闇を払うは乙女の拳
視界を奪ったと思った直後に獣の口から白い光が溢れ、視界を白で塗りつぶしていく。俺の視界も潰されたが、直ぐに纏うオーラを部屋中に薄く広げる。獣の接近を感じ、頭に噛みつこうと迫る牙を両手で掴み取る。
この獣……憎悪光喰の影響を受けてないのか。その上で俺の視界を似たような手段で潰してきたのか。
(耳が聞こえずとも我の声は聞こえるであろう、レイジよ! 自分を取り戻さぬか!?)
「うるせえええええええええ!」
薄く広げたオーラから人の方も接近してくるのを感じる。この獣だけに構ってる暇は無い。左腕をわざと噛ませ、無理矢理口を開けさせる。そのまま右腕で首を掴む。
全く……イラついてる時に、説教口調とか……ぶっ放されても文句は言えないよなぁ!?
「憎悪……」
「駄目です!」
目の前の獣に憎悪爆発を零距離で撃とうとした瞬間、人が急加速してきて俺に抱きついてくる。俺は体勢を崩し地面に押し倒される。
邪魔しやがって……憎悪爆轟で俺諸共、吹き飛ばして……
(それはやりすぎだ。憎悪は指向性を持って強くなる。お前が憎むのはいつもたった1つ)
俺が憎むのは……俺自身!
「キャアッ!?」
人を振り払い、自分の体に強化をかける。この獣と人の連携はめんどくさいが、この状態なら負ける気が……しな……い?
おかしい、力が崩れていく? ゆっくりとだけど、小さな綻びから糸が少しずつほつれていくような……嫌な感覚。何か嫌な感覚が戻ってくるような……!
(俺の破片じゃこの程度か……まだ壊れてくれるな! その嫌な予感を振り払うように、暴れ尽くせ!!)
「おおおおおおおおおおおっ!」
獣の鼻先を左腕で掴み、右腕で殴り飛ばす。後ろから飛び掛かってくる人にこめかみを殴られる。耐えて殴り返すが腕で上手く弾かれ、今度は腹部に強烈な痛みが走る。
クソ……クソクソクソ! なんで、俺はこんなに……こんなに!
(認めるな! お前がそれを認めれば……)
こんなに弱いんだよぉ!
「レイジ様……」
(ここまでか……引き寄せられた価値はあった。俺は………………お前に……)
◆
どこだ……ここ? 見たことも無い機械的な天井だ……えっと、確か天照と研究所に乗り込んで……それから、それから……何があったんだ?なんか、凄くお腹が痛いんだけど……
「ハァーイ、起キタ?」
顔を覗き込んできたのは……レイレイ!? 体を起こそうとしたけど、腹部の痛みで起き上がれない。このままじゃ……このままじゃ、マズい!?
「大丈夫だ。この状況でゴールみたいなもんだ」
レイレイの横からショウ……? カグヤに天照……それになんか見たことあるような男が。最後にフェルがゆっくりと現れて、俺の体を起こしてくれる。
「レイジ様……ご無事で何よりです」
いや、めでたしめでたしみたいな雰囲気になってるけど! なんだよこの状況!?
【お知らせ】
夏休みである7月・8月の間は午前6時更新を停止し、不定期2回以上の更新を試みます。
本日はもしかしたら、もう一度更新できるかもしれません!
その更新頻度を一部に纏めろよとは言わないでください……←




