表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/66

第三章 「鎖に繋がれしもの」 27

 と、突如、ビルの外が慌ただしくなる。

「いたぞ! ここだ!」

 叫び声と共に複数の足音がシャッターごしに響く。

「46号が裏切ったってのはどうやら本当のようだったな」

「ゴリラと、中にもう一匹いるぞ!」

「早く引きずり出せ!」

 俺達の仲間が追い付いて来たと思ったがどうやら違ったようだ。

 隙間から覗くと、毛むくじゃらの足がこちらへ走って来るのが見えた。

「おっと! 無闇に近づくと危ないゾ。シャッターが下りている最中なんだからな」

 それをシロウがけん制する。

「46号、キサマ、何を言っている? 研究所を裏切ったんじゃないのか?」

「オレは、はじめから何も裏切ってはいない」

「やはりそうか。アンタほどのオトコが外から来た奴らに負けるわけがないからな。ナニか凄い作戦の最中なんだろ?」

 ビルの外で謎の歓喜が上がる。

「ああ……。オレは誰にも負けはしない。それを今、証明してみせる」

 そう言うとシロウはビルの外の奴らを下がらせた。そして、自らは後ろ足を慎重に前進させる。そのたびに、少しずつだがシャッターが上がって行く。

 俺はシロウを手助けするために、膝をついてシャッターを押し上げようとした。

「手を出さないでくれ」

 しかし、シロウはそれを拒否する。

「!?」

 訳が分からず俺は硬直した。

「シロウは今、知ろうとしているんだ。本当の強さというものを」

 ゴローは地べたから立ち上がると、シロウに背中を向けた。横目でその様子をうかがうと、眉間にしわを寄せ、まぶたを閉じて震えていた。

 当のシロウは目を血走らせ、鼻から血を流しながら自らの強さを証明しようとしていた。

「まだ、やり残したことがある」

 一体、何をだ? そう言いかけて、俺は口をつぐむ。

 ゴローは既にビル内でいる。あとはシロウがシャッターから前足を離すだけで追っ手は排除出来る。もはやシロウが命を削る意味はないはずだ。

 だが、ここでそれを止めるのは、シロウが知ろうとしていること全てを台無しにしてしまうようで、俺はただ見ていることしか出来なかった。

 そうこうしているうちに、シロウはとうとう後ろ足をシャッターの直下まで進めた。それから、重量挙げの選手のように前足で底板を掴んだ。

 勢いをつけて両前足を頭上へと掲げるとシロウは咆哮した。

「よし完全に持ち上げた! 行くゾ!」

 それを突撃の合図と思ったのか警備の奴らが声を上げる。

「素直な奴らだろ。目を背けたいくらいにな」

 俺達にだけ聞こえるように、シロウが呟く。それから、背後から迫りくる足音に耳をピクピクと震わせた。

「でも、もう目を逸らすことは出来ない。真実を知ってしまったら、もう元には戻れない……。貴様らが、オレの曇り切った目を覚ましてくれたから。シロウとして生きると決めたのだからな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ