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異世界であり、ゲームであり、理不尽であり。  作者: 吉野紘貴
俺には能力がないそうで
7/10

変なステータス

「アクリ、なんかすまん。さっきは怒鳴り散らしたりなんかして」


「いいよ、いいよ。気にしないで。別に僕は天涯孤独って訳じゃないんだ。まだ、親が見つかってないだけで、見つかるかもしれないからね」


 見つかるかもしれない。つまり、アクリは見つかる可能性の方が低いことを自覚しているのだ。


 それもそうだ。今更名乗り出るなんて、遅すぎる。アクリにだって、もっと、親の愛情が必要だった時期がある、絶対に。


「ほれほれ、暗い会話はそこまでにしておけ。お主、ちょっとステータスを見せるんじゃ」


 長老が雰囲気を察して、助け船を出してくれた。

 俺はステータスを出して、長老に近づいた。長老は慣れた手つきで操作をすると、あっという間に俺の名前を登録し直したようだった。


「『レオ・エノマーク』それが、おぬしの新しい名前じゃ」


「レオ・エノマーク……」


 なんだか、とても不思議で変な気分だ。苗字に誇りを持っていたわけではないけれど、それでも急に苗字を変えられると、どこか悲しい。


「ステータスを他人に触られないように設定を変更しと言ってやったわい。それと、お主のステータスは変わっておるのぉ」


「!! そうだ! 俺も説明してもらってない! どこが変なんですか?」


 ステータスを引っ込めるのも忘れて……さっきは勝手に消えたけど、どうしたら消えるんだ、これ?


「あ、ごめんごめん。説明していなかったね。えっと……適性と上昇指数については話したんだよね。んで、その続きになるけど、君は他の能力は高いんだ」


 もしかして、この剣と魔法がメインのような世界で、あるべき能力が低く、なくてもいい能力が高いということなのだろうか。

 軽く積んでいるということなのだろうか……!!


「高いって言っても、なんだか不思議な高さなんだよね」


アクリは、そういうと俺のステータスと、自分のステータスの比較をした。


 前者の数値が俺で、後者の数値がアクリだ。                   

LV 85・92

HP 7830・8425 

MP 8975・19857

STR筋力  9872・9258

ATK攻撃力 7897・7890

DEX器用さ 8700・6748

AGI敏捷性 9289・8909

MEN精神力 6305・6849

GRD防御力 6738・9003

MPR魔法防御4080・4870

 

「なんだ、これ……」


 思わず口に出してしまった。

 あれだけ、剣にも魔法にも適性がなかったのにもかかわらず、他のステータスはアクリにも引けを取らないほどに強い。この世界の基準が分からないから、一概にそうとも言えないが、これはきっとかなり高い。

 STRやATK、DEXにAGLなんかは俺の方が数値が高い。


「この世界で、ステータスを上げるには二つの方法があるのじゃ。一つ目はレベルアップ。これは様々な行動から経験値を手に入れて、レベルを上げることじゃ。そして二つ目は鍛錬をすることでの。例えば、ずっと筋トレをしておれば、経験値と、パラメーター経験値が手に入る」


「パラメーター経験値っていうのは、たまってもレベルが上がらない代わりに、そのパラメーターだけ上がっていくんだ。つまり鍛錬すればされたものほど、強くなるってことさ」


 そうか。俺のパラメーターはバランスが悪い。大体同じくらいに強くなっている訳ではなく、かなりの差がある。

 例えるならば、中古品の中途半端に強いデータのような感じなんだ。


 だから、気味が悪い。


「気が付いたかもしれないね。レオ君がこっちの世界に来たタイミングで、自動生成されるはずなんだ。それなのに、こんなにバラツキがある。適正の方を見ればバラツキなんてレベルじゃないんだ。しかも、自動生成でこんなに高いレベルになるなんて、バランス崩しもいいところだ」 



 そういいながらアクリは考え込む。こればかりは長老にもどうしようもないのかもしれない。

 しばらく沈黙になる。どちらからも有力な答えは出ないようだ。

 俺のステータスもアクリのステータスもいつの間にか、勝手に閉じたようだ。また、聞くタイミングを失った。


「シャン」


 なにかのシステム音のようなものが小さくなった。だが、静かになっていた部屋では十分に聞こえる音で、アクリと長老が顔をこちらに向ける。


「あーーっ!! 言語表示だ! レオ君、ステータスだして!!」


 言われた通りに出してみると、文字表記がさっぱり分からない。


「んじゃ、こりゃぁああぁ!!」


 さきほどまでレオ・エノマークだった表記も今では「gtj・tajyqer」になっている。なんて読むんだ、これ? グティジ・タイジョクゥェア……? 読み方もさっぱりだ。

 さきほどまで日本語表記だったものがすべて訳が分からなくなっている。


「これ、この世界の書き言葉なんだ。話し言葉は日本語と全く同じなんだけど、書くのはローマ字みたいなやつなんだよね」


 俺には思い辺りがあった。アクリが授業中に書いたプリントなどの端っこに、訳の分からないアルファベットが並んでいたのを見たことがあった。

 おおかた、アレだろう。


「お主には、戦士になってもらうために、学校にいってもらうつもりだったのじゃがなぁ。先に読み書きの練習じゃな。アクリ、お前が教師をやって、教えるのじゃ」


「「はぁああ!!?」」


 アクリと俺の叫び声が重なった。

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