1-9 働くことは楽しい!
食堂で雇ってもらって、週末働くようになった。
「お嬢様ぁぁぁ!!。また、そんなおみ足が見える恰好でぇぇぇ!!!」
メグには毎回怒られる。
「私の計画には必要なことなんだよ。」
メグをなだめて、今日も働きに出かける。
もちろん、ケビンも一緒。
「なんでかな?」
まだ納得していない。
でも、ケビンったら顔がいいからか、
最近女性のお客さんも増えているんだよね。
チャラいけど、仕事はできる。
ケビンは何気にスペック高い!
おかみさんも喜んでいる。
私も、ポニーテールで元気に働く。
最近は、私も接客を担当することもある。
「今日もかわいいな。俺、いつものな!」
いつも来てくれる武器屋のデニスさん。
「腹減った。俺には、肉を多めで!」
荷物運びのビリーさんはいつもお腹を空かせている。
常連さんも分かってきた。
中には、
「ねえ。ミリーちゃん。これからデートしようよ。」
誘ってくる人もいる。
でもそのたびにどこからか、すちゃっと現れるケビン。
音もなく現れるんだよね。
忍者か!
「お客さん。ここはそういうお店ではないので、お引き取りを。」
こういう時のケビンの視線は鋭い。
誘ってきたお客さんもすぐにあきらめてくれる。
なんだ、ちゃんと護衛の仕事してくれてるじゃない。
こうして、休みのたびに働いていると、
体をこまめに動かすからか、
ウエスト折れ線グラフが下がってきている。
よしよし。
慣れてきた私は、ある日、おかみさんにこんな提案をした。
「この食堂に来る人は労働者の人が多いですよね。
時間は短く、しっかり食べたいっていう。
そこで、丼物ってどうかなと思って。」
「丼物?」
おかみさんは、不思議そうな顔で聞く。
(そうか、丼なんて言葉知らないんだ。)
そこで、私が深めの器にご飯をよそい、
その上にいろいろな具をのせて出すもの。
そんな説明をした。
まずは、やはり親子丼。
あとは、焼き肉丼や天丼なんかもいいかも。
私は、とりあえず親子丼の作り方を説明する。
おかみさんは、言われたとおりに作り出す。
さすが、おかみさんは聞いただけでも上手に作る。
三人で食べてみた。
「・・・・なんだこれ。」
まず、ケビンが丼から目を離さずに言う。
もう、箸が止まらない。
ご飯を無言で豪快にかきこむ。
「本当だね。これはおいしいね。食べる時間も短縮できるね。」
おかみさんもうなずきながら食べている。
そして私・・・
泣いている。
正確には、涙を流しながら食べている・・・
だって、久しぶりなんだもの。
この世界に親子丼なんてない。
あっちでは、よくお母さんが作ってくれたなあ。
そう考えながら食べていたら涙が止まらなくなってしまった。
ケビンもおかみさんも箸が止まって、不思議そうに見てくる。
(あ、やばい見られてる・・・)
それでもかまわずに私は、完食した。
「ごちそうさまでした。」
キチンと手を合わせて。
「なんだいそれは?」
おかみさんも不思議そうにしている。
「これは、作ってくれたおかみさんや
食材になった命ある生き物に感謝の気持ちを表してます。」
「へぇ~。なんか分からないけどいい心がけだね。」
そうして、次の食堂のメニューとして親子丼が採用された。
もちろん、お客さんにも大好評。
忙しくて、私たちを雇ったのに
お店がさらに忙しくなるという
まあ。繁盛しているんだからいいか。
充実したお仕事生活である。
生き生きと働く私たちを店に来た金髪の男が興味深そうに見ていたなんて・・・




