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ぼっちは噂を聞く





「--ッ!ご馳走さん!旨かったよ。」




タムさんは強烈にミネの話に突っ込みながらも、結局レモレモ酸も甘レモレモも食べてくれた。



「俺は甘党じゃないが、甘レモレモは良いな。これは新種のフルーツで売れそうだ。……オレンジよりも爽やかな酸味と豊富な果汁。薄皮も柔らかくて食べやすい。……皮ごといけたり?……。」



甘レモレモは気に入って貰えたようだ。

途中から販売の事を考え始めて完全に商人の顔だった。


真剣に売り文句を考えている……。




ミネとしてもごくまれにタムさんと食べる食事は特別だった。


今回だって偶々だ。



「多分3回目?」



「ん?何がだ?ニシシ。」



どうやら商案は出来たらしくミネの言葉に反応する。


それに対して笑顔には笑顔だけ返しておいた。


さすがにミネも今日の様な年1ペースの日を楽しみにしているとはバレると恥ずかしい。




「いや、何でもー。」



不自然なぶっきらぼう返事でやり過ごす……タムさんには不思議そうな顔をしてたさ。



「んあ?変な奴だな。ああ、それよりもな。何か近くの村で噂になってた事があってな……。」



「噂?」



ミネは小首を傾げる。

それもそのはずで、こんな深い森の中で、しかもひとりで住んでいるミネなのだ。正直外での話など微塵もきにしていない。

今も何故そんなにミネが興味のない話をわざわざするのか大いに疑問に思っている。



それがこの態度でタムさんにも伝わっているにもかかわらず、タムさんはミネに話を続けた……。




タムさんが言うには……どうやら、ここにくる前にいつも寄る、森に一番近い村で行商をして来たらしい。

そこの村では少し遠めの村や町からも狩りに来たりする者達が休憩する宿屋や食事処もあり、村ながらわりと賑わっているのだという。


いつも穏やかな村で、大した問題も起きないであるから長閑というのがぴったりなのだが、……先日は様子が違ったらしい……。



村という規模であるから、そこまで大きくない土地で、住まう人々同士の交流は当然深い。

やってくる旅人等にも優しく温かく迎えてくれるその村で、村の住人以外の人々にも関心が深い。



そんな村にタムさんが着いた。そして、見るからにいつもより元気のない村人達からはある話を聞かされる。




数日前のある日、ひとりの青年が宿に戻って来なかったらしい……。





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