16 20歳×25歳〜結婚式〜
プロポーズから2年後…。
20歳になった私は、結婚式場の控室にいた。
「お母さん、これで大丈夫かな?」
「そんなに心配しなくても大丈夫だから。」
着慣れないから本当にいいのかわからないけど、両親が嬉しそうにしているから良しとしよう。
「お姉ちゃん、綺麗だよ。」
「雅史、ありがとう。」
雅史は8歳になり、とても素直な男の子に成長していた。
「翔祐は?」
雅史は今でも翔祐君に懐いている。久々に会えたときは1日中くっついていた。
「翔祐〜?お姉ちゃん準備できたよ。」
「分かった分かった。」
雅史がトイレから戻ってきた翔祐君を引っ張ってきた。
「翔祐君、かっこいい!」
髪を七三分けにキッチリと整えていて、いつもとは違っていたけどとても素敵に見えた。
「ゆ、由紀奈!?あぁ、まだ心の準備が…。」
そう言って私に背を向けて椅子に座った。5年前に撮った写真館の時と同じことになってるじゃないの。
「翔祐は本当に由紀奈ちゃんが好きなんだなぁ。」
翔祐君のお父さんが笑いながら見ていた。
「もう、まさか貴方のこと呼ぶなんて思わなかったわ。酔っ払ってみんなに迷惑かけないでよ。」
「大丈夫だよ。」
翔祐君のお母さんとお父さんは離婚しているけど、翔祐君が私と付き合い始めてから度々連絡を取るようになったそうだ。翔祐君が家事等するようになって、成長したのが嬉しかったのだろう。
私は、プロポーズした後に初めて翔祐君のお父さんに会うことになったのだけど、数十年後の翔祐君を見た気分になった。僕たちは離婚したけど、翔祐は顔以外は似てないから安心して、と言われた。でも、翔祐君の結婚を本当に嬉しそうにしているところを見ると、顔以外だって似てるのにと思った。
「翔祐、いつまでそうやってるんだ。結婚式挙げれないぞ?」
翔祐君がいつまで経っても私に背を向けているので痺れを切らしたお父さんが言った。
「翔祐君、日常生活が始まったら由紀奈のこんな華やかな姿見れないんだから、今のうちに目に焼き付けとかないと。」
翔祐君のお父さんと私の父は翔祐君を無理矢理立たせて私の眼の前に連れてきた。
「由紀奈…。綺麗すぎるよ。本当に俺でいいのか?」
「もう、当たり前じゃない!」
その様子を見て私の母が言った。
「ちょっとだけ2人にしてあげません?このままだと式の途中に翔祐君が倒れちゃう。」
「そ、そうね。翔祐、目を慣れさせておいてね。」
翔祐君のお母さんも賛成して、みんなは一旦控室から退出した。雅史だけはよく分からずに、なんでなんで〜と文句を言っていた。
「由紀奈が綺麗すぎて本当に倒れるかと思った。」
「そんなにいつもと違わないよ。」
翔祐君は瞬きを何度もしている。
「ねぇ由紀奈…これって奇跡だと思っていい?」
「何が?」
「俺達が結婚することだよ。俺、無理だろうなって思ってたんだ。由紀奈にあんなに辛い思いさせて、もう戻ってくるわけないと思ってたから…。」
「それでも一緒にいたいと思えたからこうして戻ってきたんだよ。翔祐君だってもう二度と離れないでよ。」
一度離れてもこうしてまた会えたんだから、きっと私達は一生一緒にいられるの。そして今日は、本当の愛の誓いをする…。
「新郎翔祐、貴方は健やかなる時も病める時も、新婦由紀奈を愛することを誓いますか?」
「はい、誓います!!」
「新婦由紀奈、貴方は健やかなる時も病める時も、新郎翔祐を愛することを誓いますか?」
「はい…誓います!」
「では誓いのキスを。」
翔祐君と向き合うと、涙を流していた。私の目からも涙が流れていた。この誓いは形式なんかじゃない、本当に本気の愛の誓いなのだ。
私にはもう、貴方の代わりはいない。だから翔祐君…。一生一緒にいようね。
終




