謎の女
ここが天の岩戸……普通の洞窟の筈なんだけど、何かこう……神聖さを感じる気がする。近くの背の高い岩に誰かが座っているように見えるけど、俺には関係ない。
フェルの義手が誰かに引かれる感覚が止まった。ここに……フェルが居るんだな?
「ねえ、止まって」
天の岩戸へ入ろうとすると、岩に座っていた少女が声をかけてくる。逆光で顔は見えないけど、緋色の中華服……ってもしかして?
「私はカグヤ。そこは誰も入れるなと言われている。だから駄目」
彼女は重力を感じさせない軽やかな飛び上がりから、少女……カグヤは俺に刀を突き付けている。
14歳くらいの見た目に短い緋色の髪の毛。フェルよりも機械的な無表情な女の子……何なんだ、コイツ?
◆
「やべ……」
(どうかしたか?)
「カグヤにレイジの事伝えるの忘れてた」
(何か問題があるのか?)
「融通が利かないんだよ……こりゃ、マズいな。カグヤは魔改造した奥さんだからな……良くない未来も見える」
(魔改造……人体の改造か!?)
「違う。地球の知識を使って、シェーンには無い発想や技術を与えただけだ……アイツ大丈夫かな」
(念話は出来ぬのか?)
「…………千里眼で見る限り、状況は最悪だ……まず俺が念話できないし、アイツは念話を聞かない」
◆
目の前のカグヤの腕がブレる。咄嗟に顔を腕で守ると、金属音が鳴り響き、腕に衝撃が走った。
義手じゃなきゃ、何か刺さってたか!? というか、何を投げられた?
「この一撃は弾かれる……中々やる。」
カグヤの姿が消え、耳元で囁かれる。首に刃が食い込む。
コイツ……速い! なら、こっちだって! ショウは言っていた。魔法はイメージが大事。普通なら撃てないけど、こんなイメージできる余裕があるなら……!
「炎よ! 鎧となれ!」
「なっ!?」
闘気を炎に変換し、体に纏わせる。流石に熱いのか……カグヤは体から離れ、目の前で構えた。炎を消し、背中の刀を2本抜く。この剣で、カグヤの剣を防ぐことは出来るだろうか? そもそも、彼女の動きを捉える事は出来るだろうか……?
「貴方も闘気使うんだ……私も!」
カグヤの目に闘気が集まり、緋色の目が金色に煌めく。彼女も神核持ちか? しかも目に関する魔法を使った?
「その右手の義手、厄介……使わないの?」
「っ!?」
透視の魔法! 俺の体が視られた? 太陽の腕がバレるなんて……使うべきか? いや、これはフェルへの前哨戦。ショウと天照に鍛えられた実力を本番で発揮できるか……カグヤとの戦いは予行演習だ。
刀を鞘に納め、拳を半身で構える。体に纏う闘気を弱体耐性に追加して、身体強化をかける。
「後悔させてやる……!」
「後悔するのは貴方……」
謎の女(即バレ)
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