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第一章 ホワイト・ナイツの面子③

 第一章 ホワイト・ナイツの面子③


 俺たちは冒険者の館の中にある掲示板の前に来ていた。周囲の生徒たちは俺の方をじろじろ見ている。


 昨日の一件で、俺の知名度は飛躍的に上がったからな。冒険者の館にいるだけでこれだけの注目を浴びてしまうのか。


 ちょっとした失敗でも、影であれこれ言われそうだし、有名人は辛いというのはこのことだろうか。


 ま、この程度のプレッシャーで潰れるほど俺も柔な人間ではないけれど。


「第五階層にいるドレイクは元々、住処の部屋から出てこない害のないモンスターだったんだ。だが、ここ最近、急に動きを活発化させてね」


 モリエールがそう説明する。


「昨日は襲われて怪我をした生徒も出て来てしまった。ま、そのおかげで討伐した時の報酬は二倍に跳ね上がったがね」


 ドレイクを討伐できた時の報酬は七十万ルビィになっている。


 ミノタウロスだけでなくドレイクも倒して置いた方が良かったかもしれないな。ドレイクならガンティアラスと戦う前の良い前哨戦になったはずだし。

 

 ただ、報酬の額が二倍の七十万ルビィになったのは昨日の夜と書いてあるし、今までドレイクの討伐に注目できなかったのも無理はない。

 

「そのドレイクを倒そうって言うわけか。ま、ガンティアラスを倒した俺たちなら楽勝だろうが」


 カイルが顎を掴んだ。


「勘違いをしているようだな。ドレイクと戦うのは僕とレイシアだけだ。残念ながら、君たちの出番はない」


 モリエールはニヤッと笑った。


「ドラゴンならともかく、ドレイク如きなら僕一人でも十分すぎるくらいだからな」


 ドラゴンの亜種とも言えるドレイクをそんなに甘く見て良いのだろうか。


「そこまで言うなら、俺たちはお前らが殺されそうになっても手は貸さねぇぞ。例え死んでも自業自得だ」


 カイルはそう突き放すように言った。


「フッ、僕たちに限って、ドレイク如きに遅れを取るはずがなかろう。【ホワイト・ナイツ】の第一パーティーに名を連ねる僕たちの力は伊達ではないぞ」


 モリエールは誇るように言った。


「その通りよ。私もモリエールもSランクの冒険者なんだから、第五階層に出て来るモンスターは一人でも普通に打ち倒せるわ」


 レイシアも自信を覗かせる。


「そう願いたいもんだ」


 カイルは皮肉げに言った。


「ええ。とにかく、あなたたちの方こそ余計なことをして私たちの足を引っ張らないでよ。何かあった時に副団長からお説教されるのは私たちなんだから」


 レイシアはサラッと白金色の髪を払った。あの、オリヴィエの説教は何だか怖い気がするよな。


「何か、アタシたちの影が薄くなってない、ハンス?」


 俺の背後からチェルシーの声が聞こえてきた。振り返ることなく、俺はそっと聞き耳を立てる。


「そうだな。ま、僕たちは僕たちのペースを守ろう。あんまり出しゃばると、レイシアとモリエールの二人に睨まれかねないからね」


 ハンスは小声で言った。


「うん。あの二人がアタシたちのパーティーのメンバーじゃないことが唯一の救いだよ。正直、もう【ラグドール】のメンバーは増えなくても良いんじゃないかな」


 チェルシーは苦々しい声で言葉を続ける。


「アタシ的にはパーティーの状況は、今がベストだと思うし」


 チェルシーの言葉には同感させられる。


 戦力的なことを考えればまだまだメンバーは増えた方が良いと思うが、居心地の良い空気を保つという面ではやはり今の状態が一番、良いだろう。

 

 人が増えればどうしたって軋轢は生まれるからな。最悪、パーティーが分裂してしまうことだってあり得る。

 

「かもしれないな。確かに、僕もあの二人のような人間が僕たちのパーティーに入ったりしたらと思うとぞっとするよ」


 来る者は拒まないと言っていたハンスでも、やはりそう思うか。


「だよねー。やっぱり、ハンスは分かってるよ」


 チェルシーがしょっぱそう声で言った。


「何を、コソコソ話しているのかね、そこの二人。とにかく、ドレイクを討伐する仕事を引き受けるから、ついてきたまえ」


 モリエールはチェルシーとハンスにそう声を飛ばすと、大股で受付のカウンターの方に歩いて行った。


《第一章③ 終了》



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