勇者やめます。大魔王はじめました。第六話
今回は少なめです。それと150PV達成しました、不定期更新なのにまじでありがとうございます。
勇者やめます。大魔王はじめました。第6話
「生贄?」
レナーはあまりピンと来ていなかった。ツバサはアビドの方を見るがアビドは顔を俯かせるだけだった。
「あぁ…アビドは星神様に捧げるための生贄だ、あいつは忌み子だからな、星神様に捧げて星にしてもらうんだ」
シルバは苦いとも苦しいとも言えない何とも言えない表情で言った
「なぁ、さっきからその’’忌み子’’ってなんだ?アビドがなんで忌み子なんだ?」
ツバサは疑問に思った事を素直に吐き出した。するとシルバの子分が口を開く
「そいつ、生まれた時に両親が火事で死んだんです、星神様が火事の日に凶星が出ていたって言ってて、ほら角も、俺達のとは全然違うし、実際アビドに関わった奴ら全員ロクなこと起きてないんですよ!親族が死んだり、関わった人間だけ畑が不作だったり家畜が死んだり……」
子分はそう言うとツバサたちが怖いのか俯いてしまった。
「ならなんで貴方たちはアビドさんを虐めてたのですか?関わったら嫌なことが起きるんでしょ?」
レナーの言葉にシルバは口を開く
「そうでもしないとアビドに関われないからだ」
「は?」
2人が意味が分からないといった表情でシルバを見る
「アビドは星神様が徹底的に管理されてるんだ家も仕事も身分も、誰一人としてアビドに話しかけちゃダメなんだ、それも星神様が決めた掟で、でも虐めるっていうか、非難するのは良いんだよ、周りに見せしめにして…」
「……俺達、ていうか里の皆も本当は分かってるんじゃないかって思うんです、アビドは忌み子じゃないし、別に悪いことなんて何もしてないことぐらい、でも…だって…そうでもしないと今度は俺たちの誰かが星神様の生贄にされてしまうかもしれない…何故なら…あの神は…星神様は……」
シルバたちの独白にツバサは少し思う所があるのか黙らざるを得なかった。しかしレナーはそうではなかった
「だからってアビドさん1人に全部押し付けるんですか!?こんな…家とも呼べないような所に住まわせて、アビドさん普通に生活してるだけじゃないですか!なんでですか!生贄を欲しがる神様なんてそんなの神様なわけないのに…」
神様ではない、レナーはそう口にした。淡々と当たり前の常識のように、確かにそうだ生贄を求めるのは妖魔か、はたまた下賤の類でもなければそんなものは要求しない
「どうやら星神様ってのもキナ臭くなってきたな、アビド、お前明日俺達と来いはっきりさせてやろうぜ」
ツバサはアビドの方を見るが
「…………結構です。」
「は?いやお前も聞いただろ?お前なんにも悪くねーじゃん、何でだよ」
「…そんな事最初から知ってますよ、でももしそれで里の誰かが犠牲になったら?良いんです私一人で済むのならそれで」
ツバサはドン引きした顔でアビドを見る。
「あっそう?……ふーーーん、んじゃ俺もう寝るわ、おいお前ら布団持ってこい、あとこの家直しとけ」
ツバサはシルバ達に命令すると、そそくさと寝る準備をした
「ちょっとツバサ!もう……アビドさん」
「アビドさんはそれで良いんですか?」
レナーはアビドの目をまっすぐ見ようとする。アビドは目隠しをしているがそれでも目を逸らした事がわかる。
「そうですか…なら私も深くは追いません、それでは」
レナーはツバサの元に向かうと、ツバサの横に添い寝するような形で横たわる。
「……………」
次の日、晴れ模様か、太陽の光がアビドの屋根を照らしていた。
ツバサが起きると横には眠っているレナーと、向こうにはシルバ達が寝ていた。どうやらきちんと直してくれはしたらしいが、アビドの姿が見当たらずツバサは起きて探し回ることにした。
「よう、ここに居たのか」
家の後ろにある森の奥、滝がある場所にアビドがいた。
「あ、起きたんですね、おはようございます」
滝の音がザーザーっと鳴っている。この滝が川になり里の方まで流れている水源になっているのだろう。
「滝か、すっげぇ水飛沫」
「ええ、見ていると何も考えなくて済むので、嫌なことがあった時はよくここに来ています。」
「へぇー」
関心がなさそうに言うとツバサは着てる服を脱ぎ始めた。
「え?何してるんですか?」
「何って水浴びだよ、水浴び!体を洗うのもひっさびさなんだ」
「駄目ですよ!これ里の皆の水源に」
「ひゃっほー!」
ツバサは勢いよく川に飛び込んだ、滝に負けず劣らずの水飛沫をあげ気持ちよさそうにぷかぷかしている
「ふーー!気持ちいい!!ほら!アビド!お前も来いよ!」
「いやツバサさん!それ皆の水、わぶっ」
アビドの顔に水をかける、服がびしょびしょになる、
「もう…」
ツバサが手招きしている。アビドは仕方ないなぁという表情をしている。
「ははっ、早く来いよー!気持ちいいぞー!」
「だからここは、わっ!」
ツバサはアビドの手を引っ張りアビドを川に引きずり落とす、バシャーンと音が鳴り服まで全身びしょびしょのアビドが腹這いになって倒れていた
「ぎゃははは!倒れ方だっせー!お前びしょびしょだぞ?」
「てめっ、やったな!」
アビドはツバサに仕返しかのように押し飛ばした。やり返すようにツバサも押し飛ばす。水飛沫が太陽の光に照らされて星のように輝いていた。2人が暫くじゃれ合っているとアビドの目隠しが取れてしまっていたことにツバサは気付いた。
深緑の目、そんな目は何処に行ってもある程度持っている人がいる何の変哲もない緑色の目、ただ他の人と変わっているのは眼の奥に白い星の模様がついていることだ。
「お前その目…やっぱ見えていたんだな」
「え?…あ、いつの間に、」
「その星の模様………」
「え?星?」
アビドは川に映った自分の顔を見る。確かに星のような模様が目に映っていた。アビドは初めて自分の顔を見たような表情だった。
「何二人でイチャイチャしてるんですか、って裸!?」
レナーが奥から歩いてきた
「おう!レナー起きたか!見ろよアビドの目!」
ツバサがズンズンとレナーに迫る
「ちょっ!服を着てください!見えてる!見えてる!」
「は?ちゃんと見てねえだろ!ちゃんと見ろよあいつの目」
「見えてます!見えてます!見えちゃってます!」
「だからちゃんと見ろって、あいつの」
「見えてるって言ってるでしょうがぁぁぁ!!!!!」
レナーの蹴りがツバサを森の脇に吹き飛ばした。
少し顔を赤らめてるレナーがはぁはぁといいながらアビドの方を見る。
「あっ、アビドさんその目…」
「ははっ、初めて見たよ自分の目」
アビドがキョトンとした顔でレナーを見た。レナーは少し考え込むような表情で黙っていた。
少しの時間が経ち、ツバサが森の中から出てきて言った。
「なぁレナーこいつの目、たぶんだけど、」
「ええ、星神様が隠そうとした理由が何となく分かってきましたね」
「ああ、今日カタンの配下に星神が祀ってあるんだか何だかに連れて行ってもらおうもう待ってると思う」
「ええ、それと」
レナーがツバサを見る
「?」
「早く服着てください」
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