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第2章 12話 教えてほしいって

初めての俺のセナとしての冒険はナッドウルフをジョニーが発見し、そして場所が分かったところを広範囲の雷撃を放ったら、たったそれだけで終了した。


他のみんなも含め、俺も愕然としている。


「セナちゃん?」


「あははは」


ほら、こうもっと、チームプレーとかそういうの期待してたりしたんだけどさ、あれ?


マチルダも目を見開いているではないか。


「おままごとと言ったのは取り消すわ。これは、普通にちゃんとした、いえ、優秀な魔法使いよ」


「ありがとうございます」


うん、褒めてもらって嬉しい、嬉しい、が、だ!


期待していたものと違う!


おい、ちょっと弱くない!?


え?


俺が、セナが強すぎるのか?


いやいや、これまで普通にナッドウルフにこう前回もなんか役割分担してやってたじゃない。


なんでこうなった?


「次は、もう少し骨のある依頼にするかい?」


苦笑いでパーブルが言う。


「そう、ですね……」


反笑いで応える。


俺ツエーがやりたかったわけじゃ、ないんだよ。うん。


だって、あっけなさ過ぎて面白くないじゃん。


依頼としては成功だが、納得いかないのであった。


---


私は冒険が終わって冒険者ギルドから、いつもの練習の街の外に向かう際、いっそ一直線で言ってみようと防御円を使った階段や壁をよじ登って屋根の上を走ってとやってみることにした。


実践で、でわなく、もういっそ私の日常に、それが当たり前みたいに取り込んでしまったらどうだろうと思ったのだ。


魔力が切れる心配についても、もうずいぶんとないくらいに高まっているし、依頼が終わった後なので気にしなくていい。


練習で足りなくなるのは少しもったいないかもしれないが、今のところ使い切っていないので、限界を見極めるためにもと、そうすることにしたのである。


自由に、屋根の上をかけるというのはなんとも楽しい。


荷物運びのときのように、必死にゼルの背中を追いかけるようなものと違い、自分のペースで気持ちよく駆け抜けられるのはまた面白い。


そのまま、街の門をくぐらず、防御円の道を作って外に出て、階段にして降りていつもの場所へと到着した。


普段から使ってみるのも悪くないのかもしれない。


奇妙に思われるかもしれないけど、もうすでに思われてるし、いいかな。


私は私。自由でいたい。そう、誰かの目を気にして、束縛なんてしたくない。


そうしていつものように練習していると、後ろから子供の話し声が聞こえたので振り返った。


「おっ、こっちみた!」


「すげー、あれがサーラか、かっけー!」


子供三人が覗いていたのである。


どうしようか、といって、遠くで見ている分には、別に見られて困ることはないか。そう、不用意に近づかれると危険である。


ちょっと大声で、


「危ないから、近づかないでね。だったら、見ててもいいから!」


「「わかった!」」


調子よく子供たちは言う。


本当に分かっているのだろうか。


流石に、それを完全に信用してとはいかないだろう。もしも、があってはいけない。


その後、いつものように雷撃や風の刃の威力を調整しながら撃ったり、広範囲雷撃を試し、防御円での階段をやりつつの並行して別の魔法などをしつつも、どうしても子供たちが気になってしまう。


集中しきれない。後ろに気がそがれる。


どこに、子供がいるか、それを意識しながら練習をする。


困ったな。


集中しきれていないのは、よくない気がする。


とはいえ、うん、なんだか、私は子供たちの気持ちが分からなくもない。


だって、そう、ロハン先生の魔法を見せてもらうのが好きだったのだから。


近くで見せてもらえるなら、見れる機会があるなら、きっと私だって覗きに行くだろう。


しかたないなと思う。


最後に、いつものように、全力で雷撃のビームを打ち上げる。


「うおぉ、すげーーー!」


「なんだこれ!」


「これが神の雷ってやつか!」


みんな後ろで大興奮だ。


神の雷だなんて、最近なんかそんなたいそうな名前が付けられているらしいことが分かった。


こうして、一人っきりの練習に子供たちの見物人が加わってしまったのである。


---


俺は、護衛任務を受けた。隣の村までの行商人の隊列の護衛の一部として。


夜、焚火を見ながら日の晩と見張り役をやっている。これも一つの冒険と言えるだろう。


それは、セナとしても受けたことのない依頼だ。


護衛にはもう一つ別のパーティーも参加している。


協力はしつつも、それぞれ独自にというか、保険みたいなものだ。


そういうのはままある。競わせるという意味合いとお互いの監視だ。


冒険者が盗賊になってしまう、なんてこともなくはない。そこで、パーティー二組から三組を、ということをする場合があるのだ。


もちろん、信頼関係が気づけている同じみだったら違うが、護衛任務を受けつづける固定の傭兵がいない場合は、このようになる。


こうして自然に囲まれながらというのも悪くはない。


とはいえ、交代しながらの見張りは、ちょっときつい。慣れていないしね。


そして慣れないゆえに、周囲の警戒というのをどこまでの緊張感、注意力、集中力でやり続けないといけないのかが分からず、つい肩に力が入ってしまう。


外は静かで、焚火のカカッと燃える音と炎の揺らめきの音が静かに聞こえ、その香りが心を落ち着かせはするが。


意外に泥臭い仕事だなと思った。


俺としてはね。


言ってしまえば、これって警備の仕事で夜勤で交互に見回りしながらをやりつつ、さらに昼もってことで、相当きつい仕事だと思う。


しばらくして、


「セナちゃん、交代だ」


「分かりました」


ふー、やっと休める。


といって、寝るのはベットではなく、馬車の中で。


うん、現代人には過酷である。


よくよく考えれば、冒険者と言っても最初から華々しいことなんてほとんどないのだった。


地味な薬草採取をやっていたのが始まりだった。


そう、冒険の素晴らしい魅力的な物語のワンシーンというのは、きっと良い瞬間をスナップショットで繋げたそういう、ものなのだろう。


ダイジェストとでもいったらいいのだろうか。


映画などだと、それこそ作為的にいろいろされているのだろう。楽しめるように。


Web小説だってそうじゃないか、毎日の地味な修行の積み重ねをつらつらずっと書いていたりはしない。ダイジェストにいい感じに、それでいて修行してるんだな、と伝わるように、切ってまとめ手魅力的に仕上げるよなぁ。


そんな風に思いながら寝る。


二日後、無事、村にたどり着き送り届けることができた。


さて、帰らないと。


帰ったら、またしばらくは貴族生活である。


ちょっと退屈だなと思う。


そっか、そうだ、そうだった。最近全然、イタズラしてない。


今の生活自体がセルディアとして成り替わるというイタズラなのだが、最近はそのスリルというか、もう慣れてきちゃってるんだよね。


思いのほか順調にいってしまったから、そうか、イタズラ中ではあるのか。


でもなー、そう、刺激が欲しい。いや、なんか悪さしたい。


でもでも、セルディアがイタズラをする、というのもまた、うん、怪しいよね。ダメだよね。いやー、くそぅ、イタズラしたいぞぅ!


---


私はゼルとの依頼や、他のパーティとの依頼をこなしつつ、練習に子供たちが見物するようになってほどなくしてのある居酒屋で。


それは、大空の槍と他数人での晩御飯でのこと。


「その、相談なんですけど、街の外で練習しているときに子供たちが見学にきていて」


「あらら、そんなことになっているの?」


と、ナディアさん。


「あ、その気持ちはわかるー」


と言うのはウェッチコットさん。


「はい、そのうえで、魔法を教えてほしいといわれてしまって困っているんですよ」


「お勧めはしないかな。ずっと見てられる、近くに入れる場合はフォローできるんだけどね。例えば、少し炎が起こせるようになったとするじゃない」


「はい」


「ふと、自分一人で練習してみようとか、何かやってみようと好奇心でやっちゃうってことはあるのよ」


「ありそうですね」


「でしょう。それに、サーラの練習に子供たちだけで街の門を出て見に来ちゃってるくらいやんちゃってことだとすると、たぶん、他では使わないと約束させても、とか言っても、守らない可能性が高いわね」


「なるほど、ありがとうございます」


「でも、そうなるとどう断るかだねー。いやぁ、憧れがすぐそばにあると、うん、習いたくなるもんだよ」


「サーラは何歳から魔法を覚え始めたの?」


「十歳くらいでしょうか。本を読んで、憧れて、親にせがんで、という感じでした」


「ということは、根っからの魔法使いの家系でもないんだ」


「はい、先生がよかったんだと思います」


そこに、レッツさんが口をはさんだ。


「まぁ、ナディアの言うことももっともではある。子供たちにとってという視点ではな。じゃがの、サーラちゃんにとって、という視点では、少し変わってくる」


「そうなんですか?」


「そうだ、意外に教えてみると、自分が意外に曖昧にしていたこと、なんとなくやってしまっていてうまく教えられないことに気づかされたりする。サーラちゃんにとっては、悪い話ではない」


「なるほど、どうしたもんでしょうね」


「サーラとしてはどうしたいの?」


「空いた時間でよければ、練習の後、私が都合のいい時にくらいなら、少しならいいかなとは思ってます。私は、教わったことで希望が持てて、そして今がありますし」


「なるほどねぇ。だったら、子供たちに一度、両親を連れてきてもらって、その了承が得られていると確認出来たら、というのはどうかしら。あと、ただ働きはダメよ」


「良い案です。相場ってどれくらいなんです?」


「まちまちじゃよ、ただ、時間当たりと一人に教えるときと複数とで、変わってくる。家庭教師のように一人に専属となると、一時間当たり七銀貨くらいが入門者向けの相場だの。それも、週に一回とか、に分散して月三回としたら二十七銀貨。ちと、庶民には厳しいかもな。複数だとそれが分散する。五人くらい一度に見るつもりなら、五で割ったらいい」


「金額と注意を親に示せば、受けられる子も限られるんじゃないかしら」


その後、子供たちに親を連れてきてもらって、説明をした。


枠は三人まで、一週間に一度くらいのペースで一時間、一回一銀貨である。ちょっと割安なのは、私に自信がないからだ。


また、魔法の練習は私や、両親が見ていて許可を出しているときはしないことという条件で、それが守れなかった場合の責任までは私はとらないということを伝えた。


その結果、全員、教えるのは見送ることとなった。


金銭的な問題もあるけれど、危険性というのが大きいようである。


親の反対ということにしてしまったので、私が拒否する形ではなくなったので、矛先がご両親に向いているのでなかなか、子育てとは大変だなと思う。


そういえば、私も父にいろいろ無理を言っていた。


多くを断られたが、でも、そう、だからと言って、お願いを一切耳に入れない、などということはしなかった。


縁談についてはどうしても破談にしてはくれなかったが、もしかすると、どうしようもないことだったのかもしれない。


でも、私にとっては、聞いてくれたお願いだけで、満足はできなかった。


きらびやかなドレスなど、私は望んではいないのだ。


ダンスや礼儀作法など。文字の読み書きはありがたかったが、剣術などはダメだったし、屋敷の外、街に出かけることも許してもらえなかった。


それは、ともすると、今回のように、危険があるから、ということだったのかもしれない。


泣いてねだる子供を連れ帰るお母さんたちを見送りながら、ちょっと残念に思う。


教えてみたくはあったのである。私にとっても、いや、そう、私の場合、魔法は本当に生きる希望だったのだから。


---


俺はバルトに呼ばれ執務室で向かい合っていた。


「ごきげんようお父様、どうされたのです?」


「まず、ニジアン病についてのこちらからの報告と、セルディアの街での話が聞きたいこと、それと別に知恵を貸してほしいという点についてだ」


「別に、ですか?」


「あぁ、ニジアン病についてはお前のおかげで今のところ終息しているようである。実際に魔族もいたし、未知の魔法薬も発見されている」


「それはよかったです」


「見事であった。というわけでだ、今回ほどではないが、また知恵を貸して欲しいのだよ」


「まずは内容を聞いてみませんと」


「うむ、実はな――」

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