表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

零&ユラ編2

「んん~~…………むぅぅ…………」

目が覚めると、暖かい感触が頭の下に感じられ、隣には艶のある黒髪を後ろで束ねた少女が薄く笑っていた。

「零、目が覚めたか。」

「ん…………あー、僕…………ユラの腕枕で寝てたんだねぇ…………」

「あぁ。その通りだ。」

ユラとしては、その直後、顔を真っ赤にして部屋を飛び出していく零の姿を思い浮かべ、笑いが出てきたのだが、零は、あろうことかまた寝てしまう。

「お、おい。朝の7時なのだぞ ?起きたらどうだ ?」

「やだ…………ユラの腕枕、いい匂いして、気持ちいいし…………まだ眠いし…………ファ~~…………もうちょっと寝るねぇ…………」

「………………分かった………………。」

子供のように眠る零に、キュンときてしまい、赤面させたかったのに、赤面させられてしまう。

(零の頬…………フニフニしてるな………………フニフニ…………フニフニ………………)

気持ちよさそうに眠る零の頬を、指先でフニフニとつまむ。

「むぅー…………んん…………」

少し顔をしかめ、寝返りを打つ零の背中を、なんの悪気もなく指先でなぞる。

「ヒャん !!」

「うわっ !?」

気持ち良さそうに寝ていた零が、いきなり女子と思えそうな声で飛び起き、さすがのユラも驚きが隠せなかった。

「え、な、何があった……………… ???」

何があったのか全くわからず、恐る恐る零に聞いてみる。すると、零は毛布にくるまりながら、顔を真っ赤にしてボソボソと喋り始める。

「ユラ、僕の背中撫でたでしょ…………」

「あ、あぁ………………それがどうかしたのか ?」

「僕、そこはとても弱いの !!ユラだって、くすぐられた時に凄くくすぐったいところあるでしょ !?それと同じ !」

「なんだ、お前性感帯が背中なのか ?珍しいな。」

「違う !意味はあってそうな感じだけど !!性感帯じゃないから !単に弱点なだけ !」

「フム…………。ならば、もう少しだけいじらせろ !」

布団を引き剥がし、ベッドにうつ伏せにさせる。もちろん、零は抵抗したが、弱点を触られたのか、全然力が入っていなかった。

「ヤダァァァ !」

「残念だったな !抵抗してみろ、力入らないだろうがな !」

「んんーーーー !!!!!!!…………っハァ…………うわぁぁぁん………………」

(愛いやつめ…………さらに私の心をそそるではないか。)

「さて、好きなだけいじらせてもらおう。」

まずは、最初の通りに指先でなぞる。

「んンッ…………ヤダァァ………………やめてよォォォ………………」

その一言で、ユラのスイッチが完全に入った。

「っ………………。」

うなじに舌をのせ、そのまま吸い上げる。

「ファッ !?や、やめ………………んにゃ !!」

「零…………お前はいつから受けキャラになったんだ ?今のお前の反応、凄く受けキャラのまんまだぞ。」

「知らなぁいぃぃぃぃ………………貰った !」

「何 !?キャアっ !」

少し力を緩めた瞬間、ベッドの軋みを利用して零が跳ね起き、ユラは体が宙に浮く感覚に襲われた。

(ヤバい、落ちる……………… !!)

しかし、ユラの体に伝わってきたのは、痛みではなく、柔らかくて暖かい感触だった。

「大丈夫 ?」

「ふぇ…………あ、あぁ………………。」

気付けば、自分は零の両腕に収まっていることが分かる。背中と、脚に両腕が引っかかるようにして、ユラは支えられている。

それに気付いて、ユラはこれ以上ないほど顔を赤くする。

「お姫様………………抱っこっ……………… !!!!!!!」

「そ。降りたい ?」

「降ろせ !早く降ろせ !私の心が持たん !」

「はいはい。よっこしょ………………ほい。」

硬い床の感触が足に伝わってきて、ひとまず安心。

「しかし、なぜお前は背中が弱いのだ ?普通の人ならば、そんな所は敏感にならないはずだが………………。」

「………………教えない。」

ベッドにあぐらをかきながら座り、零に尋ねるが、珍しく零は口を割らない。

「教えろ、なぜお前は背中が敏感なのだ。」

「ヤダ。」

「答えろ !」

「ヤダったらヤダ !!」

そう言って、零は毛布にくるまってしまう。怒りが込み上げたが、なんとか押し止め、端末を開く。

「ッッ……………………そうか、分かった…………スマン。」

「ん………………。」

そのまま、零は何も言わずにドアを開け、部屋から出ていった。


「ハァ…………やらかしちゃったなぁ………………」

ドアの後ろで、膝を抱えて座り込む。背中が敏感な理由。

それは、零やユラ達が小学一年の頃、17階建てのビルを建設中に鉄骨が落下。小学生1人が意識不明の重体となった、大きな事故があった。

その、意識不明の重体となってしまった小学生が、零及び、朝峰 雄希その人である。

その事故により、雄希は背中に鉄骨の角が直撃し、一生消えない傷を残すこととなった。

(ちくしょ………………でも、終わったことにうやむや言っても、仕方ないか………………。)

そう思いつつ、またドアを開け、部屋へと戻る。

「零 ?」

「ユラ…………なんで僕が背中敏感なのか、教えてあげる。コレだけは、《黒羽の騎士団》の皆にも言ったことない。つまり、ユラにだけ、これを教えてあげるの。」

そう言いつつ、零は帯を解き、上着を脱ぎ始める。ユラは、少し驚いていたが、すぐに冷静さを取り戻したようで、あぐらをかきながら、その様子を見ていた。

「ホラ、コレ。これが原因。」

「うっ………………ぜ、零………………この傷は……………。」

(だよね。これ見たら、絶対そうなる。)

さすがのユラでも、驚きを隠せなかった。

なぜならば、零の小柄な背中いっぱいに、生々しい傷跡が走っていたからだ。中心に、一本の線が走り、周りには若干だが、皮膚を移植した痕が伺えた。零は、そのことを気にしないかのような口調で話し続ける。

「これねー…………あのー……僕達が小一の頃、鉄骨落下事件あったの覚えてる ?」

「あぁ、小学生が一人意識不明の重体になっ………………まさか、お前か……………… ?」

いつもになく真剣になるユラに、コクリと頷く。

「そう。あの事故で、こんな傷が残っちゃったの。それからというもの、金属音を聞くと、あの時の記憶がブワッと出てくるようになってさ。トラウマになっちゃった。大きい金属音聞くと、体がすくんじゃう。」

昔の事は気にしてないというように話す零だが、その手が少し震えているのを、ユラは見逃さず、話題を変えて気を紛らわしてやろう。と考えた。

「零。少しいいか ?いきなりだが、武器を変えたいと思ってな。今度は………………そうだな、双剣にでもしてみようか。すまないが、お前オススメの双剣があれば、教えて欲しい。」

「ん。いいよー、僕の考えで選ぶからさ、ユラもなんか考えあったら、言ってね。」

ピョンとベッドから立ち上がる零の後に続いて、ユラは、暖かい陽が満たされた部屋から出ていった。


「ユラはさ、どういう双剣扱いたい ?軽め ?それとも重め ?僕としては、軽めの方がいいな。まぁ、僕が素早さメインの戦い方してるからだけどね。」

「フム………………ならば、私は重めの方がいいな。私が言うのもなんだが、そんなに素早い訳では無いし、どちらかと言えばダメージを優先させたいからな。」

商人たちの賑やかな声に溢れた商店街を歩きながら、武器屋を目指して歩いていた。一番近くの武器屋は、宿から結構離れており、20分くらい歩かなければならなかった。しかし、その間に、ユラのニーズに合わせた双剣がどのようなものかを、零とユラは話し合った。

「着いた。ここだね。」

「大きい店だな。信頼も高そうだ。」

二人の目の前には、“武器屋 ゲンナイ”と書かれた札が入口の門に堂々と掲げられており、中に入ると熱気と注文をする客の声などで溢れかえっていた。

「さて、見に行こうか。あ、僕も“スティンガー・ウナム”一丁買っていこうかな………………。」

「零、どうする ?お前の用事から済ませても問題は無いが ?」

「うーん………………じゃあ、僕、先に買っちゃおう。ついてくる ?」

コクリと頷き、零と共に、銃が大量に並べられたコーナーへと移動する。スナイパーライフル、ショットガン、サブマシンガン………………中には、パチンコなんてものもあった。

「あ、あったあった。」

零が手に取った“スティンガー・ウナム”は、シンプルな見た目をしていた。スコープがついていない、普通のスナイパーライフル。

「スコープがないのだな。その銃には。」

「うん。コレね、自由に選べるんだよ。取り付けるスコープ。僕は大抵4KL16っていう、[へーエルピス]オリジナルスコープ使ってる。それがはめられるんだよ。カッチーンとね。」

「ホゥ…………私は、近距離一択でプレイしてきたからな。遠距離武装は、扱えないだろう。」

「でも、何かしら遠距離武装持ってないと、僕みたいに、狙撃しかしてこないプレイヤーもいるから、そうしたらユラ一瞬でヘッドショットされて死んじゃうよ ?だから、もう一丁“スティンガー・ウナム”買おう。弾ならいっぱいあるから。」

「いや、私は………………」

断る暇など与えず、零はそそくさと購入を済ませ、一丁をユラに手渡す。

「はい。じゃあ、明日からこれの使い方とか練習しようか。」

「う、うむ………………。」

その後、近接武器を扱うコーナーへ向かい、ユラは悩みに悩んだ末、“ソウルイーター”という双剣を購入することとなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ