73 血は繋がって無くとも長男長女
「純くん、何してるの?」
「見て分からんか」
「背後からじゃ机に向かってる事しか分かんない」
「また屁理屈を」
屁理屈バンザイだよ。
「何か用か」
「暇なときはジンに相手してもらうのが常だったもので」
つい、いつものように。
シヴィル‐シルだよ。
学校の事を忍にバトンタッチしてから、ホント暇になった。
暇で暇で暇で暇で、毎日ゲームしているような気がしないでもない。
タドやヒアみたいに、学校に転入生って事にして入ることもできたけど、正直めんどくさいからってやめといた。
だって試験とか受けなおさなきゃなんないんでしょ? そもそも空きなんて絶対ないし。
どうせ死校の試験受けるからさ、半年も行かないんなら最初っから入らない方がいいよ。
「勉強はどうした」
「学校以外でしたことない」
ほとんど、だからね? 全くではないよ?
「やればどうだ」
「えぇー。今気分じゃない」
「言い直そう。やれ」
「余計にやる気失くさせてどうすんの?」
「やるな」
「了解」
「こらっ!」
なんだよー。やるなって言ったのそっちでしょ?
逆の事言えばやるとでも思った? ……どうしようかな、やっぱやんなきゃ駄目なのかな?
数学の集合とかそういうのはやっといた方がいいかもなぁ。便利そうだし。
「兄ちゃん等、また喧嘩?」
「誰がこんな小娘相手にするものか」
ガッツリ相手してたじゃないか。それに、アンタと学年は同じだからあたし。
……小娘ってのは身長の事か? 忍と離れてからはもう150㎝あるかどうかも分からないよ。
「あっ、そうだ。お帰り岳」
「ただいっ……あのなっ!」
「はい?」
挨拶は大事でしょ。
「あのなー、えー、や、何でもねぇ」
変なの。なにかあったのか。それとも単純に続きが思い浮ばなかったのか。
「ね~ね~! すごく美味しいよ、これ! しのちゃんって料理の天才だ~!」
「ヒア。それ何? クッキー?」
「うんっ! しのちゃんが焼いたの~! 食べてみて~!」
ふーん、忍のクッキー?
……なんで水色なんだろう。
「色は気にしちゃだめだよ~? 着色料を使ってみたかっただけなんだって~」
なるほど。なんて単純な理由だ。
あむ。美味しい。色はともかく美味しい。外はカリッ、中はフワッ。
「こら、食卓に座って食え」
あぁ、行儀悪いってか? お母さん?
とりあえずこの場に正座。
「食卓の椅子にだ!」
「移動中にクッキーの粉が落ちたらどうするの?」
「行儀が悪い!」
……どっちに言ったの? クッキーの粉が落ちる事に対して? 食卓の椅子に座ってないことに対して?
「そう言えばさ、最近ラディル見ないよね。ジンはいつもの事だけど」
「こら、話を勝手に変えるんじゃない」
「そうだね~、ラディルも異世界旅行行ってるのかな~?」
「おい」
「それだったらミリアンも一緒に行くんじゃない?」
「こらっ、無視するな!」
「皆で行く奴の下見とか~?」
「無視するなっ!」
意外と寂しがり屋だね、純くんも。
黙ってそっちを見たら、純くんが意外そうな顔してた。でもすぐにしかめっ面になって、
「一階で食え!」
あ、大分アバウトになった。




