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新体験の共有と衝撃

 次の日、アイクの店には普段よりも多くのお客さんが来た。

 店の中がぎゅうぎゅうになるほどの多さ。別に何かセールをやっているわけではない。

 ではなぜこんなにもお客さんが来たのか。

 その理由は…

 

 昨日、『マジックログ改』の機能を確認した後、アイクはベルと様々な映像を撮って遊んでいた。

 そして遊んでいる最中に思い付いたのだ。

 (これ、店の前に置いたらめちゃくちゃいい宣伝になるんじゃ…? )

 

 そんなこんなで店の宣伝になりそうな映像を撮り、それが繰り返し流れるようにセットしておいた。

 その結果がこれというわけだ。

 アイクもベルも予想以上の効果に驚いている。

 お客さんが増えること自体は予想していたがここまでとは思わなかったのだ。

 お客さんの中には冒険者のレグルスにギルドマスターのラサラスまでいる。

 そちらの方に視線をやると二人は人混みを必死そうにかき分けてアイクのところまでやってきた。  

 「おいアイク! 店の前のやつは一体なんなんだ!?」

 「レグルスさん、朝からちょっとうるさいですよ。あれは魔道具で映し出したただの映像です」

 「ア、アイクさん映像を映し出せる魔道具ってどういうことですか!?それはまだ開発されていないのではなかったのですか!?」

 「いやー、実は回路をちょっといじったらできちゃったんですよ」

 「できちゃったってアイクさん、それはやばすぎるでしょう…」

 二人の反応を見るにどうやら思っていたよりすごかったらしい。

 アイクとしては完成前の回路をいじっただけで本当にすぐにできてしまったので大したことはないと思っていたのだが。

 「アイクさんこの魔道具いくつかギルドに売っていただけませんか? ギルドでも映像を取り入れられたら便利かと思いまして…」

 「それはぜんぜん構いませんよ。ちなみに具体的に何に使うんですか? 」

 「パッと思い付くので言うとギルドの宣伝とかですかね。他にも魔物の倒し方紹介映像を作ってみるのもいいかもしれません」

 「たしかにそれは良さそうですね。いくつくらいあれば足りますか? 」

 「とりあえず二個欲しいです。それだけあれば今言ったものはできると思うので」

 「分かりました。『マジックログ改』は二個合計で100000エンになります」

 「えっ100000エンですか!?」

 ラサラスの驚きを見るに少し高かったのだろうか。

 『マジックログ』の値段の相場がだいたい50000エンだから同じくらいでちょうどいいと思ったのだが。

 やっぱり今から10000エンとかに変えるべきか? と悩んでいるとレグルスが呆れたように言った。

 「おいアイク、そりゃいくらなんでも安すぎるぜ。」

 「えっ安すぎ? 」

 「そうだ。安すぎじゃなくて高すぎ。てか魔法剣のときもこんな話しなかったか? 大体なあ、映像を映せる魔道具って長い間ずっと作れなかったんだろ? 新しい魔道具に一個50000エンって安すぎだっつーの」

 驚いてレグルスの方を見ると隣でラサラスも全くそのとおりといった顔でうんうんとうなずいている。

 もしかしたら自分は思ったよりもポンコツなのかもしれないと思うと少し悲しくなった。

 というかそもそもいくらぐらいが適正価格なのだろうか。十倍にして500000エンか。それとも思いきって魔法剣と同じ1000000エンにするべきだろうか。

 などと悩んでいるとラサラスが、

 「アイクさん。この魔道具は安くても10000000エンにするべきです。いや、20000000エンにしてもよいかもしれませんね」

 「10000000エンって魔法剣の十倍!? それはいくらなんでも高すぎるでしょう」

 「それくらいが普通です。新発明なのですよ? 」

 ラサラスが言う価格には驚いたがギルドマスターが言うからにはこれが普通なのだろう。

 一個売れただけでバカみたいに利益が出る夢のような魔道具だ。

 これほどの利益率は過去最高だろう。 

 「ちなみにさすがに特許はもう取ったんだよな?」

 「いやまだですけど。面倒だし別にいいかなって」

 「アイクさん、それはなるべく早く取得しておいた方がいいですよ。特許を取得すれば利用料等のもろもろの収入が得られますし」

 「収入ですか…」

 決して収入という言葉に目が眩んだわけではないが特許はなるべく早く取っておいた方がいいだろう。

 決して収入という言葉に目が眩んだわけではない…。

 これを機に他のオリジナルの魔道具も特許申請しておいた方がいいかもしれない。

 「ちなみに他にも発明品がいくつかあるんですけどそれも特許取っておいた方がいいんですか? 」

 「それはどんな魔道具なんですか? 」

 「えーと、例を挙げると中に物を無限に入れられてなおかついれた食べ物は腐らない『マジックバッグ』とか、建物に設置すると中の空間を実際より広くしたり狭くしたり形を変えたりできる『変幻自在ルーム』とか後は…」

 「分かった分かったもういいって! お前発明品どんだけ多いんだ? つーかそもそも無限に物入れられるとかヤバすぎだろ…!  

 「アイクさん、さすがにこれはヤバすぎです。下手したら国が動きますよ。魔法剣のこともありますし…」

 二人の反応を見るに知らない間にすごいやつを発明してしまったのではないだろうか。

 どちらにせよ特許の申請が面倒くさそうだ。

 「そんなに驚くほどですか? 」

 「お前はもうちょっと自分の世間知らずを自覚した方がいいぜ」

 「アイクさん、さすがに世の中のこと知らなすぎですよ。今すぐに常識を学ぶべきです」

 その後も二人から小言をいくつかいただいた。

 結局明日、今までの発明品の特許の申請をすることになった。

 

 明日には国がひっくり返るなとラサラスとレグルスは密かに思った。

 

 


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