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勇者やめます。大魔王はじめました。第5話

いつも読んでくれてありがとうございます。前回で100PVを超えました。皆さんが読んでくれてることが励みになってます。

勇者やめます。大魔王はじめました。第5話



ツバサとレナーはアビドの家に共に向かっている。歩きながら暇をつぶすためにアビドが口を開いた。


「そういえば御二方はどうしてこんな里まで?」


「私たち星神様に用があってきたんです、実は…」


レナーは自分とツバサは仲間に裏切られ命を狙われていること、負傷してる自分たちじゃこちらに向かってるであろう新たな転生者にはおそらく歯が立たないこと、ツバサは仲間を探すために星神に助言を貰いに来たことなどをアビドに伝えた。


「なるほどー…ではレナーさんは二代目の魔王でツバサさんは勇者なんですね!」


アビドが確認するように言うと、レナーはコクンと頷いた


「もう勇者はやめたけどな、今は大魔王だ」


ツバサがけだるげにそう言った


「しかし随分歩くな、市場ももう見えないぞ」


「ほんとですね…集落もない」


レナーとツバサは周囲を見渡した。アビドの向かってる道をみると、徐々に徐々に人が少なくなっていく、里の竜人共はアビドに目を向けることもしない


「ははっ!すみません、あともう少しです」


そう言って暫く歩いているとおそらくアビドの家であるであろう小屋が見えた


「ここがアビドさんの家ですか…?」


「はい!お待たせしました!ようこそ!」


アビドが手のひらで自分の家を見せる。

言い方は悪いが随分と見すぼらしかった、木の柱は腐り始めており、屋根もぐらぐらだった。申し訳ない程度に焚火ができる囲炉裏があり、枕も布団も一つしかなかった。周りにはアビドが野菜を作ってるのであろう小さな畑が一つ、近隣住民もいない。 「孤立している」といったほうが適しているだろう。


「……………」

ツバサが周囲に目を配ると、おそらく収穫していた野菜を入れているであろう家の中にある籠がからっきしだ、何もない


「…さぁさぁ!どうぞどうぞ、今晩御飯お作りいたします」


アビドはそう言って台所で鍋を取り出し野菜を切り始めた


「ツバサ、これ」

レナーが小声で言ってツバサに目を合わせる


「…………すまないなご馳走までいただいて、ありがたい」


ツバサはレナーと目を合わせると、すぐさま目をそらし軽く笑ってアビドにそう伝えた


「…!いえいえ!とんでもないごゆっくりなさって!せっかくの客人ですので今日はおもてなしさせてもらいます!」


ツバサはアビドの家から出て周囲を見渡す.あとからレナーもついてきた。


「ツバサ…」


レナーは少し息が詰まった様な表情でツバサを見る


太陽が落ち暗くなってきた。ツバサは周囲を観察していた、人一人もいない、とても静かだ、草を踏みしめる小さな魔物かの音が聞こえる。


「なぁレナー」


「 ?」


「良い風が吹くなここは」


大きく息を吸ってふっとツバサは笑った


「え?はい?」


レナーは少し苛立ちを隠せなかった。は?何この人あれ見て何も思わないのこの人?え?、何笑ってんの?最低?クズ?まじで信じらんない、あんな生活状況見て何も思わないの?風なんて今どうでも良くない?


「あのー!料理出来ましたよー!」


アビドが家の玄関から2人に話しかける


「あっ、はーい、行きましょうか」


「…ああ」


二人がアビドの家のなかにはいると、小さな野菜が入ってるスープがあった


「さぁ!どうぞどうぞ召し上がってください」


アビドのお椀を見ると何もなくただスープしかない。


「悪いな、俺達2日間何も食べてなくてありがたくいただくよ」


「それはそれは、大変ですね、ぜひこんなんでよければ、」


そう言うと魔兎の丸焼きをアビドが持ってきた。


「どうぞ!これも食べてください!お肉を食べると元気になれますから」


「一匹しかいないじゃないか、お前は食わないのか?」


「…はい、でもいいんです、金貨2枚もあれば兎の一匹や二匹すぐ買えます!」


「……そうか、ありがたくいただこう」


ツバサが黙って食べるのをレナーは卑下するように見た。


「美味しい…」


レナーがスープを一口食べると美味しさについ口ずさんだ


「すごい…とっても美味しいですアビドさん!」


「ほんとですか!良かったー!」

アビドは照れくさそうにスープを飲み、それを見てツバサはまたふっと笑った。笑ったツバサを見てレナーはカチンとくる


「…何が面白いんですか…」


レナーの顔がだんだん険しくなる


「何が面白いんですか!あなた何も思わないんですか!」


レナーはツバサに怒鳴り、胸ぐらを掴む。アビドが急な出来事にびっくりしてしまう


「わからない…私あなたが分からないんです、こんな状況見て何も思わないんですか?何かしてあげようとか考えないんですか?大魔王になるんですよね!私の代わりに!人も魔も安心して暮らせる世界を作るんでしょ!そういう魔王になるんでしょ!魔王になるんだったら、魔王になるんだったら…」


「………」

ツバサが無言を貫いていると玄関から男たちの声がする


「よう!アビド、お前金貨貰ったんだって?」


「貴方たちは…」


レナーとツバサがアビドを見掛けた時、アビドを殴っていた竜人達だ


「シルバ…」


アビドが怯えた表情でこそっと言った。兄貴分らしい竜人が前に出る


「おいおいアビドー誰に許可もらって俺の名前を口にしてんだ?忌み子の分際で、話す時は敬語だろうがぁ!」


そう言ってシルバがアビドを殴ろうとする。

が、その拳をツバサが手でとめる。


「なっ何だ!テメェ!」


止めた手とは別にツバサの後ろから土が集まる


「もしこいつの目が本当は見えていて自分は本当は虐げられていることを知っていたらどうする?」


「は?」


「え?」

シルバとレナーがよく分からない顔をする


「こいつがこの生活を当たり前だと思ってて、それでも俺達にめいいっぱいおもてなしにしてくれてたのが実は貧しいものだったというのを知ったらどうする?」


「て、てめぇ何言って」


「人は何を支えにしてるのか分からない、だから…だからもしこいつの支えが自分が虐げられてることを見ないふりをしていることだったら?」


「てめぇ…いい加減に!」


背後で集まった土が大きな拳になるとシルバと取り巻きの二人を吹き飛ばす。アビドの家の上半分が吹き飛んだ


「ぐぼぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「悪いな、お前らの来るタイミングが悪かった。おいアビド!家は後で作り直させてやる」


「え?、え?あ!うん?はい?」


アビドもレナーもキョトンとした表情であたふたしている


「けほっけほっ…てめぇこんなことして分かってんのかあいつを守ることがどういう、」


「黙れ」


ツバサはシルバの頭を足で押さえつける


「今は少しイライラしてるんだ、加減はしない、お前らの知ってることは全て話してもらう」


シルバはツバサの押さえていた足を頭で押しのける


「ぐっっ、がぁぁぁ!!!てめぇ…人間だろ!人間風情が!竜人に力で勝てるわけねぇんだよ!」


事実だ竜人は人間よりも力が強い.竜が進化して人になったのが竜人だ筋力は竜の頃と変わらない。


「死ね!クソ人間!」


シルバが起き上がってツバサに拳を振りかざすと、ツバサはひょいと避けてカウンターを食らわせる。


「ぐっ…あぁ!ただの人間なのに、なんでこんなに力が」


ツバサは身体強化術に長けている。ツバサの魔法属性は土、主に土に自分の魔力を込めて術式を発動する。この土に魔力を込めると言う行為が身体強化術と似ており、ツバサは土を砂粒一つ一つとして認識させることができる。ゆえにツバサにとって身体強化術はより洗練されたものになる。それは通常の身体強化術の約5倍の出力が出る。

まるで人は土から生まれたかのように。


「ちっ…調子乗んなよ!だったら、おいお前ら!」


シルバはツバサをぐあっと捕まえる


「はっ!どれだけ逃げようとこうやって捕まえれば流石にお前も避けれないだろ」


事実だ、いくら強化しようと人間は竜人の力に正面からだととてもじゃないが敵わない、ツバサはシルバの腕を振りほどけない

後ろから子分らしい二人がツバサを叩き切ろうと襲いかかる


「ツバサ!」


レナーはツバサを助けようと飛んでいく


「死ねやぁ!」


子分2人がツバサに切りつけようとした時後ろから飛んでくるレナーに気付く


レナーが子分2人を蹴り飛ばそうとするが子分2人たちが避けてしまう。レナーの蹴りがツバサに当たろうとするその時、ツバサの体が無数の花びらになってぱらけ、蹴りはシルバに当たった


「がっ!!…」


「へっ?」


赤、青、黄色の花びらが月の光に照らされてひらひらと空に舞う、その無数の花びら風が吹いてもいないのに吹いたように花びらがレナーを通り過ぎ、花びらの中からツバサが現れる。


「なんだ今の、風も吹いてないのに…」


その光景を見たアビドは唖然としていた。


「レナー…お前」


ツバサはレナーを見る


「今俺を蹴ろうとしたよなぁ!ったく怒ってるからって戦いの最中に不意打ちするか?」


「……え?あ、いや、うるさいんですよ!てかなんですか今の!花びらになって私との戦いの時もそんなの使ってなかったのに!」


レナーは少し唖然としていたが、すぐに怒ったかのように言った。


「お前相手に使っても意味ねーんだよアホ!これは俺が転生した時にもらったギフトで」


二人がやいのやいの言ってる間にシルバが起きる


「…バ、バケモンだこいつら、逃げなきゃ、早く逃げなきゃ殺される」


そう思って逃げようとした瞬間シルバの体がズキンッと痛む、体が、いや血管が固定されている?動けない。


「逃がすと思ったんですか?」


「悪いが事情を洗いざらい吐いてもらうぞ」


そう言って二人はシルバの子分も含めて半壊したアビドの家に連れて行く


「やめろ!離せ!俺は何も話さんぞ何も知らん!」


「そうだ!俺達は何も知らない、何も話さない!絶対に話さないからな」


シルバと子分たちがギャーギャーと騒ぐ


「て、てめえらも終わりだ、そのゴミを守ったせいでお前らは里の竜人全員を敵に回したんだよ、はは、ははははは!」


「うるさい」


ツバサは子分の一人に右ストレートで気絶されるそれを見たシルバともう一人の子分はひっと声を上げる


「どうせこのままじゃどっちみち殺されるんだ、何が何でも話してもらうぞ、それともそこにいる魔王様に全身から血を吹き出させてもらうか?」


といってツバサはレナーのほうを指差す


「えっ?私?」


ツバサがニヤニヤとしながら


「あいつはこえーぞ?目の前で血を抜いてもらいながら徐々に意識を失ってまた血を戻して復活させて」


「ちょっ…何言ってるんですか!」


レナーはツバサを突き飛ばす


「しませんよそんなこと、もう…」


レナーはシルバたちを見る


「でも…何かあったかちゃんと話してもらいます出ないと」


レナーは血から剣を作る


「ブスッと刺しちゃうかもです」


シルバ達は血の気が引いた顔をしてレナーを見る、赤い瞳、おとぎ話にも言われていた魔王の証、こいつは魔王なんだ、この人が本当に魔王なら、アビドを…里を変えられるかもしれない


「……アビドは生贄です。星神様の」


感想お待ちしております。今回更新が遅れました。別にサボってた訳じゃないです。本当です。はい、次も楽しみにしてくれると嬉しいです。

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