1-8 お仕事体験がんばりまーす!
「なんか面白いことになってるね。
仕事なんて本当にできるの?」
お兄様は、面白がってにやにやしている。
(やってやるわよ!)
「お嬢様。
本当にこんな服でいいんですか?」
メグが不満そうに聞いてくる。
ウエストを締め付けないふわっとしたワンピース。
(だって、まだぽっちゃりなんだもの。)
しかも、平民の中でも浮かないようにくすんだベージュ。
そして、髪型はポニーテール。
(だって、初めてのお仕事ですから…)
私ちょっと浮かれてます。
「勘弁してくださいよ。
俺も働くんですか?」
お兄様に命令され、護衛役のケビンは不満気だ。
「護衛の給料と食堂の給料。
二重取りなんてうらやましいな。」
お兄様にからかわれる。
「絶対に思ってないやつ。」
ケビンは口をへの字に曲げる。
(かっこいい顔が台無しですよ。)
そうして、私たちはあの食堂に来た。
「おはようございます。
今日はよろしくお願いします。
こちらのケビンも一緒に働かせてください。
一生懸命頑張りますから。」
私たち二人でしっかり挨拶をする。
接客業。
挨拶は基本。
「元気がいいのはいいね。
今日は裏方として、掃除や皿洗いを頼むよ。
ただし、無理はしないこと。
それじゃ、頼むね。
あ、それから私のことはおかみさんと呼んでおくれ。」
そう言って、やり方を説明してくれた。
「護衛の仕事どこいった・・・」
ぶつぶつつぶやいているケビン。
(ごめん)
店をきれいにして、お客さんに気持ちよく過ごしてもらいたい。
私は、床を丁寧に掃いたり、
テーブルをきれいに拭いたり。
忙しく働いた。
「水は大事に使っておくれよ。」
おかみさんに声をかけられた。
(そうか。ここ、日本じゃないものね。気をつけなくちゃ。)
「すいません!わかりました。」
すぐに答えて直していった。
お客さんも入ってくると、
「いらっしゃいませ。」
厨房から大きな声を出した。
お客さんは、一瞬驚いてこちらを見たが、
すぐに空いている席を見つけ座った。
そうして、お客さんがどんどん増えるうち、
ケビンは注文を取りに行き、
私は皿洗いをこなしていった。
そうすると、おかみさんは料理に集中できる。
「本当に助かったよ。
お前たち、手際がいいね。
合格だ。」
(やった!)
おかみさんから、褒められてうれしくなった。
ただし、私もまだ毎日来るわけにはいかなかった。
それで、お店が忙しい週末の2日間だけ、
お手伝いすることになった。
「それでも助かるよ。
よろしく頼むよ。
ミリーとケビン。」
私たちは、二人でセットとなった。
(ケビンごめん。これからもお願いね。)
私は心の中でひたすら謝った。
この時、外からじっと見つめる金髪の男がいることに私は気づかなかった。




