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借物  作者: ほの、
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15/21

その15

 私は幸せだ。

 朝、女子寮の正門を出て坂道をずっーと下る。行きはよいよい帰りはなんとやら、だ。まあ、帰りは学校終わりだから、帰りはよいよいかも。行きのほうがよっほど怖い。坂道の下の県道の奥に駅が見えてきた。定期をかざしてホームへ向かう。今日も人であふれていた。

稲荷さんに頼めば、車も免許も揃うだろう。でも、それはよくない。なんでかはわからない。何となく。でも 絶対にダメ。それに、満員電車なんてもう慣れっこだ。電車は座るためのものじゃないと最近わかってきた。人にもみくちゃにされながら十分ばかり電車に揺られると、大学につく。木々に囲まれた正門の奥に、本校舎が眠たそうに立っていた。灰色のレンガでも上方のカビはよく目立つ。青い紅葉を右手に進み、教育学部の校舎に入る。教室内は後ろから埋まっていた。私も、なるだけ教壇から目立ちにくいところに座る。今日は一現から講義だ。眠たくって仕方ない。そんな日々が毎日続いてる。私は幸せだ。

 幸せでなくてはならないのだ。


 帰りの電車に揺られていた。なんだかすごく疲れてて、気づけば眠っていたようだ。目をパチリと開けると、乗車している人は誰も居ない。乗り過ごしたか? と焦って立ち上がり車窓を見ると、電車は止まっていた。

 看板には「きさらぎ駅」と書かれていた。


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