第21話 交流パーティーとドラゴン飛行ショー
セント・ジョージ学園にやってきたセント・マタル学園の一年生たち。
交流会はパーティーから始まった。
体育館にセッティングされたテーブルに料理が並び、立食形式のビュッフェになっている。
生徒同士がリラックスして交流を深め、友好関係を築く目的で開催されたものであった。
「カッツ、食べ切れる量だけを持ってくるんだぞ」
「僕、そんなに大食いキャラじゃないって」
レヴィの忠告に、カッツは笑って答える。
「ニーズ、お前もだぞ」
「食べ切れる量だけ……大丈夫」
「食べ切れるからって大盛りにするのもやめろよ」
トールは見透かして、呆れたようなため息をついた。
そこへ、「レヴィアタン様」と彼らに歩み寄ってくる人物がいる。
「ああ、コクリュウか」
「ご無沙汰しております」
セント・ジョージの生徒会長がうやうやしい口調でお辞儀をした。
「そんな堅苦しくしなくていい」
レヴィが手を振って顔を上げるように命じる。
それを見たカッツは「レヴィ、そうしてると偉い人みたい」と感心したような声を上げた。
「よせ、俺はただの妾の子だ」
「レヴィアタン様、お噂はかねがね。国の件はおいたわしく思っております」
コクリュウは顔を上げて、眉尻を下げている。
竜の国を追われた事件に言及されて、レヴィは眉間にシワを寄せた。
「……みなまで言うな。俺は気にしていない。このカッツとともに、竜王に『挨拶』に行くつもりだからな?」
ニヤリと口の端を上げ、カッツの首に腕を絡めて引き寄せ、その拍子にカッツがレヴィの胸にもたれかかる形になる。
「それは……本気でお考えなのですか、レヴィアタン様。竜王様のお怒りに触れるのでは……」
「俺が知ったことか。故郷に里帰りするだけだ」
「ですが……」
レヴィとコクリュウの会話を、周りのドラゴンたちは不安そうに見つめていた。
セント・ジョージに在籍しているドラゴンたちも、竜の国出身が多い。
そんな彼らは、竜王と妾の子であるレヴィには恐れを抱いているのだ。
緊迫した空気の中、「会長」とコクリュウに近寄る女生徒がいる。
「ショーの準備ができました」
「そうか、ありがとう」
コクリュウは副会長らしき女子に頷き、「レヴィ様、私は一旦失礼いたします」と再び礼をして去っていった。
そして、マイクを手にパーティー会場の生徒たちに声を掛ける。
「セント・マタルの皆さん、交流パーティーはお楽しみいただけているでしょうか? 続きまして、我がセント・ジョージの生徒たちによるドラゴン飛行ショーをご覧に入れたいと思います。どうぞ、グラウンドへの通用口から、外においでください」
コクリュウの指示に従って、生徒たちはグラウンドに出た。
そこには大きなドラゴンたちにベルトをセットしているドラゴンライダー。ドラゴンの首を撫でて落ち着かせ、その背に乗る。
ピーッとホイッスルの音が鳴り響き、ドラゴンが一頭ずつ、翼を広げて空に躍り出た。
ドラゴンたちは空中で隊列を作り、Vの字になって空を翔ける。その列は一糸乱れることはなく、宙返りやドリル飛行もお手の物。
そして、ドラゴンライダーはドラゴンを御しながら手に持ったバケツから色付きの煙を撒いて、空に「Welcome」の文字を描いてみせたのだった。
「すごい!」
空を見上げていたカッツは自然と拍手をしてしまう。カッツだけではない、セント・マタルの生徒たちは驚嘆と歓喜の声を上げ、ドラゴンライダーたちに拍手を贈った。
「皆さんに歓迎の意を示せたら、我々も嬉しく思います」
コクリュウは満足そうに笑い、「さて、次は皆さんも一緒に参加していただきましょう」と生徒会のメンバーに目配せすると、彼らは木剣を運んでくる。
セント・マタルの生徒たちが不思議そうに見つめていると、コクリュウは告げた。
「セント・マタルの皆さんと、セント・ジョージの生徒たちで、学校対抗の模擬戦をしましょう」




