2-2 いたずら大作戦!
ーーー本日、作戦決行。
コスプレイヤーとしての意地をかけた、最大の挑戦。
それは・・・
別人になりきる!
今日は、公爵家で私の護衛。
食堂で一緒に働く”ケビン”になる。
もちろんケビンには休みを取ってもらった。
2年も一緒に過ごした私。
観察する機会は十分あった。
家族にも内緒でケビンになりきって市井にでも行ってみよう。
鍵のかかる部屋でメイク、衣装、かつら、そして忘れちゃいけないカラコン。
久しぶりのこの感覚にわくわくが止まらない。
カイト様、またなりたいな。
そんなことを考えながらケビンのしぐさを思い出し、鏡に映し出す。
にこにことした人当たりのいい笑顔。
よし!完璧!!
入念に準備をして部屋を出た。
ドキドキしながら屋敷を出ようとする。
「あれ?ケビンって今日休みじゃなかった?これからどこに行くのよ。」
メグが声をかけてきた。
「ま、町に行ってみようかと思って・・・」
焦ってしどろもどろになってしまう。
「今日は、働く日でもないんでしょう?
・・・まさか、誰かに会いに行くとか?」
なんか、メグが怒っている。
えっ。
ケビンってメグといい感じなの?
全くわからなかったけど、それより。
どう答えればいいの?
何が正解?
ケビンごめん。
「あ~用事はないんだけど、町でメグに何かお菓子でもと思って・・・」
点数稼ぎにそんなことを言ってしまった。
これ、買ってこないと大変なことになるな?
そんなことを考えているうちに、
メグの表情がくるりと変わり笑顔になる。
「そうなの?それじゃ楽しみに待っているわね。気を付けて行ってらっしゃい。」
勝手に約束してしまった。
後で何かフォローしなければ・・・
実際の人間になるって難しい。
そうして、私は冷や汗をかきながら足早に屋敷を出た。
あ~やっぱり市井はいいな。
雑多な食べ物の匂い。
活気のある人々の声。
いつも働いているクララおばさんの食堂に足が向かう。
「あれ?君はあの食堂で働いている確かケビンさんだよね。
今日は珍しいね。
こんな時間に町で会うなんて。」
誰だろう?
金髪の男の人に声をかけられた。
「あの?あなたは?」
なるべく声を低く出してみた。
難しい。
「あ。私も食堂によく食べに行っているから・・・」
そうか、お客さんか。
じゃ、大事にしなくちゃ。
「そうでしたか。いつもありがとうございます。
今日は、休みなもので、町をふらつこうかと・・・」
そう、無難に返したけれど。
「そういえば、いつも一緒に働いている女の子は、
今日は一緒じゃないのかい?」
なんか、ぐいぐい来るな。
それに、視線が時折鋭くなる。
「あ~一緒に働いているだけなんで。
いつもは別行動・・」
「じゃ、特別親しいとか・・
あ。ごめん。別に深い意味はないんだ。
それじゃ。休みを楽しんで。」
そう言って、金髪の男は一度も振り返らず、
無駄のない足取りで去っていった。
怪しいーーーー
私のことを知りたいなんて。
何が目的?
今度お店に来た時、要チェック!
必要以上にかかわらないようにしようっと。
そんなことを考えていたら、声がかかる。
「ケビン!
こんなところで会えるなんて嬉しい~
これからデートしましょう♡」
なんかナイスバディの女の人が腕を回してきた。
ケビン、もしかして二股?
とりあえずメグを応援したいから断ろう。
「ごめんね。子猫ちゃん。
今日は用事があって。
またね。」
いつものケビンを想像して言ってみたけど、鳥肌が立つ。
「いや~ん。
ケビンったらいっつもそう言うんだから。
でも、今日は何かいつもより優し~い。
今度こそデートしてね。
約束よ。」
そう言って、ほっぺに”ちゅっ”ってして名残惜しそうに帰っていった。
え~
ケビンって も・て・る?
危ない危ない。
またしても勝手に約束してしまった。
ケビンごめんよ。
なむなむ・・・
もう、メグにお土産買って帰ろう。
こうして、町で売っているおいしそうなマフィンを買って家路を急いだ。
メグにお土産を渡したら、とっても喜んでくれた。
終わり良ければ全てよし!
本当に?




