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失神、失神、また失神!?

 次の日、アイクはギルドマスターのラサラスと共に特許の申請をするため、とある建物に来ていた。

 とある建物とはアイクがかつて働いていた建物のことだ。

 アイクは国に仕える人たちの中でも魔道具部門と言われるところで働いていたのだが、この建物では魔道具部門の他にも財務部門や軍人部門などの人たちも働いている。

 今日はその中の経済部門に用があって来たのだ。

 既に受付を済ませて中に入っていて、今は順番待ちのため列に並んでいる。

 申請はどのような感じでするのだろうかと思い前にいる人を見てみると、なにやら揉めているようだった。

 デブでハゲているおじさんが年配の職員さんと言い争っている。

 何かトラブルでもあったのだろうか。

 ハゲも魔道具の特許の申請に来ていたようだったが、あれは恐らく既製品の見た目を変えただけのものだろう。

 ちなみにアイクは特許を申請する予定の魔道具を『マジックログ改』の他にもいくつか持ってきている。

 ただ今までのものを全て持ってこようとするとえげつない量になってしまうので、今日持ってきたのは『変幻自在ルーム』と『マジックバッグ』、それと『魔法剣』だけである。

 ただし魔法剣に関しては特許を申請するために持ってきたのではなく、国に報告をするために持ってきたのだ。

 属性を二つ付与した魔法剣はラサラスいわく作成が非常に困難であるため希少らしいが、アイクはそれを簡単に作ることができる。

 属性を二つ付与できる魔道具師は国が動くレベルであり、後々バレて怒られる前に報告すべきだとラサラスに言われたのでしぶしぶといった感じだ。

 本当は属性を五つまでなら付与できるのだが黙っておいた方がいいだろう。

 もしバレたら死ぬまで延々と地下で魔法剣を作らされることになるかもしれない。

 それだけは勘弁願いたいとアイクは切に願う。

 ありもしない(と思っている)未来を一人で妄想しているとアイクの順番が回ってきた。

 「次の方どうぞー」

 横を見るとハゲが舌打ちをしながらこちらを睨んできた。

 申請がうまく通らなかったのだろうか。

 「おや、ラサラスさん今日は何かご用ですか」

 「いえ、今日は私ではなくこちらの方です」

 「はじめまして、アイクと言います」

 「どうもはじめまして。私はゲインと申します。ラサラスのお墨付きらしいですね。それで今日はどのようなものをお持ちでしょうか? 」

 「えっと今日は魔道具をいくつか持ってきてまして、『マジックログ改』と『変幻自在ルーム』、あと『マジックバッグ』の三つです」

 「えーっとそれはどのような機能を持っているのですか? 」

 名前を言っただけではよく分からなかったのか困惑した顔を向けてきたゲイン。

 するとラサラスが急にニコニコして言った。

 「ゲインさん、驚きすぎて心臓止まらないでくださいね。今日のはかなりすごいですよ」

 「私はまだそんな年ではありませんよ。どんなものでもどんと来てください」

 「アイクさんやっちゃってください」

 「えっとじゃあまず『マジックログ改』から行きますね。これは映像を撮って映し出せる魔道具です。あっもちろん写真を撮ることもできます。『マジックバッグ』は…」

 「ちょ、ちょっと待ってください! 映像を映せる魔道具!? さすがに冗談でしょう!?」

 アイクが説明をするとゲインは慌てたように言った。

 アイクとしては特に冗談を言ったつもりもないので困った顔をしてラサラスの方を見るとニヤニヤしながらゲインを見ていた。

 「だから言ったでしょう。今日のはかなりすごいって」

 「つ、つまりこれは冗談ではないと!?ラサラスさんが言うなら…い、いや私は自分で確かめてみるまで信じませんよ! 」 

 「アイクさん、やっちゃってください」と本日二度目のOKが出たので実際に以前撮っておいた映像を見せる。

 ゲインはそれを見た後しばらく放心していたが、五分くらいしてようやく戻ってきた。

 「これはすごいですよアイクさん…! 大発明ですよ」

 「それで特許は取得できそうですか? 」

 「はい。問題なさそうです。これからアイクさんの許可無しに他の人が『マジックログ改』を製造、販売することはできません」

 「よかったですねアイクさん。さあ、他のやつもちゃちゃっとやっちゃいましょう! 」

 「さすがにもう驚きませんよ。今度こそどんなものでもどんと来てください」

 「了解です。『変幻自在ルーム』はその建物と連動させることによって内部の空間を拡張することができます。ちなみに外からの見た目は変わりません」

 「なるほどね空間を拡張できる魔道具か……………………………って空間を拡張!? ヒュェ」

 どうやら今度は気を失ってしまったらしい。

 隣を見るとまたもラサラスがニヤついている。

 「今度は失神しちゃってますね」

 「さすがに驚きすぎじゃないですか? 」

 「私はもう慣れましたけどたぶんこの反応が普通だと思います」

 たっぷり三十分ほど経った頃、ゲインは目を覚ました。

 「おお、気を失ってしまい申し訳ありません。実は変な妄想をしてしまいましてね。空間の拡張がどうとか。それでは次の魔道具の説明をお願いします」 

 「ゲインさん、さっきも説明してもらったでしょう」

 ラサラスは笑って返答する。

 するとゲインは「じゃ、じゃああれは本物!?」と言ってまた気を失ってしまった。 

 その後目を覚ましたゲインに効果を実際に見せてまた失神。

 『マジックバッグ』の時にも同じことを繰り返したため、朝早くからに始めたのにも関わらず終わったのは夕方だった。

 

 「いや~一日でこんなに気を失ったのは初めてですよ」

 「最後とかもう一時間くらい失神してましたね。私も慣れるまでは大変でしたよ。アイクさんの魔道具は本当にイカれてますから」

 「…えっ?」

 最後に聞き捨てならない言葉が聞こえたが気のせいだろう。

 半日くらいここにいたのできっと疲れているのだろう。

 拘束時間が思いの外長かったので、『魔法剣』の報告を今日はできなったがまた今度でいいだろう

 「まだいくつか持ってきてない魔道具もあるので今度持って来ますね」

 「ちなみにいくつくらい…?」

 「少なくとも五十はありますね」

 「ご、ごじゅう!?…さすがのイカれっぷりですね。今度は失神せずに乗りきってみせます! 」

 今度はもっとすごい魔道具を持って行って絶対に失神させようアイクは一人決意した。




 

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