?」
翔祐君は私と一緒に家事をしてくれるし、翔祐君の家の中も汚いなんて思ったことないし、いつも綺麗に片付いていた。大騒ぎなんてしないし、いつも落ち着いてる。
説明すると、みんな目をキラキラさせてた。
「いいなぁ。翔祐君、素敵な高校生なんだね。本当に結婚できるといいね。」
私が好きだから翔祐君はいい人に見えると思ってたけど、本当に素敵な人なんだ。みんなに話してもっと認識できた。
数日後、夏休みに入った。相変わらず翔祐君は私の家の家事を一緒にしてくれてる。
「翔祐君、いつもありがとうね。本当に助かってるよ。」
「これくらいなんとも。」
ママは翔祐君にお礼を言ってた。
「翔祐君が由紀奈のお兄ちゃんならよかったのにねー。」
「駄目だよ!そしたら結婚できないじゃん!」
もうすっかり翔祐君は家族の一員のようになっていた。去年、私との関係がバレた時のパパとママを見てどうなるかと思ったけど、翔祐君が諦めないでいてくれて本当に良かった。
「ねえ翔祐君、弟が生まれたら子守の練習しようよ。ミルクとかは無理だけど、ママからオムツ替えならやっていいよって言われたから。」
「いいの?やってみたい。」
「たまにでいいからね。」
ママはそういいながらお腹をさすった。
そして翔祐君が家に帰った後に入れ替わる形でパパが帰ってきた。いつものようにご飯を食べてお風呂に入った後、ママがお腹を抑えて苦しみ始めた。陣痛が始まったんだ。私は背中を擦ったが、腹痛ではないので単なる気休めでしかない。
「もうたぶん生まれるから病院に行こう。由紀奈も一緒に…。」
パパはそう言いかけたが、既に夜の10時だった。たぶん連れて行っても私のことまで気がまわらないから躊躇ったのだ。正直なところ、私も夜中に起きっぱなしで付き添う自信がなかった。もう12歳なのだし、こういう時に1人で留守番くらいは出来る。
「私は1人で大丈夫だから、2人で行って!」
「翔祐君…翔祐君に頼もう。今の彼なら大丈夫。」
ママが絞り出すように言った。
「……そうだね。今の翔祐君なら大丈夫だ。」
しばらくして、翔祐君が来た。パパと一緒にママを車に運んでくれた。
「お気をつけてー!」
パパは運転席に乗ってすぐに車を走らせた。
「とうとう弟が生まれるんだ…。楽しみ!」
「そうだね、俺も楽しみだよ。」
話しながら私の家の中に入った。
今日は翔祐君が泊まってくれることになった。
「お母さんには止められなかった?」
「母さんは夜勤でいないんだよ。いたら俺の家で一緒に泊めたかもね。」
たしかにそうなるかも。お母さんは何かあったら引っ越すよって言ってるから…。でもその「何か」が何なのか私にはよく分かっていなかった。
「翔祐君、お風呂入った?」
「うん、もう入ったよ。だからこんな服なんだよ。」
たしかにいつもよりも楽な格好をしていた。大き目のTシャツとジャージ姿だった。私はパジャマを着ていたが、風邪を引いたときに既に見られているので、たいして恥ずかしさは無かった。
いつもは会えない時間帯だから、せっかくだからとしばらく一緒にテレビを観ていたが、さすがに眠くなってきた。
「ねえ翔祐君、私もう眠たいから一緒に寝よう?」
「一緒に?」
「うん。私の部屋で寝ようよ。」
てっきり私は同じ布団で一緒に眠れると思っていたのだが、翔祐君の反応は悪かった。
「いや…さすがに寝る部屋は別々にしよう。お客さん用の布団があるからって言われたし…。」
「なんでよ?今日そのために来たんじゃないの?」
「違うよ。夜中に女の子1人だけなんて危ないだろ。だから来たんだよ。家の中にはちゃんといるから。」
冷房の効いた部屋なのに翔祐君は汗をかき始めた。
「なんで嫌なの?翔祐君、私と一緒に寝るの嫌なの?」
「そうじゃない。……由紀奈、何したら妊娠するかってお母さんと勉強したよね?俺がそれしちゃうかもしれないから危ないんだよ。」
「それさえしなきゃいいじゃん!一緒に寝るだけなのも駄目なの?」
「駄目なんだよ。たぶん俺が我慢できないから。」
「なんで我慢できないの??」
翔祐君はかなり困った様子だった。私の知らないことなら教えてくれればいいのに…。
「由紀奈、ごめん…。これはもう説明して分かることじゃないんだよ。だから今日はもう1人で寝ろ。じゃないと俺は引っ越さないといけなくなる。」
突き放された感じがしてすごく嫌だった。
「私、翔祐君が好きだから一緒に寝たかったのに…。」
そのままソファの上で翔祐君にくっついた。翔祐君は私を払い除けたりせずに、ただただ座っていた。
由紀奈はそのまま寝落ちした。翔祐は由紀奈を抱えて部屋に連れて行き、ベッドに寝かせた。
「由紀奈、ごめんね…。」
おでこにキスしてから部屋から出た。
こんなに大事に想っていても、小学生の由紀奈には理解してもらえない。けど、いつかきっと分かってくれる。自分がなぜ今日一緒に寝なかったか。一生一緒にいたいのだから、今を蔑ろにするわけにはいかない。これから由紀奈が自分から離れていくかもしれないが、だからといって小学生の女子に手を出すわけにはいかない。由紀奈の両親に知られる前なら一線を越えてた可能性もあるが、今はもうあの頃の自分ではない。
「由紀奈…ごめん。本当にごめん。」
翔祐は涙を流した。
由紀奈が同い年だったらどんなに良かったかと何度も思った。同級生の友人たちがとんとん拍子に関係を進めるのを見て、うらやましく感じていた。でも、自分が好きになったのは由紀奈だった。何故こんなに年下の女に惚れたのかは自分でも分からない。
「出会ったのが少し早かっただけ。翔祐君の気持ちは純愛なんだよ。」
茉梨の言葉を思い出した。そうだ、出会ったのが早いだけできっと最後は結ばれるはずだ。
翔祐は茉梨がいて本当に良かったと思った。由紀奈のことは茉梨にしか言っていない。茉梨は日頃お喋りなのにこういうことになると口が堅く、信頼できる人だ。
茉梨と翔祐が付き合ってるのかと噂されたこともあったが、茉梨は自分を犠牲にして、自分が翔祐に興味があるからついて回ってると話していた。茉梨は翔祐のことを恋愛対象にしていない。それは翔祐にもわかっていた。
また茉梨さんに聞いてもらおう。それで消化しよう。その代わり茉梨さんの話も聞くけど、と考えながら翔祐は別の部屋で眠りについた。




