7-21
「怖いかよ……これはおまえを倒すための武器だと言ったろう!」もう二度と離されるものか。あたしは再び斬り込んだ。「ふん……それでも、当たらなければ意味はない!」クリスタルはすぐに体勢を立て直して攻撃を受け止めた。一合、二合、攻性粒子の火花が散る。
「いいかげんしつけぇぞてめぇは……さすがにブルーローズの犬だ。負けるとわかっているくせにいつまでもいつまでも……ッ!」
「あたしはブルーローズじゃないっ! あたしは負けないっっ!」
隙を入れず、間を置かず、上下前後左右全方向を利用してクリスタルを追い回す。やがてあたしは、シャーレの底を壁にして、下方向からクリスタルを追い詰めた。シャーレごと串刺しにする勢いで、あたしはクリスタルに突っ込んだ。
「馬鹿が……俺が追い詰められるなんてことはありえないんだよ!」
いや違う───あたしは間違いなく、彼を追い詰めたのだ。なんとなれば───クリスタルがワープする!
彼がワープインしてその場から消える直前、あたしは自らに急制動をかけ、反転してシャーレに背を向けた。地球の青い輝きを見ながら、真後ろに、見えない場所に手を伸ばす。そして叫ぶ。「ローズ・イージス!」
背後に、ローズイージスを作り出す。その場所には何もない。誰からの攻撃もない。だがあたしには確信があった。というより、気づいてしまえばあまりに単純で、笑ってしまいたくなるくらい、無様なことだった。
彼が省いている必要不可欠なプロセスとは、自らの判断による座標の決定。彼の高速ワープは、誰かの背後にしか出ることができないのだ。
いや、理屈はどうだっていい。それよりもあたしを激しく、哀しく衝き動かすのは、わかってしまえばくだらないルーチンでしか動けない事実に、クリスタル本人が気づいていないことだった。
だってそうだろう? なぁクリスタル、おまえはあたしの背中を何度見た? 誰の支えも自覚できなかったこの情けない背中が、どう見えている? そこにはまだ何の重みもありゃしないだろう。けれどおまえには、その軽ささえ見えていなかったんだな。
予想通りに空間の歪みが現れた。紅色の壁とクリスタルのワープアウトが、完全に重なった。
「ぐぎゃあああああああっ!」
悲壮な絶叫が虚空に響く。クリスタルの顔は、信じられない悪夢を見た後のように怯え、歪んでいた。
あたしは再び反転し、ローズイージスを蹴り飛ばす。イージスはクリスタルと重なったまま垂直上昇して、金ぴかのシャーレに命中する。シャーレが砕け、中に詰め込まれていた金銀が地球に向けて降り注いだ。
あたしはその間をかいくぐって、ローズイージスを追った。
攻性粒子の接触中は精神体とてワープできない。だからイージスが捕らえている限り、クリスタルはもう逃げられない。
さらに、イージスは彼の砲塔と腕を押さえ込んでおり、彼の攻撃手段をほぼ無力化していた。あたしに向けて露出しているのは、顔と胸板だけだった。「あぁ、あぁ、あぁ、あぁぁぁぁぁぁっ!」情けないうめきとともに、その胸の中に星雲が渦巻き始める。アースクリスタルだ。まさしく最後のあがきで、チャージ時間は短く、放出された光の小球はごく限られた数だった。
あたしは避けなかった。これが最初で最後のチャンスなのだ。小さな星々が回転しながらあたしの体にぶち当たり、ヴァインを砕き、もともとの戦闘形態の防性粒子もたちまちのうちに削っていく。だがあたしは痛みをこらえ、突き進んだ。
やがてイージスに追いつく。ローズサイコパスを振りかざす。
「うっらぁぁぁぁぁぁ!」クリスタルの体を、貫いた。
ローズイージスが砕け、虚空に散った。
空に昇るシャーレもまた、中身も破片もすべて地球に落下してその場から姿を消していた。後に残っているのは、あたしと、胸板からローズサイコパスを生やしているクリスタルだけ。
クリスタルの表情が歪んだまま凍りついている。ぴくりとも動かない。やった……のか?




