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私の10年を返していただきます ④

開いて下さりありがとうございます!


短編「私の10年を返していただきます」の付随作品です。短編の方を先に読んでいただければ、より楽しく読んでいただけると思います。

「あそこは大きな声で愛してるー!くらいおっしゃれば良かったのに」


 壇から降りると、アメリアとセオドアが出迎えてくれた。


 ニヤリと意地悪く話すアメリアとそれを見守るセオドア、そして正論に何も言えないテオドール。それは生徒会室で当たり前だったいつもの日常だ。

 何気ないやり取りに緊張の糸が自然と緩んだリリーフィアはクスリと思わず笑ってしまった。


 キョトンとこちらを不思議そうに3人が見てきて、我に返ったリリーフィアはバカにしたわけで無いと訂正する。


 そして、今日で最後となる学園生活だが、これを話さなければ自分の学園生活は終わらない。リリーフィアは改まって、深く頭を下げた。


「今の私があるのは全部皆のお陰です。本当に……ほんと、うに……ありがとう、ございま、す……」


 笑ってお礼を言いたかったが、ポロポロと涙を落としてしまった。それを3人は咎める事などなく、アメリアはリリーフィアを抱き締めた。

 折角のドレスが涙で汚れてしまうと引き離そうとしたが、アメリアは関係ないと、離さなかった。


(わたくし)達こそありがとうございます。リリーフィア様とご友人になれて、初めて心から信頼できる友を得られて、(わたくし)は幸せ者でしたわ」

「友人……!私も、私も幸せです!」


 一言でこの気持ちは表しきれないだろう。


 何者でもなかったただの雑草に初めて手を差し伸べ、幾度となく助けられた。きっとリリーフィア・ドルファンの歴史を語る上で欠かせない人物達であり、出来事なのだ。


 そっとリリーフィアから離れたアメリアはにっこりと微笑み


「とてもお綺麗ですわ」


 胸元へゼラニウムのブローチを挟んだ。


「これは(わたくし)からお祝いの品です。《グロリオサ》の件を聞いてからリリーフィア様しか有り得ないと思っていたので用意しておりましたの」

「こ、こんな高価な品!ありがとうございます」

「これから今みたいに会う機会は減ると思いますが……」


 そう言ってアメリアはゼラニウムのブローチを指先で触れた。


「花言葉は真の友情。(わたくし)からリリーフィア様に言いたい事はその……伝わりましたか?」


 頬を赤く染め上げたアメリア。


 なんて可愛らしいのだろうと、思わず思考を停止させる。そんなアメリアの後ろで優しく目を細めていたセオドアはおもむろに口を開いた。


「アメリア様は公爵令嬢であり、それを抜いても完璧である為、何かと距離を置かれることが多かったのです。友人と言える存在は今までおらず、共に学園生活を送り、アメリア様に追い付きたいと努力する貴女が愛おしく思われたのでしょう」


 アメリアが言えずにいた本心を話し終えたセオドアはしれっとした顔で、アメリアを見つめている。

 羞恥心で口をパクパクと開いては閉じてはを繰り返しているアメリアはやはり可愛らしいと、リリーフィアはセオドアと共に大きく頷いた。


 そんな3人のやり取りにテオドールはクスリと笑を浮かべると、


「さぁ団欒はそれくらいにして、祝賀会の料理が届いたみたいだ。在校生達もドルファン嬢の事を待っているよ?」


 そう言ってリリーフィアへ手を差し伸べた。


 キョトンと、リリーフィアは首を傾げる。


 不思議そうにするリリーフィアだが、テオドールから向けられる視線でその理由を思い出した。つい数分前に彼から婚約を申し込まれ、それを承諾したのだ、と。


 こんなにも何かを伝えてこようとする熱い視線を感じたことはなかった。爽やかでどこか暖かい様な……こちらが好意を抱いているから気にするようなもので、それでなければ至って気にも止めないものだったはずだ。


 急に一連の出来事が恥ずかしくなったリリーフィアは顔を真っ赤に染め、


「承諾をしてしまいましたが、陛下や王妃殿下はこの事を認めてくださっておられるのでしょうか……」


 たどたどしく言葉を並べた。


 《グロリオサ》を授与されたが、一国の王子の婚約者にしておくのなら自分は不釣り合いではないのかと、唐突にメガティブ思考が頭を過ぎってしまった。

 それこそレンシア・ロベール公爵令嬢の様な、他国にも通用する方が相応しいのではないのかとも考えたが、テオドールの隣にレンシアだけでなく、どの令嬢であってもこの胸のモヤモヤは取れないだろう。


 婚約者になる資格は無いのかもしれないが、隣にいたい。頭には明確にそうなりたいという感情があるが、それはただの伯爵令嬢が決めることでは無い。


 これから説得に行くと言うならば、頭を床につけてでも承諾してもらうつもりだったが


「あぁそんな事か。あの2人なら承諾してくれたよ?そもそも《グロリオサ》自体、陛下達の許可無しに授与出来ないしね」


 あっけらかんと、テオドールは悩みを解決してしまった。


 知らず知らずのうちに外堀を埋められているような気がすると、リリーフィアが全てを悟った時には既に遅い。


(まぁ……僕自身、奮い立たされて動いたようなものなんだけどね)


『 リリーフィアの新しい婚約者を宛てがおうと思っているの』


 全ては王妃の何気ない一言から始まったようなものだ。

あと2話で完結予定です。


テオドールがリリーフィアとの婚約に勤しむお話です。


お時間がありましたら

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