表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

勇者やめます。大魔王はじめました。第一話

たくさん感想待ってます。

勇者やめます。大魔王はじめました。

1話

ガジガジと削り合う音が響く

大きな城の窓は火花で灯されていた。

「くっ…おのれ!勇者!」

二代目魔王ティモル・レナートゥスは勇者ツバサとその一行聖職者エリン、剣士マガンと最後の決戦をしていた。

「これで終わりだ!魔王!」

ツバサの剣がレナーの五体を貫いた。

「ぐあああああっ」

後方に吹き飛ばされたレナーにツバサがとどめを刺そうと近寄る。

「………やだ」

?今のは誰が言った?エリンか?それとも

「んもおおおおおお!!!やだぁぁぁぁぁぁぁ!!!殺すならさっさと殺せぇぇぇぇ!!!」

そこには半泣きで自暴自棄になっている魔王がいた。

「………………」

ツバサは唖然としている。さっきまで戦っていた相手がまるで駄々をこねた子供だ

「今更自暴自棄になったか、悲しいな」

ツバサは剣を振りかざす

「いいもん…どうせ私なんて出来損ないだもん」

振りかざした剣がピタッと止まる。は?どういうことだ?こいつが?出来損ない?冗談じゃない、ただでさえ勝てたのも奇跡だと言うのに

「幹部は相手してくれないし、ずっと一人で勉強ばっかだし、私お父さんみたいには出来ないよぉ…ごめんなさい皆さんごめんなさいお父さん」

そう言ってレナーは目を瞑る。

ツバサは以前から違和感があった、こいつが諸悪の元凶ではない?旅をしていた頃、まともに飯にありつけない村の人々を見た、自暴自棄になり身を投げた人もいた、レナーに宿っていたのはまさにその目だ、どうでもいい、全てどうでもいいと、どのくらい時間が経った?後ろで仲間がほくそ笑んでるのがわかる。後ろを振り向いた瞬間、ドスっと自分の腹に剣が刺さった。

「あーあ、魔王側ちゃんと管理しとけよ教育洗脳でもなんでもしてさ、人形にすれば良かったのに」

「……がっ…マガン…………てめっえぇ…!!」

クスクスとエリンがマガンの後ろから現れる

「二人揃ってほんっとうに出来損ないだわねー」

「へ?」

レナーの顔が困惑と恐怖で愕然としていると後ろからツバサ達が倒したはずの幹部が現れる。赤い肌の女幹部が言う

「あーーら?バレちゃったのぉ?残念」

「おいもっとちゃんと躾けとけよ、俺が手を汚す羽目になっちまったじゃねえか」

「ごめんなさーいだってあの子初代の加護が強くってぇ」

「それで?魔王の執事はちゃんと殺したのよね?」

寡黙な魔王幹部が話す

「あぁ、息はしていない、ちゃんと確認した」

「そんなっ……ムーン……アルベラ、ミヒトどうして…」

レナーは今にも泣きそうだった

アルベラが答える

「あらぁ?あんたまだ分かってないわけ?ほんっとバカねぇ、騙されたのよあんたたちは、私たちに」

「そういうことだ」

更に後ろから趣味が良いとは言えない装飾を付けた男が現れる。

「………マート…………」

「これはこれは勇者様、まだ生きてらっしゃったのですね…お気の毒に」

マートは足をツバサのお腹に刺さった剣に押し付ける

「あああああああああ」

「うーーん♪素晴らしい…出来損ないの叫び声ほど聞いてて心地よいものはありません」

「あっ…がっっ………はっ……にっ…げろ魔王…俺たちは…騙されたんだ……こいつらの目的は、ぐああああああああ」

マートは足でグリグリと剣を押し付ける

「ちょっとちょっとちょっと何勝手に話そうとしてるんですか、うーんこほん!私たちの目的ですか?君たちを殺して残った私たちは生き残りとして、名誉と実権を握る、それでウハウハするってこと。もういいかな?じゃ死んで?」

マートがツバサから剣を抜こうとする

「……はっ…マート…てめえは俺を舐めすぎだ」

「は?」

突如として地響きが鳴る。城が揺れているのだ

「貴様!何をした!」

「城のもろい部分をピンポイントで幾つか壊した…もうすぐ崩れるさ」

一匹の巨大な老鷲がレナーの前に立つ。

「ムーン!」

老鷲は傷だらけだったが存在感は衰えていなかった。大鷲が言う

「お嬢様!私のミスです!申し訳ございません!今すぐ逃げましょう!」

「待ってムーン、それならこの方も…」

「こいつは……勇者!正気ですか!?」

「お願いムーン…お願い」

「くっ、おいそこの人間捕まれ」

ツバサは息も絶え絶えだ、ヒュウヒュウと細い息を吐いている、老鷲の爪に捕まれ、空へ飛ぼうとする

「逃がすか!」

マガン達が火球を飛ばし老鷲を撃ち落とそうとするが、逃してしまった。

「くそっ…おい!どうすんだ!逃げられたぞ!」

マガンは感情的になってマートの胸ぐらを掴む。

「まぁそう焦るな、直に新たな転生者が召喚される。あの出来損ないを殺したあと盤石の布陣を作り、王はもう洗脳してあるあとは我々が実権を握れば良い」

「ちっ……………出るぞ」

深緑の森にて、ツバサは刺されたまま空を見ている。老鷲は老人にかわり息も絶え絶えだ…レナーは絶望でただ座り込んでいる。

「はぁ…はぁ…はぁ…ぐっ」

レナーはハッとした表情でツバサの腹から剣を抜く、血が噴き出すかと思えばそうではなく血は止まっていた。

「はぁ…はぁ…血が…なんで…」

「私の力です、動かないでくださいね」

「…なんで助けるんだ…俺たち殺し合った仲だぞ」

「それはこちらのセリフです。どうして私に逃げろなんて言ったのですか?」

「…あんたも被害者だ…殺されることなんてないだろ別に深い意味はない」

「深い意味はない…ですか、つくづく勇者ですね、お父さんが言ってたのとは少し違いますが似ています。お父さんと戦った勇者と」

ツバサは土魔法で砂を傷口につけ血止めをする。起き上がって話す

「それで?これからどうするんだ?」

レナーは俯いたまま話す

「分かんないです。ムーンも息絶え絶え血止めの処置はしましたがこれでは…」

ムーンの口が僅かに動く

「お嬢様…私の隠れ家に行ってください、この森からそう遠くありません、そこで療養してください、そこの勇者も強がってはいますが大した力はもう残ってないでしょう」

「……………ムーンあなたはどうするの?」

「私はここまでです。先代から仕えていましたが、まさか私以外全員裏切っていたとは思わなかった…わたくしのミスです…申し訳…ありません…お嬢…様」

ムーンの目に僅かに潤う

「それなら俺のミスでもある。俺がアイツラの本性に気付かなかった…はぁ……最悪だ」

レナーは一人ただ座り込み泣くしかなかった…

「うぅ…うぅぅぅ……ムーンお願い死なないで…お願い……もう私本当に一人になっちゃう……」

色々と込み上げて来たのだろう。人形のように使い古され捨てられた。ゴミのように、自分の人生がクシャクシャにして捨てられたのだ。自分が苦しんで獲得した力も意味もなく、冷たくなっていくのは唯一の理解者。

その姿を見たツバサは過去の自分に重ねていた。虐げられ一人で強くなるしかなかった。あの頃の自分に、よく似ている。

「……………襲名だ」

少しだけ目を伏せて話す。

「うぅ……ぅっ…え?」

「お前は魔王を降りろ、俺が代わりに魔王になる。人も魔物も安心して暮らす世界を俺が作ってやる。だから…仲間んなれ、俺にはあんたが必要だ」

「…………………ひぐっ…うええええええええん」

「おいムーンとやらあんたも助けるぞ、ちゃんと働いてもらうからな」

そう言って数少ない魔力からゴーレムを1体生成する。

「なっ、何?私は…もう、」

「馬鹿野郎、せめて隠れ家の場所を教えてもらうぞ、ほらあんたもいつまで泣いてんだ行くぞ」

ゴーレムはムーンを抱き上げ、ツバサはレナーを背負う

何とか無事ムーンの隠れ家に着く。

「ふぅ…何とかなったな、おい生きてるか?」

「あ、あぁ今にも意識が飛びそうだがな…」

「治療するための箱とかねーの?てかお前はいつまで泣いてんの?」

「うぅ……だってぇ……」

「だってぇじゃねぇ、いいから爺さん助けるぞ大事な人だろ?」

「うぅ………ううううううう」

涙で返事し、ムーンに治療魔法をかける

「おいおい最初から出来るんだったらやってやれよ可哀想だろ」

「うぅぅ…分かんないぃ……何か出来たの………うう」

「なんかって……はぁ…」

「貴様には感謝してもしきれんな、私は少し眠る、お嬢様を頼んだぞ、勇者」

ムーンは泥のように眠りついた。

「……勇者じゃねえ、魔王、いや俺は大魔王、大魔王ツバサだ、お前名前は?」

「……ズズッ……レナー、二代目魔王ティモル・レナートゥスです。」


反応待ってます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ