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勇者やめます。大魔王はじめました。第二話

第2話目です。誰かに届けー!

勇者やめます。大魔王はじめました。第2話


「それで本当にやるんですか?」

さっきまで泣きじゃくっていた少女の赤い瞳孔がツバサを捉える。

「…あぁ、どのみち帰っても俺の居場所はないしな、帰っても新しい転生者に殺されるだけだろ」

目を落としながらツバサはそう言った。

「転生者…えーと、ツバサさん、」

「ツバサでいい」

レナーの言葉を遮る

「あ、はい、そのツバサも転生者なんですか?」

数秒の沈黙のあとツバサは口を開く

「あぁこの世界に転生してかれこれ1年になる。元いた世界は文明はこことは別ベクトルに発達していた。ニホンという国でな、機械、科学、ここで言うならオートマタかな、魔法なんてなかった」

「そうですか…」

「お前は?」

ブラウンの瞳がレナーを見つめる

「へ?私ですか?私は…私が子供の頃にお父さんが死んで、それで幹部たちとムーンと一緒に魔王になるために勉強して、勉強して、それでツバサに会ったって感じです。」

「そうか…」

沈黙が続く、レナーの顔色が少し悪くなる

「(気まずい…なんで喋んないのこの人、どこ見てんの?ムーンのヒゲ数えてるの?数える意味ないでしょあれ量調整できるんだよ!?どうでもいいけど)」

暫くの沈黙のあとレナーが重い口を開く

「あ、あの!このあとどうするんですか?」

「?どうとは?」

ツバサはキョトンとした目でレナーを見る

「だから!なるんですよね大魔王、えーと仲間どうやってなるつもりなんですか?」

「………………………………さぁ」

ツバサの返事を聞いてレナーは苦い顔をせざるを得なかった。まさかこの人は何も考えていない!?、もしかしてだけど…あーただのアホだこの人、何その顔?何ボケーっとしてんの?なんか段々腹立ってきた。

「えーっと、何も考えていない感じですか?」軽蔑したような目でツバサを見る

「…………仲間を増やす!」

「どうやって!?」

「それはほら、ドラゴンとかいるじゃん?あとは…あとは、ほら!牛とか豚とか鶏とか」

「詩人かな?てかドラゴンってただでさえ希少種族仲間になんてとてもじゃないけど」

ツバサが考え込む。むーっと数秒間の沈黙が流れる。

「ドラゴンでしたら東に進むとよいと思います」

沈黙を破ったのはムーンだった。

「ムーン!まだ寝ていなくちゃだめですよ!」

「良いのですお嬢様、気遣い痛み入ります。ツバサ殿、ドラゴンでしたら東の竜の里にお行きなさい。あそこには竜人達がいます。彼らが崇拝している神様には星の力が宿っております。星の力は導きの力、きっと御二方に未来への助言をくださるはずです。」

「竜人!?まだ存在してるの?」

竜人、ドラゴンと人間の混血、彼らは個体数が少なく、詳しい情報が載っている文献も少ない。分かっていることは種族名称がドラゴヒューマノイドであること、果実や酒を好むことである。

「なるほど竜の里か、よしそこに行こう。爺さん具体的には何を目印にすれば見つかるんだ?」

ムーンは目を閉じて言う

「一目見たら分かりますよ。浮いているので」

「浮いてる!?それなら簡単に見つかるだろ?なんで見当たらないんだ?」

「この森は本来立ち入り禁止区域、その理由は希少種族を守るためにあるんです、これは先代のご意思です。しかしお嬢様、貴方の目があれば見つかりますよ。その瞳は術を破る能力が備わっているはずです」

ムーンが優しい目でレナーを見る

「私の目?そんなの急に言われてもやり方分からないよ…」

「そうですか…そうですよね…あやつらはお嬢様に大事なことは何も教えていなかったみたいですね。しかし今私が言っても混乱するだけでしょう。そうですねぇどうしたものか…」

「術を破る、用は術がかけられてるところを見つければ良いんだろ?だったらこいつの出番だ。」

ツバサは召喚術式を展開する。

召喚獣、自分の属性と同じ属性モンスターを召喚できる、ただし最初は自分一人の力でそのモンスターを帰伏させなければならない。

ツバサが召喚したのは、黒いヤギだ。草食動物に似つかわしくない血走った目、鋭くて長い牙、長い舌をにたりと出しながら、ツバサを見る

「だんなぁ〜新しい餌ですかいぃぃ??こっちの老いぼれもそっちの生娘も質が良いいいいいいいいいいいなぁ、うまぁそぉ」

ムーンとレナーの警戒心が上がる。

「こ、これがツバサの召喚獣?なんだか」

「ええそうみたいですね、なんだか禍々しいというか…」

「やめろ土蝼ドロウまたボコボコにされたいのか?」

「とトトトととんでもなぁいですよぉ旦那ぁ、もう一発!一発でバッチリ旦那の力で俺様ドロウ!ちゃあんと改心しましたよぉ〜?」

「はぁぁ、お前にやってもらいたいことがある、竜の里に行きたいんだ、場所分かるか?」

「竜の里ですかぁ?そーーーだなぁーうーーん、いひいひひっ、血でも舐めたら思いだせっ」

ツバサの右拳がドロウの顔面にめり込む

「ぎぇぇ、冗談!冗談!ですよぉ旦那ぁヘヘ、おっ鼻血、ペロリ、あっ思い出したぁ!」

そういって起き上がるとレナーを舐め回すように見ながらドロウは言う。

「ここ、魔王城の裏、混沌の森ですねぇぇ、混沌の森は特定の場所と場所をランダムで入れ替えるんですよねぇぇ…だけど…ジャンプ地点は決まってるんですよねぇ、あぁぁ…血を飲むとやっぱり頭が冴える…」

チラリとドロウはレナーを見る

「もう一回飲んどくか?」

ツバサ右拳をドロウに振りかざさそうとする

「ひぃ!冗談!冗談ですってぇもう相変わらず面白みのない方ですねぇ…俺に乗ってくだせえ、竜人の里まで行きやすよぉ」

「えっ!そんな事出来るんですか!?」

レナーはびっくりした様子でドロウを見る

「えええ、勿論ですよ、旦那の頼みですしねぇぇ??だけど…そこのお嬢さんが前に座るのが条件ですう」

ドロウは気味の悪い笑顔を浮かべる。

うっ、とレナーは一瞬拒絶反応を起こすがすぐに立て直す。

「わ、分かりました。どうせここに居ても時間が過ぎるだけで何も解決できません、いずれ見つかって殺されるのが付きの山でしょう。ムーン、私はいきます。」

「はいお嬢様、いってらっしゃいませ、きっとお嬢様も星の神が導いてくださいますでしょう。」

ドロウは興奮した様子で荒くれている

「ひひーーんっ!!!そうと決まればさぁさぁどうぞこのドロウの後ろに、ほら旦那も」

レナーとツバサがドロウに乗る。

ドロウは真剣な表情になりレナーに語る

「お嬢さん…そんな乗り方じゃあすぐに落っこちまいまっせ?さぁもっとひっついて」

「こ、こうですか?」

レナーの胸元がドロウの首元に当たる

「むほーー!これこれぇ!お嬢さん大きくはないけどいいものをお持ちだぁ!」

「なっ…な、な///」

レナーの顔が少し紅くなる

「早く行けエロヤギ」

ツバサが土で針を作るとドロウのお尻にブスッと突き刺した

「ぎょえええええ!!!!!」

痛みに暴れながらドロウが走り出す。

「わっ!わっ!ムーン行ってきますーーーーー!!!」

瞬きをする間に2人は豆粒のように小さくなっていった。

「はい…お嬢様どうかご無事で…ツバサ、あの男に任せて本当に良かったのだろうか…あぁ先代様」


読んでくれてありがとうございます。ゆっくりまったりやっていきます。

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