天の岩戸を攻略せよ 暴走
孤独を認識すると、俺の体は途端に震えだした。まだ心は折れてない……けれど、体が負けを認めちまってる。しかし、フェルはこちらを見て俺の傍に居た時のように少し微笑んだ。フェルが手を翳すと、俺の足の義足の感覚が無くなり、体が崩れ落ちる。
太陽の腕は無事だけど……やられた。両足が奪われた。闘気の足では体を支える事ができない。完全に機動力が消え失せた。
「レイジ様……どうかお聞きください。私には戦う意思がありません」
「……ああ、俺にも戦う気は無いよ」
フェルの話を聞きながら、右腕で体を起こす。どうにか…座る事は出来たけど、動く事は出来なさそうだ。闘気の左腕で護身用の小刀を取り出して、投げ捨てる。続いて刀を抜いて、その辺に投げ捨てる。
カグヤに聞かれたくなかったんだろうな。だから、最初は敵対するフリをしていたんだ。
「私は魔核を貴方に渡して、死にます」
「え……?」
「私はレイジ様を裏切っていたのです。だから、死を持って償います。それでは」
フェルはまるで当然の様に、剣を空中に創造する。剣は凄いスピードでフェルの方へと向かい始める。
ふざけんな……そんな償いなんざ俺は望んでない。声をかけても止まりそうにないなら……!
「太陽光線!」
「レイジ様!?」
フェルの方へと向かうように太陽光線を両腕から放つ。そのまま、フェルを体で突き飛ばし、俺の体を剣が貫いた。灼けるような痛み、じんわりと広がっていく暖かさ、体の内側から感じる金属の冷たさ。
「ゴフッ……」
「レイジ様!? 何をっ!?」
治癒の魔法を使おうとするフェルに、手を突き出して拒否する。俺の体は地面に落下する前にフェルが優しく受け止めてくれた。
フェルは泣きながら、俺に心配そうな表情を迎えている。
「勝手な事……言うな…………俺には……フェルが…………必要だ」
「でも、私は貴方の異世界での望みを潰したのですよ!?」
「確かに……お前は…………手足も、魔力も……奪った。けどな……たった1つ……与えてくれた」
「与えた……何をです!?」
「お前だよ……フェル。お前が……俺の傍に居て…………俺に付き従おうと……捨てられまいとした…………それで充分なんだよ」
段々、瞼が重くなってきた。それでも、今伝えなければ、今説得しなければ、きっとフェルは俺を残して死んでしまう。そんな事が起きれば、俺は俺が赦せない。
「あ……ああ…………あああああああああああああああああああああ!」
フェルが悲鳴を上げて、今まで抑えていた感情を爆発させるかのように泣き叫ぶ。フェルの体から黒い瘴気が溢れ出し、俺を投げ飛ばす。地面に投げ出され、剣が深く突き刺さるが直後に、剣も傷も消え、義手も義足もついていた。
「ワカラ……ナイ! ナニモカモ! ワカラナイッ!」
「…………勝てなくても、分からせてやる。俺のこの思いを!」
何が何でも、お前を許してやる!




