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第十六話 話し合い

「んじゃ、これからの方針でも決めよう」


 太陽が登り始めてさほど時間は経っていない。見上げるほどの位置にはない。いつも太陽が昇る前に行動を開始する俺とブナにはちょうどいい時間だが、王女様には少々眠かっただろうか。うつらうつらとしていて、目に覇気がない。


「相変わらず、朝に弱いんだな」


 ブナが苦笑しながら頭をがしがしかく。そんなブナをキッと睨みつけるがやはりその目に迫力は感じられない。


「弱くないわ」


 ショボショボの目を擦りながらそう言い放つ。言葉にこもった意志は本物だが、行動が追いついていない。そんな彼女を見て、俺とブナは顔を見合わせて笑う。


「何笑ってんのよ」


 ぶすくれるがそれすら今の俺たちには面白い。馬鹿にされているのに気付いてひどく不機嫌そうだ。


「まあそれはいい。とりあえず王都奪還の戦略を練ろう。現状俺らの戦力は俺とセンだけだ。これだけでもそこそこいけるっちゃいけるんだが、足りん。向こうには近衛騎士がいるからな。あいつらには俺しか対応できない」


「わかりました。まずは現状把握からですね。親人間派の戦力は一万程度です。王都から外れたところに兵は集まっています。対して向こうは粛清があったので正確にはわかりませんが、二万程度だと思われます。将軍格に関しては、こちらはブナ一人だけです。先のクーデターであらかたやられました。対して向こうは三人、騎士団長と副団長二名ですね。かなり分が悪い戦いです」


「ああ、すまんが、このチビも一応戦力に入れてやれ、意外とつえーんだこいつ、見かけによらず」


「見かけによらずとは何だ。失礼なやつめ」


「でも将軍格とはまだ……無理でしょう?」


「おい、セン舐められてんぞ?」


 試すようなブナの視線が不快だ。煽るようなその口調。挑発だと気づいている。俺は何度も引っかかってきたが、このまま黙っていられるようなら俺は今すぐ死んでやる。


「いける」

「でも……」

「いける」

「ですが……」

「いける」

「……わかりました。将軍格はこちらが二名ですね。それでも戦力は圧倒的にこちらが不利です。いかがいたしますか」


「悪いが、頭使うのは俺の仕事じゃないんでな。セン後は頼んだ」


「てめぇたまには自分で考えろよな」


 俺の仕事じゃないとばかりにブナはゴロリと横になった。


「なあエリザ。王女様の前でこんなことしていいのか?」


「ブナはいいのよ。無礼でもしょうがないほど強いのだから。実際お父様もブナの無礼は容認していたわ」


 やっぱり強さは正義か。もっともブナの豪放磊落な性格もあいまっているのだろうが。

 

「はぁ......目下一番の問題は将軍格をどうするかだ。将軍格は一騎当千なんて言われるが、それは嘘だ。二千も三千でもいける。相打ち覚悟でいけばだが。だからこの勝負、将軍格をどれだけ潰せるかにかかっていると言っても過言じゃない。できるだけ少ない被害で向こうの将軍格を潰したい。できるだけ各個撃破が望ましいだけどな。なんか案あるか?」


「そうですね。向こうは騎士団長が将軍格ですので、おそらく指揮は騎士団長がとることになります。そうなると、副団長二名が首領の護衛につくでしょうか」


「そんなにうまくいくのか」


「二万もの軍団を指揮するのは手だれじゃないと不可能です。向こう側には騎士団長くらいしかいません」


「ならいい」


「まとまったか」


「ああ」


 ブナが待ち切れないとばかりに割り込んでくる。先ほどからうずうずしていたが、やはり我慢の限界だったのだろう。


 いつの間にか太陽もそろそろてっぺんに昇りそうな時刻になってきた。


「じゃあ行くか」


 その声に異論の声を上げるものはおらず、皆粛々と準備を続けた。


 正直俺が将軍格と戦うのは厳しいと思う。でもやらなくてはならない。いまだにブナから一本もとれていないが、戦闘中に成長するしかない。実践のあのヒリヒリした感じがきっと俺を成長させるだろう。ほんのりとワクワクしている自分がいるのがわかった。呑気なものだと思うと同時に、ちょっとした心強さを感じた。だけど不安を感じたのもまた事実だった。


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