表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただいま迷走中!?  作者: 呪理阿
五月 GWにもレッツ迷走
PR
71/102

71 ラッキー、なのかコレは?

「材料入れましょ生クリームにー」

 と、ひな祭りに流れるあの有名な曲の替え歌を歌いながら、叶子ちゃんが材料を生クリームに入れていく。

「語呂全然合ってないよ、叶子」

「そうだねー。でもお鍋にーよりマシでしょ?」

「おぉーなべーにー。あぁ、そうだね。これだと大鍋みたい」

 宮奈ちゃんと叶子ちゃんは、会話をしながら材料を生クリームの中に投入している。

 生クリーム鍋は作った事無いけど、多分生クリームが沸騰してから材料入れればそれでいいんだろ。……っと、四人組は言ってた。ホントに大丈夫なのかこの班。

 タラッド‐タドだ。

 周りは結構火ぃ点けるのに苦労してるらしいけど、

『火、点かねぇーっ!』

 ……ほら、な。イラついて叫んでる奴数人いるし。

 けど、俺等んトコは何の奇跡か一発で火が点いた。

 悪い事起こんなきゃいいけどってな。

「チョコレート、投入ー」

 ドポン。……叶子ちゃん、そういう板チョコはは割ってから入れようや。

「レーズン、投入っ!」

 おい宮奈、食いモン投げんなコラ。

「宮奈、投げ入れちゃ駄目でしょ。レーズンと飛び跳ねた生クリームが勿体ない」

「あはっ、つい!」

 玲也くんが割って入った。でも宮奈ちゃんは笑ってる。

「勿体ない……」

 玲也くんが半分目を伏せて、飛び散った生クリームの一部を見ながら呟く。

「すいませんでしたぁっ! ごめんれーくん、お許しを!」

「もう、やっちゃ駄目だよ?」

「はいぃっ!」

 ……何だこのやり取りは。

 深ぁく頭を下げた宮奈ちゃんの声は必死。何があったんだ、あの二人の中で。

「なーなー、まだこれ食えねぇかな?」

「多分、まだ煮えてないよ? ホント、大地は食いしん坊だよねぇ」

「人間は食うとこから始まんのさっ!」

 大池くんがぐっと親指を立てて、何故かこっちに向けてきた。

「なっ! タラッド!」

「いや、同意求められてもな……」

「なんでだよー。食う事嫌いか? そんなこた無いはずだ。あっちゃだめだ。うん」

 そりゃ嫌いじゃねぇけど。

「お前、そんなに食う事好きなんだ?」

「あったりめぇだろ! 悪いかっ!」

「いや、いい事じゃね?」

「だろっ!」

 ……だからそんなに身長が高いのか。食ったら食っただけ縦に伸びたんだな。太ってねぇし。

「まだかな、まだかな、まだかな、まだかなーっ」

「なんだよ、俺に食いしん坊とか言っといて。叶子も早く食いてぇんじゃん」

「お腹空いたもーん!」

 電車下りてから結構歩いたもんなー。そりゃ腹も減るわ。

 あれ……俺ぜんぜん減ってねぇ。なんでだ? どうなってんだ、俺の身体。角生えてる時点でかなりおかしいけど。

 大地くんと叶子ちゃんが蓋に手を伸ばしかけた時、それに気付いた宮奈ちゃんが慌ててと目にかかった。

「ちょっとー! 二人とも! まだ駄目だよ、食べちゃ! もー。大池も叶子も食いしん坊なんだから!」

 食いしん坊増えた。

「でも、いい匂いー、だねー……」

「だよなー……」

「う……ん。そうだねー……」

 ミイラ取りがミイラ。宮奈ちゃんまで鍋に視線が釘付けに。三人の目が虚ろだ。恐るべし生クリーム鍋。っていうか甘い匂い。

 それはいいからお前等、戻って来ーい。

「こら、こら、こら。もう。まだ駄目でしょ」

 お、玲也くんの登場。宮奈ちゃんがこっち来てからは、ちょっと離れたところで見守ってた玲也くんがついに動いた。

 で、三人の頭を後ろからペン、ペン、ペンと叩いた。

「まったく。大池も叶子も宮奈も食いしん坊だなぁ」

 このまま玲也くんも引きずり込まれやしねぇかと不安だけど、まぁあの大人な玲也君なら大丈夫だろ。……だろ。多分。大丈夫、か?

「別にもういんじゃねーのー?」

「そうだよー。こんなにいい匂いしてるんだからー」

「もう、食べちゃおうよー」

「そうだね」

 引きずり込まれた……あっけなかったな大人な子。

「ちゃんと煮えてるか確認……」

 あぁ、それはするのか。よかった。ただ誘惑に負けただけじゃ無かったのか。

「しながら食べようか」

 結局食べるのが先か。

「食べよぉーっ!」

「おぅっ!」

「おー!」

「おー」

 ………………あれ、俺も言わなきゃいけない系?

「お、おー」

「さー、分けるよー?」

 お玉にいっぱい鍋の中身を取って、それぞれの皿に入れていく。

「……意外と少なかったね」

「結構お腹が膨れるんだと思うよ、これ」

『いただきまーす』

 この味を一言で言うなら? 甘い。甘くて旨い。

「リンゴレモンジュース飲む?」

「リンゴレモン?」

「リンゴジュースにレモン入れたの!」

 へぇ。変わったの好きだなこいつ等。

「旨ぇのか?」

『知らない!』

 ……訂正しよう。勇気あるなこいつ等。

「あ?」

「タド、どうしたの?」

「雨降ってきた。さっさと食って避難しといた方がいいぜ」

 今ポツって来た。さっきから空も暗いし、というかずっと暗かったし。大雨になるだろこれ。

「ぷはっ! よっしゃ、とりあえず鍋と鞄だけ持って、屋根あるところまで逃げるか!」

「う、うん!」

「はふはふはふはふ」

「叶子、無理しなくていいよ。お皿持ったまま避難しよう」

 あぁ、今すぐ避難すんのか?

 ……いつの間にか火が消えてて助かったな。

 鍋とか荷物とかを持って、すぐそこの屋根がある場所まで避難。

 そのすぐ後にドバっと降り出した。悲鳴と慌てる声もあちこちから。

「今日は運良いな俺等」

「いっつも運はいいんだよ、私達!」

 運『は』か。

「テストの点は悪いんだけどね!」

「俺以外な!」

「そう、一番頭がいい大池でも平均きっかりなのー」

「へぇ、一番頭いいのって大池なのか?」

 俺はてっきり玲也かと。

「玲也は授業と関係ない事ばっかり勉強してるから!」

「授業中も別の事やってるしねー」

 ……通りで、授業中に、明らかに教科書じゃない分厚い本読んでた訳だ。

 あーあ、雷まで鳴りだした。帰れるのか俺等。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ