40 とあるめちゃくちゃ
「チーズバーガーお1つと、ハンバーガーがお1つ、当店オリジナルバーガーがお1つ、100%グレープジュースがお2つ、コーヒーがお1つで、3,675円になります」
……あれ、高くね? 高すぎね? 俺等が買った時は普通の値段だったんだけどな……。
「高すぎる? 値段下げろ?」
あぁ、お客さんの方も変だと思ったらしいな。店員がそう言って首かしげた。
で、ニコッと営業スマイルだかそうでないんだか、とにかく笑みを浮かべてキッパリ。
「無理です」
あ、なんだか後ろに黒いモノが見えた気がした。気のせいだな。影か何かだよな。あの人の後ろに壁ねぇけど。
岳だ。
父さん等と外出して、昼にファーストフード食ってる。で、カウンターのところ見たら、さっきのやり取りが見えた。
「次のお客様、大変お待たせいたしました」
「水をください!」
なんか、同じ所に変なのが来てた。古そうな、灰色の長いワンピースに、うっすら汚れたエプロン付けた女の人。なぜか手を胸の前で組んで、店員を見上げる。
「……お客様、他には……」
「水をください!」
店員は背後を振り返って奥の方に叫ぶ。
「お水ありましたっけ!」
あるだろ! じゃ無きゃこの氷は何でできてんだ!
「湯気ならございます」
「湯気っ!?」
「水蒸気も水ですので」
いや、あるだろ、わざわざそんなん集めなくても!
「あの、ほら、浄水器と言うか……冷水器、とかないんですか……?」
「店を出て左手側に池が御座いますので、そちらへどうぞ」
「い、池!?」
「次のお客様」
あ、無視しようとしてるぞあの店員。っつーかドSだな!? 池行けってか!?
「ちょっと、あの……」
「白花! まったお前って奴は……」
……父親? 頑固そうな、半分はげたおっさんが来た。
「お父様!?」
「またシンデレラごっこか! 22にもなって恥ずかしい!」
それを大声で言うのは恥ずかしくねぇんスかお父さん!
「お客様、店内で騒ぐのはお止め下さい」
あ、店員が普通の店員っぽいこと言った。
「でもお父様!」
「でもじゃない! 帰るぞ!」
「お姉様に水を持って帰らないと……!」
「姉居ないだろ!」
……本格的に痛い奴だな、あのエセシンデレラ。
「お客様、喧嘩は外でお願いいたします」
だんだん店員の表情が薄くなって来たぞ……。
「あぁ、お願いです、水を下さい! シンデレラは、お姉さまに水を持って帰らないと……」
「掃除もしたことないのに何がシンデレラだ!」
えぇええ、掃除したことねぇのかよ! 少なくとも学校でやっただろ!?
「お客様、いい加減にしないと強制的に出て行っていただきますよ?」
どんどん店員の無表情に拍車がかかって来る……。ある意味怖ぇなコレ。
「さぁ、さっさと帰るぞ!」
「いやぁ! 水を、水を下さい!」
「ご来店ありがとうございました」
冷たい表情で、おっさんとおっさんに腕を引っ張られるエセシンデレラに礼をする。
「なんてことなの! こういう所では、スマイルを分け与えてくれるのではないのですか!?」
エセシンデレラに言われて、店員はニコッと笑みを浮かべた。でも目は笑ってねぇ。
「これでよろしいですか?」
「えぇっ!?」
……黒いな、店員。
……痛いな、女の人。
……何気に頭と影と薄いな、あのおっさん。
そしてなんだ、この状況!?




