1-10 金髪の男side
見つからない。
あの日、おぼれた友人を何もできずに呼びかけていただけの私・・・
そんな私の目の前に現れた不思議な少年。
「どいて。」
少年特有の高めの切羽詰まった声。
おぼれて動かない友人の胸に手を当て、
汗を流しながら必死な顔で胸を押す。
荒い息。
手が震えていることに気づき、
私も思わず見よう見まねでやってみた。
必死だった。
そしたら、奇跡が起きた。
友人は息を吹き返した。
よかった。
友人が息を吹き返したことに喜ぶ。
本当にうれしかった。
私は、あきらめかけていたのだから・・・
それにしても・・・
どうしてそんなことができる?
全く不思議だ。
今までに見たことがない。
あまりの余裕のなさにじっくり話ができずにいるうちに
消えてしまったーーー
そう本当に消えたのだ。
どこにも見当たらない。
それから、その少年を探す日々。
町には大分詳しくなったつもりだった。
なのに一向に見つからない。
ーーーあの太った少年。
そんな日々。
ある食堂が急激に活気づいた。
なんでも、女の人が一人で忙しそうに働いていただけだったのに、
いつの間にか若い男と少女が一緒に働いている。
明るい声が響き合い、集まった人たちの笑顔があふれる店。
どうしても気になって、最初はこっそり覗いてみた。
そのうち、おいしそうなにおいにつられて、
その店に入ってしまった。
人気の秘密がわかった。
明るい受け答えに雰囲気が温かい。
おいしい食べ物。
笑い声。
特にあの”親子丼”
なんて優しい味なんだ。
気づけば、きれいに平らげていた。
それからは、気付けば足が向いてしまう。
そんなことよりも、気づいたこと。
あの少女の声。
どこかで聞いたことがある?
どこだ?
全然知らない顔。
だれだろう?
この町にいただろうか?
なんかひっかかる・・・
でもわからない。
(あの時の・・・?いや、まさか)
もやもやしながらも今日もあの食堂を後にしたーーー
また、来る理由ができたな。




