69 その具、滅茶苦茶につき取扱い注意
「……あのさ、この班何作るんだ?」
タラッド‐タドだ。
校外学習の飯盒炊爨……ご飯は炊いた奴持って行くらしいけど、一応名目としては飯盒炊爨。の、材料を買うために近所のスーパーへ。
買う物のメモを見せてもらって、最初の言葉が出てきた。
『買う物リスト
・ナマコ』
……ほら、最初っから謎だ。なんでナマコが必要なんだよ。っつか、多分ねぇよ。
「鍋作るんだよ」
「鍋っ!? この季節にか?」
暑いだろ。無理だろ。暑いだろ。俺暑いの苦手なんだけど。
「だって簡単じゃーん」
いや、食ってる間地獄じゃね。百歩譲ってこの季節に鍋でも……。
「ナマコは入れなくね?」
「えぇっ!? 入れないの!? キノコ!」
…………あ? キノコ?
「それはナメコだろ」
『そーだったの!?』
おい。この班全員ナメコの名前間違えて覚えてたのか?
ナメコにしても季節外れだけど……まぁいいか。
ナマコ、もといナメコの次は?
『・生クリーム』
……何作るって? 鍋? シチューの間違いじゃねぇのか。
「この生クリームってのは」
「え? 知らないの? 生クリーム鍋」
「そんなんあんのか?」
「あるよー! 生クリーム鍋!」
……へぇ。知らなかった。調べてみよう。
『・クルミ
・レーズン
・チーズ』
この辺も、生クリーム鍋なら変じゃねぇか。レーズン、レーズン……別に変じゃねぇ、か。
で、次は
『アレ』
分かるか。
「アレって何だ?」
「アレはアレだろ。ほら、な、宮奈」
「そう、アレ。えぇっと、ね、叶子」
「アレだね、アレ、んと、ね、玲也」
「そうだよ、アレじゃん。な、大池」
「アレはアレだろ。ほら、な、宮奈」
おいコラ。戻ってどうする。
こいつ等、小学校から仲良しの四人組か? いっつも『アレ』で通してるから『アレ』が何だか分からなくなったとかじゃねぇよな。俺の考えすぎだよな。
「アレ、アレって……」
「チョコだ!」
『あぁ!』
アレって、チョコかよ?
「チョコ入れるか? いよいよおやつになって来たな」
「俺等はおやつ作る気満々だからなっ!」
その立てた親指折ってやろうか?
「タラッドくんって、甘いもの嫌い?」
「いや、好きだ。いいじゃん、おやつ」
言ってる事が逆? 誰がいつ、おやつは駄目だっつったよ。何にせよ、名目は鍋なんだから。
「よっし! お前意外といい奴じゃん!」
「大池、先生の方から見たら悪い奴だよ?」
「何でもいいだろ。他はっと……」
買い物メモ、もう残りは少しだな。
『リンゴジュース』
……これは普通に飲む用だな。流石に入れはしねぇだろ。
『マシュマロ』
ちょっと待て。
「このマシュマロって」
「美味しいよ!」
今『多分』って小声で付け加えたろ、叶子ちゃん。
『レモン』
もう突っ込まない。
『いちご』
あ、これは旨そうだな。
『肉団子』
ここにきて普通の来た!?
『ジャミレン・フランソワ・ド・マレロール』
「……誰だ? ジャミレン・フランソワ・ド・マレロールって」
「よく見て。ジャミレンのジ、フランソワのフ、ド、マレロールのマ。これを合わせて読むと……」
ジフドマ
「わかんねぇよ」
「そう、意味は無いんだ」
ねぇのかよ!




