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第九項 せめぎ合う主張。魂の殴り合い

 自身の経験をもとにツインテール性格設定の経緯を根性で導き出した筆者。果たして本当にそんなんでいいのかという気もするが、使命感に燃える筆者にそんな冷静な判断力はなかった。全くの独断でありながらも自説に拘泥する筆者は検証作業も行わないまま更なる考察にひた走る。大丈夫か?

 ともあれ、製作サイドが作中にツインテールを登場させる場合、前述した二つのパターンが考えられる。商業作品の場合、脚本とキャラデザが別人の場合がほとんどだろうから、そこは意見のすり合わせになるはずだ。例えば脚本家がツインテールに対する熱いこだわりがあり、デザイナーにツインテール少女のキャラデザを発注するパターン。もうひとつが脚本家が脇役のデザインをデザイナーに丸投げし、デザイナーが活発少女という設定を見てツインテールにする。それが監督やらのゴーサインを受けてツインテール少女が誕生、といったパターンだ。

 前者の方はまあいいと思う。生まれるべくして生まれたツインテールなのでなんら問題はない。脚本がツインテールである前提で性格設定やストーリーを構成するのだからキャラ設定が破綻する心配もない。もしかするとそのツインテール少女にお婆ちゃんがいて、そのお婆ちゃんも若い頃ツインテール魔法少女として悪と戦っていた、なんて回想シーンを盛り込む構想でもあるのかもしれない。なんで魔法少女になってるのか自分でもイマイチ分からないが。

 問題なのは後者だ。そんなことはないとは思うが、脚本がキャラデザを丸投げする事などあるのだろうか? 丸投げされたのをいいことに、デザイナーがたまたまツインテールマニアで、「へっへっへ。俺様に丸投げするってことは、こいつら全員ツインテールにしてもOKって事だよなあ! これぞ俺が待ち望んでいた千載一遇のチャンス! 主要人物以外、全員ツインテール少女という伝説を打ち立ててやるぜ!」てな具合である。もちろんそんなキャラデザが通るわけもないので、監督のチェックが入りほとんどボツ。お情で辛うじて一人、ツインテール少女が登場といったところか。これは問題である。脚本がツインテールであるという前提に立っていないのだから後々、齟齬が出ないとも限らない。スポンサーとのタイアップで後半、ヘッドフォンを付けてパワーアップなんて設定を無理矢理挿入されたら問題になるのではないか。他のヒロインはヘッドフォンを装着してキメポーズをとってる中、ツインテール少女一人だけイヤホンを付けてたら制作会社の資金調達のみならず、視聴者にもよからぬ影響が出そうである。

 これは由々しき問題であり看過できない。しかし、である。最初から設定にはなかったけど、製作過程で色々な要素が重なって、偶然たまたまツインテール少女が誕生しました、というのは、逆にすごいことなんじゃないだろうか? これぞまさに見えざる意思の介在によって、創り手も意識しないところで自然発生的に誕生した真性ツインテールと言えるのではあるまいか?

 昭和のボクシングマンガで原作者がライバルキャラの設定をしたとき、主人公を見下ろす、という一文を入れた。それを見た漫画家はライバルキャラを主人公より頭ひとつ長身に描いてしまった。これが後に問題になる。ボクシングには階級があるため、それほど身長に差があると同じリングに立つことが出来なくなる。さあ困った。だが、二人はこのミスを逆手にとる。ライバルキャラが主人公との勝負にこだわるようにストーリーをもっていき、殺人的な減量に耐えるという設定を加えた。これが読者の共感を呼び、ライバルキャラは主人公を食うほどの存在感を示したというのはウソかホントか知らないが、あまりにも有名なエピソードである。

 これを踏まえると、創り手が意識もしないのに登場キャラがツインテールになったとしてもなんの問題もない。後で齟齬が出ようが性格設定がぶれようが、製作サイドの力量如何によってはそれが吉と出る場合もあるだろう。したがって、キャラデザのリビドーや安易な差別化でツインテール少女が大量生産されたとしても、それをなんちゃってツインテールと切り捨てる必要などまったくない。いやむしろ、現実にはありえないツインテール女子が登場するというのはフィクションとはいえ、大変な奇跡であるといっても言い過ぎではあるまい!

 言い過ぎではあるまいはいいのだが、そもそもの問題であるツインテールイコール活発の法則は結局分からずじまいである。ひとついえるのは、脚本にしろ、キャラデザにしろ、多少の意識の違いはあるものの、ツインテールは大体勝気で活発で、ヒロインのライバル的立ち位置というのが共通認識としてあるのであろう。その認識があるからこそ、ツインテールというキーワードからキャラ設定がなされると見るのが妥当なんじゃないだろうか。

 しかしツインテールが勝気で活発という設定のリアリティは担保されているのだろうか? 次項ではそのあたりも掘り下げてみよう。 


挿絵(By みてみん)


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