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番外編その壱 リリス&リオ編

零がユラに卍固めを決められている頃、リリスとリオは食材と織物のプルーバスに着き、宿を探していた。

「どこにしようか。リリさんは、部屋、別の方がいいもんね。男子と女子だし。」

「でも、私たちお金あまりないから、一緒の部屋でもいいよ ?」

「え !?で、でも流石にマズくないかな………………。」

ワタワタするリオに、リリスはニコっと笑い、チェックインを済ませる。

「で、でも…………大丈夫 ?リリさん…………男の子と一夜過ごすのって…………。もし、僕がリリさんを襲ったら ?もちろん冗談だけど。そうなったら、どうするの ?」

「大丈夫。リオ君なら、襲わないなって、信じてるから。」

「そう言われちゃうと、余計に襲いたくなっちゃうなぁ~ ?」

階段を登り、ドアを開け、部屋に入るとツインベッドが置かれた洋風な部屋がリオ達の目の前に広がる。

「すご~い、ベッドフカフカだぁ~。」

「そうだね~。ふわあぁ~~気持ちいい~~。」

お互いユルユルになって、少し経った頃、隣の部屋から、動物の鳴き声のような声と、女性の悲鳴が聞こえてきた。

「リリさん、僕行ってくる !」

「う、うん !」

部屋を飛び出し、悲鳴が怒った部屋に飛び込むと、女性の目の前で、犬のような体に、ワニの顔がくっついたような、気味の悪い生物が唸っていた。

「た、助けて !」

「Gruuuuuuu………………」

(気持ち悪っ !?何アレ !?)

メニューから武器選択ウェポンセレクトを呼び出し、とりあえず取り出した片手剣を構える。兄である零から教わった独学剣法けんぽうだが、威嚇にはなるだろう。

「あっち行け !」

「Uuuuuu………………」

リオの読み通り、ワニ犬はジリジリと後ずさりし、窓ガラスを破って外に飛び出し、逃げていった。

「………………っはァァァァァ………………良かったぁぁぁ…………。」

一気に力が抜け、床にヘナヘナと座り込む。女性は、毛布を頭から被り、ガクガクと部屋の隅で震えている。

「あ、あの~…………終わりました、よ ?」

「ありがとうございます、ありがとうございますありがとうございます………………。」

女性は、震える足腰をベッドで支えながら立ち上がり、リオに感謝の言葉をずっと言い続けた。

女性の部屋を後にし、自室へ戻ると、リリスがベッドの海に体を深く沈め、柔らかい寝息をたてていた。

「リリさん…………寝ちゃったのか………………。」

掛け布団をそっとかけ、ベッドの上に広がる髪をまとめる。小さい頃から、姉のユラの髪をまとめていたので、手馴れた手つきですぐに終わらせることが出来た。

「というか、あんなことあったのによく寝れるなぁ………………。」

口角を薄く上げて、頬をにゅ~と引っ張る。女子らしく、スベスベして柔らかだった。

「むぅぅ…………んにゅ~………………。」

寝ているリリスは、顔をしかめた後、指先で軽くリオの手を握る。そんなことをしてくるとは思っていなかったらしく、リオの顔は一気に火を噴く。

「っ !!!?!?」

(ちょ、ちょちょちょ !!待って !いきなり握るのは反則 !心の準備出来てないのにぃぃぃぃ !!)

「にゅ~…………んぁ、リオ君、おァよォ~~~。」

「おはよーリリさん。もうすぐ晩ご飯だと思うよ。」

「分かった~。」

そう言って、リリスはまたベッドに沈み込み、寝息を立て始める。

「早 !?」

「スー…………スー…………」

(幸せそうに寝てるなぁ………………)

艶のある桃色の髪に包まれた頭を撫でながら、メニューから文庫本を1つ引っ張り出す。

「…………えっと、確か127ページだったな…………。」


「………………おはよ………………」

「…………ん~………………」

朝、2人はフラフラしていた。まさか、夕飯の後色々なことを喋っていたら一夜を越してしまい、ロクに寝れていなかったからだ。

「………………クエスト、行ってみよ~~。」

「お~~。」

テンション低めで、曜日クエストへ向かう。ちゃんと、移動時に寝ていったが、全然足りなかった。

「リリさん、援護頼むね。」

「うん…………ふあ~あ…………。」

不安になってきた。欠伸あくびをしながら頷かれて、安心できるかと言ったら無理な話である。

「顔、洗ってきたら ?」

「寒いからヤダ。肌荒れるし。」

「う、う~ん…………困ったなぁ…………」

そうこうしている間に、クエスト開始のブザーが鳴り響く。目の前で、大量のゴブリンが地面から飛び出し、ワイバーンが飛来する。

「行くよ !」

「ん。」

能力‘悪魔のヘルブラッド’を発動し、自分の血液で作ったナイフを構えて走り出す。

「ブワブブブ !!」

「おりゃっ !」

振り下ろされた棍棒をかわし、首元を掻き切る。その流れで、後ろにいたワイバーンの足首にナイフでダメージを与える。

「{吸血スパラーサングリー}、展開。 」

すると、ゴブリンの喉元から吹き出していた血がリオのナイフに吸い込まれるように集まり、片手剣くらいまでの長さになる。

リオは、それを確認した直後、上空にいる手負いのワイバーンに向かって投げつける。投げつけた直後、片手剣の形から一本の槍に変化し、ワイバーンの体に突き刺さると、ワイバーンの体内にスルリと入り込む。

「Guaaaaaagyuoooooooo !!!!!!!」

その瞬間、ワイバーンの体が異常なまでに膨れ上がり、空中で爆発四散する。それでさえも、{吸血}は全て吸い取り、主の手に収まる頃には、大剣程の大きさにまでなっていた。

「大剣は使いづらいなぁ…………よっこしょ。」

リオが手をかざしたら、大剣の形が揺らぎ、大きな矢のような形の両手槍へと姿を変える。

「よし !これがいい !リリさん、援護よろしく !!」

「OK~~。」

体に力を込め、一気に加速。ゴブリンをまとめて斬り伏せる。残るはワイバーンのみ。

「どっこい !」

次は、大きなキャノン砲へと変形。狙いをつけず、変形したらすぐに引き金を引く。

「ほーらっ、飛んでけー !!」

発射された血液の弾丸は、普通の銃弾ではできない程の曲がり方をし、3体のワイバーンを同時に殲滅する。ちゃんと、血液採取も忘れていない。

「リオ君 !左飛び !」

リリスの声で左へ飛び退くと、今までリオがいた所に、4体のワイバーンが突進してきて、その直後、極太のビームが突き進む。

「危なかったぁ !」

「OKー。ほらほら~、まだいるよーー。」

「リリさんも働いてね !?前衛は確かに僕だけどさ !?」

「大丈夫~。私も働いてるよー。」

まぁ、クエストが始まってから、何回か助けられたのは事実なので、リオはそれ以上言えなかった。

「これでラスト !!」

特に体の大きい一体の足首に、槍から鞭に変形させた{吸血}を使って、地面に叩きつける。

「うりゃああああ !!」

{吸血}を大剣へと変化させ、思い切り叩きつける。地を震わす咆哮と共に、ワイバーンは動かなくなり、クエストクリアを示すファンファーレが鳴り響く。

「よし !」

「お疲れ様~。じゃあ、報酬品貰って、帰ろっか。」

「うん。」

その後、2人は少しルンルン気分で宿へと戻って行った。

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