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氷の上司に、好きがバレたら終わりや ~悠真編  作者: naomikoryo


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①タコパ”事件〔前編〕「タコパ、それは不可抗力だった。」

▶1. 修学旅行班、運命の提案


6年生最後の大イベント

――沖縄修学旅行が迫る中、僕たちの班(男子3・女子4)は、自由行動のルートをどう決めるかで話し合っていた。


「悠真くんが班長なんだし、悠真くんの家で集まって話そっか!」


この提案をしたのは、明るく人懐っこい女子・小野寺あいり。

その場にいた全員が即賛成。


僕は、反論する隙すらなかった。


(いや、ちょっと待て。うちって……うちって、あの人おるやん……)



帰宅した僕は、母に報告した。


「……日曜に、僕の班の子らが家に来る。ルート決めるために」


舞子:「えっ!?女子も来んの!?」


「うん、4人。あと男子3人」


舞子:「うわっ、やばっ。たこ焼きやろ!タコパやろ!」


「いや、別にそこまでは……」


舞子:「なんで!?“たこ焼き機=関西の誇り”やで!?冷蔵庫にタコあったっけ!?」


「いや、あるとかじゃなくて……」


舞子:「買いに行こか!ついでにチーズと明太子もやな、あと天かすは必須やな、ウインナーもありや!」


(もう無理や。母さん、スイッチ入った……)


 

▶2. 土曜・準備日。悠真、関西モード突入


タコパ前日、舞子は言った。


「悠真、あんたタコと具材のカット、お願いな。うち掃除すんで」


「え、なんで僕が具材切るん?」


「ええやん、たまには包丁持ちぃや。

ほら、女子来るんやろ?ギャップ見せたら惚れられるで」


「惚れられんでええねん」


「なんで!?うちの息子、顔もええし、成績ええし、運動神経ええし!」


「うるさいうるさい、言うてると自己紹介タイム始まるで」


舞子:「悠真、本庄悠真、12歳、特技はたこ焼き!みたいな!?」


悠真:「それオーディション番組の自己PRやろ!」


舞子:「せや、しかも審査員ワイやし!」


悠真:「誰が最初から落とされる流れやねん!!」


舞子:「うっさいわ、切りぃやタコ!」


悠真:「うるさいなぁ、もう……わかったって。切るけど、手ぇ出さんといてや!」


この時点で、僕は完全に大阪弁モードに突入していた。


なんでやろう。

母さんと話すと、無意識に関西スイッチが入る。

普段の標準語が、実家のコタツで丸くなった猫みたいにどこか行ってしまう。


タコを切り、ウインナーを斜めにカットしながら、僕は静かに覚悟した。


(……あかんな、これ絶対“関西の血”バレる)


 

▶3. 日曜・午後1時。来訪者たちと“第一接触”


「ピンポーン♪」


玄関チャイムが鳴った。


舞子:「よっしゃああああ!来たでぇぇぇ!!!」


「静かにして」


玄関に出た僕を、7人のクラスメイトが迎えた。


女子4人:「こんにちは~~♡♡」


男子3人:「お、おじゃまします……」


リビングに通すと、女子たちは目を輝かせていた。


「うわ~~広い~!てか綺麗!!」

「えっ、この机オシャレ~」

「ソファふっかふか!!!」

「悠真くん、ここ住んでるの?すごっ!」


(……なんや、このテンションの高さ……)


母さんが現れると、さらにヒートアップ。


「え!?悠真くんのお母さん!?若っ!!」

「関西弁!めっちゃ好き~!」

「え、タコパするの!?天才!!」


舞子:「せやでぇ~!たこ焼き、うちの十八番やからな~!焼くでぇ!」


女子たち:「いえ~~~~い!!!」


(……完全にパリピの集会やん……なんやこれ……)


男子たちは少し引き気味だったが、女子の勢いに負けて笑い始めた。


 

▶4. 悠真、天然関西男子バレる


具材を出し、ホットプレートの準備をしていた僕に、

女子の一人・小野寺あいりがふと声をかけた。


「ねえ悠真くん、タコきれいに切れてる~!すご~い!」


「せやろ。うちの母さん、見た目にうるさいからな、バランス悪いと指導入んねん」


「……えっ、なに今の!?関西弁!?」


「えっ、そやけど……?」


女子A:「え!?悠真くんって、関西弁喋れたの!?ずるい!かっこいい!」


女子B:「ギャップえぐい……!クールなのに、関西弁!?ずっっる!!」


「いや、普段は喋らんだけで、うち関西出身やしな……てか、ふだん“ずるい”ってそんなに言われることある?」


母さん:「悠真、ツッコミのキレええやん!舞子の血やな!」


悠真:「いらんとこで遺伝出すな!普段は抑えとんねん!」


女子:「ほんと!今の会話、完全に……」


男子:「漫才だ……」


舞子:「せや!うちと悠真、親子漫才コンビやからな!“たこ焼きBOYS”って呼んで!」


悠真:「どっちもボケやろ、それ……」


リビングが爆笑に包まれた。


男子たちも口を覆って笑っていて、

タコ焼きの具材を準備しながら、僕はなんとなく思った。


(……こんな風に笑い合うの、悪ないな)

 


▶5. 焼きの戦場、始まる


ホットプレートに油が回り、鉄板の音がジューッと鳴り始めた。


「はいはい!生地注ぐで!天かす準備してや!」


「ウインナー隊、スタンバイ!」


「チーズ班、いけるか!」


「了解ッス!」


完全にたこ焼き戦隊・本庄家支部が発足していた。


舞子:「うわ~、ええ感じやわぁ。若いって、ええなぁ~!」


悠真:「急に年寄り感出すのやめぇや!お母ちゃん、まだノリ現役やろ!」


舞子:「それな~!母はな、永遠の三十路設定やから!」


女子:「また始まった~~(笑)」


男子:「母子ツッコミ大会か……!」


そして、このあと彼らが“悠真のギャップ”にさらに沼るとは

――このときまだ、誰も知らなかった。

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