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変化と日常

 目を開いたが体を起こす気にはなれない。隣を見れば、フェルが横で寝息を立てている。いつものネグリジェも着ていない。いや、ベッドの近くに雑に落ちているだろう。


「ここ最近、毎日だな……」


 スギヤの街を訪問してから、約1週間。フェルは毎日、俺を襲っている。そして。俺も受け入れてしまってる、それどころか楽しんでしまっている。

 …………体が動かせない。自分の家では義手と義足を外しているからだ。義手と義足は思ったよりも負担がかかる、だから家では車椅子が多かった。


「あ……おはようございます」


 フェルは起き上がると、俺の体を起こして、首筋に吸い付いてくる。

 何と言うか、フェルらしくない……でも、フェルらしさが俺には分からない。ただ……


「レイジ様……」


 今のフェルは、お互いに良くない……気がする。



 俺は今、ネルガに車椅子を押してもらいながら、仕事の為の部屋に向かう。今のフェルに仕事を手伝わせる気にはなれず、レオとネルガの補佐の元、領主の仕事を学んでいた。


「なあ、ネルガ」


「何ですかな?」


「正直に今のフェル、どう思う?」


 天照に会った日から、フェルの様子がおかしいというのは、ネルガもレオも気付いているだろう。フェルの居ないところで聞くのは卑怯かもしれないけど、聞いてみたかった。


「フェル殿ですか……いつも通りと言えば嘘になりますなぁ。筋肉(しんねん)をぶつけ合った私としては、(しんねん)の暴走と感じますな……」


 ネルガの言葉も少し分かりにくい。いや、天照に比べれば分かる部類なんだけど……でも、フェルの信念は覚えてる。


「フェルの信念は俺への愛……だったっけ? それが暴走……?」


「ええ、結婚した私も味わったものですが……力を持つ女性は愛の加減をよく間違えます。フェル殿程、強ければ惚れた相手との距離の取り方は難しいでしょうな」


 惚れた相手との距離の取り方……か。ん、惚れた?

 慌ててネルガの方へ振り向くと、ネルガはしまったという表情を浮かべている。


「フェルが俺に惚れてるって何でお前は知ってるんだよ!」


「いえ、演習の時に拳から伝わってくるのです。フェル殿のレイジ様への愛が、それはもうガッツリと!!」


 慌てるネルガに溜め息を吐く。

 いや、別に俺もフェルに惚れてるし、フェルも俺に惹かれているのは気付いている。けれど、それを他人に知られるのは恥ずかしい。


「まあまあ、続きは仕事の後にしましょう。レオ、入るぞ!」


 ネルガは扉の前で止まると、中に居る筈のレオに声をかける。扉が開き、レオが俺の車椅子を押し始めた。


「それでは、レイジ様。この私はフェル殿と筋肉(しんねん)で語り合ってきましょう。レオ、任せたぞ」


「おう、おっさん。しっかりフェルの体力減らして、レイジ様を助けてやれよ。俺の回復魔法でも追い付かねーぞ」


「レオ!」


 余計なお世話だ!そう思って名を叫べば、レオは悪い悪いと言いながら楽しそうに笑う。ネルガは既に演習室へと向かっている。

 こいつ、絶対に悪いと思ってない。……でも、服従され過ぎてもつまらないし、これくらい自由な奴が居てくれた方が気楽だ。


「腕付けるぞー?」


「おう、頼むぞ」


 レオが下着以外の俺の服を脱がす。義手と義足を取り付け、レオが肩に手を当てて魔力を流し込んでくれる。暖かいものが肩から流れ込み、手足の感覚を取り戻す。手足の感覚を取り戻したら、服を着直す。

 フェルが作ったこの義手は素晴らしい性能だった。体に馴染む……けど、何か怪しいような気が……


「さて、と……手紙が1件届いてるな、読むか?」


「ああ、頼むよ」


 さて、仕事を始めようか。

書いてて恥ずかしかった←

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