ぼっちはならば語り落とそうと思う
「なんですと?!?!」
タムさんの言葉に聞き捨てなら無いワードが出てきた。
“レモンは世の中普通は食べない”?!?!
レモンを食べないとな?!?!
「世の中……許すまじ…………。」
プルプルと拳に力が入る。
なんとまあ、世界は愚かなんだ!!!
レモンを食べ物と認めないと言う。
許されざる事である!!!
--グッ!
よりいっそう手に力がこもる。
ミネは熱い目でタムさんを見抜く--。
「では、あの時の感動を語ろうじゃないか!」
そう言ったミネは、何か言おうと口を開き掛けたタムさんを制止するように話し始める。
「あれは、そう--この森へと辿り着いた時の事だ--…………。」
※※※※※
3年前のあの時、【恵み】命の根源の力が目覚めるほんの数時間前の事。
精根尽きるそんな状態であったミネはあの少ない手荷物の中にあった萎びたレモンを見つめていた……。
萎びているし、色はうっすらと茶色くなり始めているそれは、見るからに傷んできていた……。
--しかし。
「食べてみょうかな……。」
力無く、か細くなってしまった声でミネは思うよりも先に呟いていた。
「え……。」
自分の口から出た言葉に疑問を感じるという妙な事になっていた。
自分の言葉に理解が追い付かないまま、ミネは萎びているレモンをもう一度見つめる。
「……。」
当たり前だが、普段なら食べようとは思わない。
極限状態だったからこそなのだろう。
「……。」
「……。」
--が、ぶ。
ミネは食らいついてみた。
衰弱している身体を動かして懸命にかじる。
すると、萎びてはいるが、歯形の付いた所から口の中にレモンの果汁が流れ込んだ--。
「----ッ!!!!!!」
驚いた。
酸っぱいという味よりも、喉を潤してくれた瑞々しさに幸せを感じたのだ。
もう一度、ガブリと今度は力強くかぶりつく。
すると、今度は酸味の美味しい果肉を味わうことが出来た。
「----美味しいッ!!!!!!」
そうして、空腹過ぎたミネは萎びていたレモンすら食べた。
この世界ではレモンの果肉を食べない。
そもそも香り付け程度にしか考えられていない。
それ自体を食べるという発想すらないのだ。
しかし、ミネは食べた。
非常に美味しかったのだった。
※※※※※
・
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。
キラーン☆
「レモンって果肉も普通に美味しいってあの時初めて知ったからな。ははは!」
ミネは語った!語りきって「どーだ!」と言わんばかりのアピールをした。
「……いや、その話聞くの何回目よ?」
そんなふんぞり返り長話を締めくくったミネの前では、呆れた顔のタムさんが長~い溜め息を吐いていた。
「13回目?」
「惜しい、14回目だな。」
どうやらタムさんの記憶では一回多く聞いているらしい……。
「何度でも語ろう!」
「やめいッ!!!」
強烈に突っ込まれてしまった。
語って語ってレモン好きに落とし込みたい……。




